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34歳の男が家事育児をしながら思うこと。いわゆるパパの教科書には出てこない失敗や感動をできるだけ正直につづる育休コラム。
ぶつかりあうふたり。※写真はイメージです
家電ASCIIの盛田 諒(34)です、おはようございます。水曜の育児コラム「男子育休に入る」の時間です。2月22日生まれの赤ちゃんは来週でいよいよ6ヵ月児になります。赤ちゃんが生まれて2ヵ月間の育休を取り、書きはじめた連載記事もおかげさまで半年間続けてきたことになります。みなさまご愛読ありがとうございます。
だれが言い出したのか、生後半年を「ハーフバースデー」というそうで、「1/2」をデコレーションした写真を撮りませんかという写真館のキラキラしたDMが郵便受けに舞いこんだりしています。写真は撮るかわかりませんが、ハーフバースデーを記念して、妻と二人、初めての子育て6ヵ月間を振り返ってみました。
妻は今年で41歳、書籍を編集しています(現在は育休中)。1時間ほど話して原稿にしてみたところ、ざっと1万字になってしまいまして、ROCKIN'ON JAPANかよという気持ちになりました。お時間に余裕があるときにお読みいただければ、多少は育児、というか、人間関係構築の参考になるところがあろうかと思います。
★もくじ
1.育休中の良さ&悪さ
2.復職後の良さ&悪さ
3.妻→夫への不満
4.夫→妻への不満
5.育児の楽しさ&切なさ
6.お互いの改善すべき点
■育休中の良さ&悪さ
夫 盛田です。今日は二人で初めての育児を振り返ってみたいと思うんですが。
妻 どうしよう、自分がめちゃくちゃワガママ言ってるっていうのがバレちゃう。
夫 まあワガママでもいいんじゃないかと思いますけど。連載タイトルにもなっている育休期間中から行きましょうか。まずは男性育休の概況をご確認ください。
●男性育休取得率は約3%
男性育休取得率 3.16%
女性育休取得率 81.8%
●業界によって取得率に差
金融・保険業 12.33%
情報通信業 6.01%
電気・ガス・水道 0.89%
●大企業も零細もほぼ同じ
500人以上 2.98%
30~99人 3.22%
30人以上 3.39%
出典:厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査」
夫 こんな感じでした。金融系は比較的取得率高いですね。
妻 へえ~。たしかにもともと休みをとりづらい業界もあるよね。
夫 それにしても、日本で育休を取得する男性はまだ少数派です。そんな中、2ヵ月間の育児休業を取ったわけですが、取ってよかったでしょうか。
妻 よかったと思う。そもそもわたしがもりちゃんに「(育休を)取ったら?」って言ったとき、男の人が取るのがそんな大変なことだとは思ってなかったんだけど。
夫 ほんとですか。女性は8割が取ってるんだからって話?
