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盛田 諒の「ほぼほぼ育児」第8回

高熱ワンオペ育児やばかった…

2019年05月31日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 盛田 諒です、2歳児くんの保護者をやってます。最近つらいことがあるたびに宇多田ヒカルさんの「花束を君に」がふっと口をついて出てきます。毎日の人知れぬ苦労やさびしみもなく、ただ楽しいことばかりだったら愛なんて知らずにすんだのになあ、と。最近口から花束が出てきたのは、妻不在でワンオペ育児をやっていた日曜に40℃近い高熱が出たときでした。

●ゾンビが子どもの世話をする

 熱でめまいがしてひどい腹痛もかかえる中、子どもと遊び、ごはんやお風呂のことを考えなければならないというプレッシャーは想像以上でした。ゾンビよろしくふらつきながら「抱っこしてー!」という子を抱えあげ、「まだ遊びたいだけなのー!」という子をごはんの席につかせ、「お風呂入らなーい!」という子を抱えて湯船に入るにも相当なパワーが必要でした。「自分がやらなければ誰もやってくれない」という思いだけがゾンビの手足を動かしていました。

 いま思えば別にお風呂なんて入らなくても死なないんだから省略すればよかったのではないかと思うのですが、まともな判断力がゼロになっていたためか、「健康管理も育児のうちだ」などというブラックめいた呪詛をつぶやきながら気合いだけで動いておりました。危ないです。

 それでも最後にはソファに横になることがだんだん増えました。トイレで「おなかいたい……」とうずくまっているわたしを見つけた2歳児くんが「いまお父さん病院にしてあげるからね」と言いながらなぜかトイレのフタをぎゅうぎゅう閉めてくれたときには申し訳ない気持ちになったものです。どうにかこうにか子どもを寝かしつけたあとはそのまま沈みこむように寝てしまいました。後から誰かに頼れなかったかと思いましたが、熱が出た当日に遠くの親を呼ぶのは現実的ではなかったし、地元のファミリーサポートは日曜休みだったので手づまりでした。

●頼れる先を増やしたい

 親が風邪をひいたときはみんなどうしているのだろうとネットを見ると、やはり「親類に頼る」か「ファミリーサポートを使う」。中には「子どもにテレビを見ていてもらう」というのもありました。hanakoママのウェブ版には「ママが風邪でダウン。子どもを見るのはパパ?それともやっぱりママ!?」という調査記事があり、約3割が「ママが見ています」と回答していて肝が冷えました。理由はパパが仕事を休めないからですが、結局「熱を出してもママは休めない」状況です。

 日本以外、欧州などではふだんからベビーシッターやハウスキーパーに家事育児をまかせることが多いといいますね。熱を出したときもシッターさんがいると思えばある程度安心できそうです。もちろん日本にもベビーシッターはあるので、試しておけばよかったなあと思いました。ちょっと前までは高額な印象がありましたが、最近は1時間1000円からなど料金がこなれた業者も出てきています。数年前からは国がベビーシッター派遣事業をはじめたり、東京都がベビーシッター補助金制度を設けたりしていますね。子ども3人安心して生めるくらいの公的支援がほしいですなあ。

 ベビーシッターのような民間サービスに限らず、地元だけでなくNPOのファミリーサポートに登録したり、地元のパパママコミュニティに参加したり、「頼れる先リスト」を増やしておくことがよさそうだと思いました。ただリストを作るだけではなく普段から頼れれば、子どもも慣れるしいざというときも安心です。ただ最初は腰が重いので、高熱地獄の記憶もあざやかないまのうちに始めておこうと思います。ワンオペでなくても家事育児は大変なことがたくさんあるので、頼れる先が多いのはいいことです。どんな人でも気軽に頼れる先がたくさんあってほしいですなあ。

●他力に頼ることがあって当然

 あらためて考えてみると、ワンオペ育児というのは言葉のもととなった「ワンオペ」と同じく大変なだけではなく危なっかしくて困った設計ですよね。休めないプレッシャーが負担になるのは専業でも共働きでも男でも女でも同じこと。配偶者を含め、他力に頼ることがあっても当然のはずなのですが。そういえば母がむかしひどい頭痛で倒れたとき「もう大丈夫だから」とふらふら夕食の支度をしていたことがありました。「そんなことはいいからお母さんは寝ていて」と心配していたのですが、親になった自分も知らずに同じことをしていたんですね。ああまた口から花束が。盛田 諒でした。





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