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ふるさと納税で日本初「コンピュータクラブハウス」資金調達へ:

“崖っぷち”地方都市がICT教育のリーダーになった理由

2019年03月01日 09時00分更新

文● 相川いずみ

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 「このままでは、加賀市は将来消滅してしまう」

 石川県加賀市は昨年12月12日、学校教員向けにプログラミング教育の研修をしているNPO法人みんなのコードと共同で、日本初のコンピュータ学習施設「コンピュータクラブハウス」開設を発表。ふるさと納税制度で支援を集めるという目新しさも注目を集めた。しかし話の発端には、市長のかつてない危機感があった。

 加賀市は、日本海に面し、人口は6万8000人ほど。“加賀温泉郷”と呼ばれる日本有数の温泉地のひとつで、山中漆器などの伝統工芸で知られている。一方、昭和60 年のピーク以降は人口の減少に悩んでおり、「若年女性の減少により、消滅が予測される都市」のひとつであると指摘されている。

 「石川県では、能登半島も消滅可能性都市ですが、金沢から南にある自治体の中では、加賀市だけが消滅可能性都市と言われています。生きるか死ぬかの崖っぷちで、我々はものすごい危機感をもっています。東京にいると感じないと思いますけれど……」

 そう切々と危機感を語ってくれたのは、2013年から2期にわたって加賀市長を務める宮元陸氏だ。

加賀市長・宮元陸氏(手前)、みんなのコード代表・利根川裕太氏(奥)

■危機感から始まった教育改革

 危機感の中、加賀市が注力する対象として選んだのは「人材育成」だった。

 「『米百俵の精神』ではないけれど、やっぱり人なんですよ、最後は。一番大事なところは人。人材育成が原点です。時間はかかるけれど、一度そこに戻ろうと思いました」(宮元市長)

 「米百俵の精神」とは、幕末の貧乏な長岡藩が支援された百俵の米をあえて学校開設の費用にあてることで、「明日の一万、百万俵となる」とした有名な逸話だ。加賀市も、目前に起こっている人口減少の対策として、一見遠いとも思える、子育て支援と教育に注力することを選んだ。

 そのひとつが、加賀市が2016年から全国に先駆けて実施してきたプログラミング教育だ。

 現在、加賀市のすべての小・中学校で、年間5時間のプログラミング授業を2017年度から実施している。2016年には総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業のプロジェクトに参加し、「2020年必修化を見据えたオープンで探求的・総合的なプログラミング学習」を加賀市内の小学校高学年で実施してきた。

子どもたちはプログラミングに夢中だ 写真:加賀市

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