妻 うーん。たしかに、友だちで(育休を)取った男の人がいるんだけどさ。会社でまわりに育休取ってる人が全然いない中で2ヵ月取ったら、復帰後に嫌味を言われて……みたいな話は聞いたんだけど、でも、もりちゃんは絶対やりたいタイプ! と思ったんだよね。
夫 やりたいタイプとは。
妻 赤ちゃんという未知の生き物に興味があるはず、と思ったから。だからね、ちょっと嫌味言われるくらいガマンしろよ、みたいな。
夫 すごい口調ですね……たしかに出産も立ち会ったし、面白そうなことなら全部体験したいって気持ちはありますよね。その性格が読まれてたわけですね。
妻 そうそう。記録魔だし。
夫 妊娠中からメチャ長い日記つけてましたからね、自分が産むわけでもないのに。
妻 やたら写真も撮るしね~。
夫 でも、実際に「育休取ってみたら?」と言われてふんぎりがついたところはあったよ。「前例がない」っていうのを振りきるきっかけがなかったから。そういう話をすると「女性は当たり前に育休取るのにねえ」って話になるのかな。
妻 女の人は体もすぐには回復しないしね〜。経験して思ったんだけど、産休が終わってすぐ、2~3ヵ月の頃って、まだ授乳回数も多いし、まあミルクにすればそこはある程度緩和されるにしても、すごい体がきついわけよ。おっぱいが張ってきたりとか。そこですぐ復帰って、すごく負担が大きいと思うんだよね。
夫 産褥期っていわれるのは初めの1ヵ月だけど、そこを過ぎればすぐ何でもできるわけじゃないんだよねー。2ヵ月健診のとき先生に「奥さんの産後はこれからだから」って言われたし。
妻 体の回復としては半年とか1年かけて戻っていくのが自然なんだろうと思う。
夫 たしかに。では、わたしが育休取って一番よかったことは何でしたか。
妻 うーん、やっぱり家事やってもらえてすごく助かった。
夫 ほんとに。
妻 初めの1ヵ月は特にね。2ヵ月目も、外に出られないストレスがたまってたから、(赤ちゃんを夫に託して)1人で外に出て、好きなお店に行けたときの解放感よ。
夫 おしゃれカフェとかね~。わたしも酒好きなんだけど、はじめの3~4週間は怖くてお酒まったく飲まなかったから、初めて飲んだときの解放感はあったなー。当時は「酔っ払って赤ちゃん落っことしたらどうしよう」って思ってた。
妻 もともとおいしいお店を探すのが好きだったから、それができたのは本当にうれしかった。
夫 よく妻の不満に「夫テメー飲み会とか行きやがってコノヤロー」問題があるけど、うちに関してはまったくなかったですね。家事育児でそんな時間なかったから。
妻 妊娠中の母親教室でもそんな話あったよ、「お産が近くて、しかも予定日を過ぎてるのに普通に飲み会行ってきて本当にムカつく、心配じゃないのかな」みたいな。で、助産師さんが「男の人は言わないと分からないのよ~」みたいな話をして。
夫 でもわたしも長期育休取って、気持ちが家事育児に切り替わったから「飲む」って選択肢が消えただけではあるよ。せいぜい3~5日程度の育休だったら、産後すぐ会社に行ってただろうし、誘われたら普通に飲みに行ったんじゃないかって気がする。
妻 出産祝いとかありそうだもんね。
夫 あるある。
妻 バカじゃないの? こっちは忙しいんだっつーの!
夫 バカまで言わんでも。
妻 でも断りづらいだろうね~、そういうの。上司とかも来るだろうし。
夫 まあねえ。話を戻すと、家事はそれなりに役立てていたと。
妻 ただ記事にも書かれてましたけど、神経過敏になって家事を完璧にやりすぎっていうか。楽しんでほしいのに、「アッ、ハイッ、すいません」みたいな。
夫 謝るのは怖いからなんだけど……家事をやりすぎちゃうのは、深刻になっちゃうんだよね。赤ちゃんのことって深刻度が増すじゃない。ピリピリするというか。「わたしの家事ひとつで赤ちゃんの命が……」とか考えちゃうわけよ。
妻 でも、なんか窮屈だったよね。
夫 まあね……。
妻 24時間他人と暮らす窮屈さってのは感じた。それはわたしの性格かもしれないけど「ハァーー1人になりたい」って感じたな。
夫 それはおたがいに思ってたかもしれないですね。
妻 まあ片方だけが不満に思ってるってことはないよね、大体のことは。
■復職後の良さ&悪さ
夫 3月から2ヵ月間の育休を取ったあと、ゴールデンウィーク明けに職場復帰。復職後の仕事時間と家事分担が、それぞれこんな感じになっております。
●仕事時間
出勤 朝9時~10時
帰宅 夜20時~21時
●家事分担
料理 主に妻
掃除 主に夫
洗濯 夫+妻
夫 で、わたしとしては、育児大変じゃないかなーと心配してて。育休中に自分で家事育児やってて苦労を知ってるぶん、あれを毎日ほぼ1人でやるのか~~と思うと。
妻 あー、でもわたしは家事を完璧にやろうとは思ってないからね。もりちゃん、ごはんなくても「なんだよ作ってないの」みたいなこと言わないじゃん。そういうこと言う夫だったら毎日大ゲンカだと思うけど、「何も作ってないです」って言ったら何か買ってくるじゃん。買ってきたお寿司、1人で食べちゃったりはするけど。
夫 お寿司は1人で食べてもいいんじゃないですか?
妻 1つ食べたかったの。べつにいいけど。
夫 でも、わたしが帰る時間までにごはん作るって激ムズですよね。実際いま20~21時帰宅だけど、その時間、まさに寝かしつけだから。
妻 そう、全然動けないの。それにうちの赤ちゃん、昼は本当に寝ないじゃん。
夫 寝ない。お昼寝という概念がないですね。
妻 たまに1時間とか寝てくれると、夜ごはんの支度もできちゃうんだけど。
夫 他の人が「2~3時間寝ますね~」って言ってるのを聞くと、それだけあったら家事メチャメチャ捗るな~~って思う。でもまあそこは個人差だから言っても意味ないなーと思うところもありますね。育児は全部そうだけど、ヨソはヨソ、ウチはウチ。
妻 だからわたしは、掃除はしなくていいや、盛田くんが掃除機かけるし、って割り切ってる。料理にしても、お昼はごはんに納豆でもかけて食べればいいやって。夜ごはんも生協の食材キットを使ったり。ちょっと高いけど。でもそこは共働きだし、ちょっと食費が上がったとしても自分が機嫌よくいられることを優先すればいいやって。
夫 家事は赤ちゃんの行動に合わせて割り切りをするようになったと。そのほか、育休明けにできなくなったことはありますか?
妻 自分の仕事かなー。わたしも育休中なんだけど、編集者って仕事とプライベートが密接というか、何かしら連絡がくるじゃない。作家さんから問い合わせがあったり、イベントのお知らせが来たり。でも、メール返信1つまともにできないんだよね。
夫 うちの赤ちゃん、放っておかれたと分かると1分で泣きますからね。
妻 トイレとか、ドアの前にバウンサー置いて、赤ちゃん入れて、ドア開けたまましてるもんね。「さーいーたー」とか、歌とかうたったりして。
夫 たしかに……自分がお風呂入るときとかもバウンサーに座ってもらう感じになりますよね。つねに目を合わせたまま、後ろ向きにお風呂場に入っていったりして。出かけるときもそうだけど、行動がつねに赤ちゃん中心になるよね。
妻 赤ちゃん連れになって、出かける先も変わったね~。ラーメン屋さんみたいに赤ちゃんがいると入りづらい店もあるし。何時までに帰ってこないと帰宅ラッシュに遭うとか、寝かしつけが遅くなるとか、そういうことを考えると、行ける範囲も場所も変わってくる。
夫 で、あっという間に1日が終わるんですよね。わたしは復職後いちばん厳しいのが寝不足で、赤ちゃんの泣き声で起きて睡眠が細切れになっちゃうのが続いてるんですよ。だから22~23時には寝たいと思っているんだけど、そうすると、今まで本を読んだり、パソコンをしたりしていた、趣味の時間がほとんどなくなっちゃう。
妻 そうだね~。huluも全然見られないわー。
夫 huluね~。育休中は赤ちゃん抱っこして1日ずーっとhuluで「ハンター×ハンター」見てたこともあったけど。録画もそうだけどドラマとか続きモノを見なくなったよね。ドキュメンタリーとか育児番組みたいな単発モノを見るようになったな。全体に、今までの暮らしが、赤ちゃんを中心にして調整されてきたのが復職後って感じですね。
■妻→夫への不満
夫 続いてはいよいよ「夫への不満」です。怖いですね。
妻 ほほ~。
夫 小学館の「NEWSポストセブン」にこんなランキングが載っていました。
★子育て中ママ「夫への不満」ランキング
1位 ママが子育てすることを当たり前と思わないで!
2位 子どもと遊んであげて!
3位 自分のことは自分でやって!
4位 子育てが大変なことをわかって!
5位 一人の時間をちょうだい!
6位 家事をもっと手伝って!
7位 感謝の言葉を言って!
8位 早く帰ってきて!
9位 話(愚痴)を聞いて!
10位 子どもを甘やかさないで!
出典:NEWSポストセブン
妻 うわ~、こんな夫いたらムカついてしょうがないわ~。
夫 エー、そこでわたしはどうなんですかね。不満なし? 100点?
妻 ……ほんとにそう思ってるの?
夫 いや、できる限りのことはやってるつもりでして……。
妻 まあ不満があるとしても、もっと高度な不満ですよね。ここに書かれてるのは基本的すぎるというか。盛田くんはがんばってるとは思うんだけど、わたしがいちばんイヤなのは、すぐに「スイマセン、スイマセン」っていうところですね。
夫 いやだってそれは、ほら、怖いから。怖かったら謝るでしょう、防御反応として。「スイマセン! 許してください! なんでもしますから!」
妻 わたし謝らないもん。戦っちゃう。
夫 戦士ですね……。逆に言うと、不満は“スイマセン癖”だけってこと?
妻 あと、人の顔色を伺ってくる感じがイヤ。
夫 それはもう人格ですね。
妻 あとは細かいところだけど、赤ちゃんが泣いているとき抱っこしてるだけでボーッとしてるじゃん。もっと工夫しようよって。
夫 工夫はしてるんですよ。工夫してるけど泣きやまないの。
妻 ホントかな~? ばあばに1日ついてみたらバリエーション増えるんじゃない?
夫 でもたしかに泣いているのを観察しちゃうところはありますね。「お~、泣いてるな~」って。それで「泣いてるじゃん!」って言われて我に返ることはありますね。
妻 わたしは半日とか盛田くんに赤ちゃんをまかせて出かけることがけっこうあるけど、そういうときどうしてるんだろうな~というのが気になるところがある。
夫 でも、泣いててもそばに行けないとき、あるじゃない。洗濯物干したりしてて。
妻 そういうときは名前で呼びかけたりしてるよ。「いるよ~!」「30秒待って~!」とか。で、「いい子だったね~!」ってギューッとしたりしてる。
夫 なるほどコミュニケーションか……。わたしは通じているか分からないコミュニケーションを取ろうとしないところがありますね。歌を聞いてもらったりはするけど。
妻 あとは、こっちが赤ちゃんのことで心配してるとき「こうしたら?」と言うときに「本当だね大丈夫かな」みたいな一言をはさんでくれればいいのにって思う。
夫 そのクッションいる?
妻 いるんだよ。だから仕事でどうしてるのかなって思う。
夫 だって仕事は、たとえば「こういう課題があるんですよね」と言われたら、ノークッションで「なるほど、じゃあこの企画をやってみませんか」じゃないですか。
妻 そうじゃないのよ。「あ~、そうなんですか~」っていうと相手がもっと詳しく話してくれるじゃない。「実はこういう事情で~」とか「市場の変化があって~」とか。
夫 できる営業みたいな感じの……。
妻 できるっていうか、普通じゃないかなあと思うけど。まあ仕事については口出しはしないけど。そのくらいです!
■夫→妻への不満
夫 なんとなくモヤモヤしたまま終わりましたが、続いては妻への不満です。
妻 そんなものあるの?(ジト目)
夫 あるんですよ、驚くことに……。
妻 おどろき~。
夫 まずは「Baby-mo 2017年春夏号」より抜粋です。
★妻への不満
◎機嫌が悪いときが多すぎる
・毎日にらむ&ため息のオンパレード
・1分で機嫌が激変
◎家事も育児もがんばっても怒られる
・子守を手伝ったのにイヤ味を言われてショック
・手伝っても冷たい……仲よくしたいだけなのに
出典:Baby-mo 2017年春夏号
夫 「手伝う」っていう言葉はどうかと思うんですけど、一言でまとめれば不機嫌ですよね。朝、わたしが洗面所で顔を洗って、戻ってくるともう不機嫌じゃないですか。
妻 そうかな~? 全部理由があると思うんですけど~。
夫 たとえば、わたしが赤ちゃんを抱っこしてて、赤ちゃんがよだれをたらしてて、わたしのガーゼハンカチが足元に落ちてて……。
妻 あーっそれムカつく! 思い出した! 「赤ちゃんを抱っこしてても足元に落ちてるものくらい自分で拾えるじゃん」って思うの!
夫 でもそっちもそこにいるじゃん、赤ちゃん抱っこしてると腰かがめるの大変なんだし拾ってくれてもいいじゃん、って気持ちになる。
妻 甘い。それが甘いの。だって目の前にあるじゃん。
夫 でもおなじ立場だったら「取って」って言うでしょ?
妻 言うこともあるけど、「ちょっと取ってくれる?」っていうでしょ。もりちゃんは「あ、ハンカチが……」って。なんだよハンカチが、ってなるわけよ。
夫 言い方……それはこう、相手を慮ってるんだよ。ストレートに言うと角が……。
妻 立たない!
夫 「取って」の言い方も怖いのよ。「早く取れよテメー」って感じで、投げっぱなしというか、命令っぽくて、語尾にため息が混じってそうなんです。
妻 そんなことないけどな~。
夫 あと、あれもある。
妻 何? まだあるの?
夫 わたしに赤ちゃんを託したとき、完全にパキッと自分の世界に入っちゃうやつ。お風呂に入るとか、仕事のメールを返すとかで。そうなると、こっちは赤ちゃんと2人になったみたいでさみしいんですよ。ちょっとでも話しかけるとジャマにされて……。
妻 超ジャマって感じになる。「30分ガマンできないの?」って。
夫 でもそっちは話しかけてくるじゃん、わたしが仕事してるときも。
妻 もりちゃんは会社でも仕事できるんだからいいじゃん。
夫 それは、同じ条件ならズルいじゃないですか。
妻 でも「話しかけないで」っていうときは本当に集中したいときだから。そんなとき小さい声で話しかけられると聞こえないし……そうだ! 夫への不満! 声が小さい!
夫 これ、妻への不満のコーナー……。
妻 だって聞こえないんだよ。でもね、お母さんに言ったの。「盛田くんの声が小さくてイライラする」って。そうしたら「それはね、もって生まれた声なんだから、そう言ったらかわいそうだよ」って言われたの。「でもね、演劇部なんだよ」って。
夫 舞台とは全然発声ちがいますから。でも、Baby-moに書いてあった「家事も育児もがんばっても怒られる」はないかな。やり方が妻とちがって怒られるというやつ。
妻 そういうのはさ、「俺やってる」っていう自己満足で、相手に求められることをやってないんじゃないの? 友だちから聞いた話だと、「お風呂に入れるっていうのは寝かしつけができる状態までやることなんだよ!(怒)」ってことなのに、着替えとかが、全部出しっぱなしで、本当に“入れる”だけなんだって。
夫 あ、でもその話だと、工程を説明しないよねって思う。説明嫌いすぎじゃない?
妻 そんなことないよ?
夫 うそだよー、めちゃめちゃ面倒くさがってるじゃん。たとえばね、あんまり育児やってない人からすると、「お風呂イベントにはこういう達成条件が含まれています」ってチュートリアルが欲しくなるわけじゃないですか。でもそういうこと言うと……。
妻 うっわー、面倒くさー。
夫 ……ってなるじゃない。
妻 そういうのムカつくんだよね。1から10まで説明しなきゃいけないのかよって。
夫 でもさ、自分がしてほしい仕事だったらちゃんと説明しないとできなくない?
妻 いつもは誰かがそれをやってるわけじゃん。自分がやってないときも。
夫 そうかもしれないけど、仕事だったら、「なんでこれやってないの?」「そこまでやれって言われてなかったんで」ってなるじゃん。
妻 「ンだよ仕事できねーヤツだな」ってなる。
夫 厳しい……。
妻 まあでも盛田くんはそういうことがないから助かってるところはあるかもね。
■育児の楽しさ&切なさ
夫 不満をぶつけあってギスギスしたところで、育児のキラキラした話です。最近よく子供が育つのがうれしいけど切ない、という話をしてるんですけど。
妻 かわいすぎる、どんどん大きくなっちゃう! ってことね。
夫 毎月、別人みたいに育っていきますからね。
妻 わたしも最初は1年未満で育休を切り上げて復職しようと思ってたけど、育休を切り上げたいのか、切り上げたくないのか、わかんなくなってきたところがあるな。まあ、保育園は申し込みしてても空きがないんだけどね。離乳食が始まったばかりだし、なるべく自分でやりたいな~ということも増えてきた。
夫 わたしの場合、育休を取っていたからというのもあるかもしれないけど、復職後に赤ちゃんと接する時間が短くなった、さみしい~という感じがある。
妻 ああ~、そうかもね~。
夫 ほぼ朝だけだからね。夜は、寝かしつけタイムに帰ってくるから。これが保育園に通いはじめたらもっと短くなるよね。朝の時間も本当に一瞬だけになっちゃう。
妻 そうなんだよね~。最初は保育園を見学してたときも、延長保育の有無とかばっかり気にしてたけど、今となってはむしろ延長なしで、自分が働き方を変えればいいんじゃないかって思うようになってきた。
夫 あとは、できないことがなくなっていくのがさみしい、って気持ちもあるなー。
妻 うーん?
夫 新生児のころは、感情表現もできないし、移動もできないじゃない。初めのうちは視力も弱くて20~30cmくらいの距離しか見えてなかったけど、いまはもう数メートル向こうからこっちを見てニヤーってしたりするでしょ。言葉も、そのうちこっちとおなじ言葉でしゃべるようになったら、ウェイウェイアーアー言わなくなるわけじゃない。そういう、人間になっていく喜びとさみしさが同居しています。
妻 そうだね~。それがうれしさとおなじだけのボリュームなんだよなー。一歩一歩自立に向けて動いてるんだなーって。すごーいって思うけど、さみしー、って思う。
夫 パンダの赤ちゃんとか見てて思うんだけど、哺乳類の赤ちゃんって、みんな、赤ちゃんっていう生き物なんだなーって思うんだよね。だけど赤ちゃんが赤ちゃんでいられる期間は本当に短くて、すぐ、人間の子供に変わっていっちゃうんだなと思うのね。
妻 あっという間なんだよね……。わたし、生まれてすぐに「ああ、わたしはきみがおじいさんになるところが見られない」と思って、泣けるくらいだったよ。最初のうちはホルモンのせいなのか、心の振れ幅も大きいから、さみしー! って。
夫 逆に、育児でいちばん楽しみにしているのは笑顔ですね。
妻 あー、かわいいよね~。
夫 あのニコーッていう笑顔があって初めて、親になれたというか、楽しいと思えたという気持ちもあって。最初、新生児のころは表情がなかったから、かわいいんだけど、なんか人間らしさがなくて、昔飼っていた金魚みたいというか……。
妻 たしかに、魚類とか昆虫みたいな、通じなさがあったよね。
夫 そこに笑顔が出てくると「おおっ、コミュニケーションだ!」って。
妻 朝も笑いながら起きてくるしね。そのうれしそうな顔を見てるとさ、大人になると「あ~、今日も朝になっちゃったな……」って思うけど、本当はちがうんだな、本当はこうなんだって、思い出すところがあるなあ。
夫 感動的ですね。
妻 いろんなことに挑戦したり、学んだりしていく過程も、本当に熱心にやっていて、やりつづけたら、何日かすると本当にできるようになっていくから。勉強や仕事に全部はあてはまらないかもしれないけど、人間って本当はこういう生き物なのかもって。
夫 外で抱っこしていて、植物の葉っぱをブチッて取って、しげしげ見て、ポイッて捨てたときは感動したなー。「これはどんなだろう」って好奇心そのものだなと思って。もうこの人は、手を伸ばして、この世界のことを知ろうとしてるんだなー、って。
妻 最近はもう、うつぶせの状態から回転して方向転換するようになったしねー。
夫 興味のあるものがあるほうにね。
妻 「これにねらいを定めてる!」ってわかるもんね、見てて。あれはすごいよ。
夫 前に記事で紹介した「ベビーサイン」も7~8ヵ月くらいからはじめるって書いてあったから、記号を使ったコミュニケーションもとれるようになるわけですね。
妻 楽しみー! だけどさみしー!
■お互いの改善すべき点
夫 長いこと話してきましたが、最後は半年間を振り返り、お互いに今後の生活で変えていってほしい点を伝え合おうと思います。まずわたしですが、怖いところ。
妻 えー?
夫 「それやっといて」とかも、吐き捨てるような感じに言われるのが怖いです。
妻 えー??
夫 まあ口調はともかく、イラーッときたときの爆発が本当にすごくて、赤ちゃんがビクッとするときがあって。今後もそれがあったら怖いなーと思うので、直したいなと。わたしにできることがあれば、協力してやっていきたい気持ちです。
妻 気分の浮き沈みね~。それはわたしの弱点というか、欠点ですね。
夫 そのほかは本当にがんばってくれていて、すごいなと思います。赤ちゃんとのコミュニケーションにしてもそうだけど、愛のかけ方がマネできない。男女の差とかいうのではなくて、人間として、愛の表現に長けているという感じが……。
妻 もっと普段からほめたらいいんじゃない?そういうの。
夫 いや、まあ……はい。がんばります。そちらはどうですか。
妻 声を大きく。
夫 育児関係ないですね……。
妻 やっぱね、すべての会話を聞きかえすのがストレスなんだよね~。なんでだろうと考えたんだけど、もりちゃんは一人っ子だから、どんなに小さい声でしゃべっても、親は「なあに?」って聞いてくれるわけじゃない。わたし、それはできないと思った。
夫 一人っ子関係あるかなあ~……。
妻 小さい声なら小さい声なりに、こっちを向いて話すとか、近くに来てから話すとかしたらいいんじゃないかなと思うよ!
夫 では、まずは赤ちゃん1歳の誕生日に向けて、お互いに精進していきましょう。
* * *
育児について妻とみっちり語ってみました。ちょっとでもみなさんの参考になれば幸いです。
それと、これは想定外だったのですが、いざ話してみると、相手に対してモヤモヤ感じていたことが解決するというか、気持ちの整理ができてスッキリする効果がありました。
赤ちゃんも、わたしたちも、わずか半年間で本当に大きく変わっていきます。すさまじい変化のスピードに自分たちの気持ちを追いつかせるためにも、こうして気持ちを伝え合う会をひらけたのはちょうどよかったのかもしれないなと思いました。
マスキングテープを「1/2」の形に切ってかわいい写真を撮るのもよいですが、すこし長めに時間をとり、半年を振り返ってみるのもよいのではないでしょうか。やってみられた方は、TwitterかFacbookでご感想をお聞かせいただければと思います。
次回、8月23日・8月30日のコラムはお休みです。また9月にお会いしましょう。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。0歳児の父をやっています。Facebookでおたより募集中。
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