3歳児くんの保護者をしてます盛田諒ですこんにちは。緊急速報メールで告知されたがまんのウィークがようやく終わりました。国が緊急事態宣言を出して1ヵ月、子は週1回の保育園がイヤで大泣きするようになりました。予防接種でも泣かなかったというのに。私たちと遊ぶのがそんなに楽しいのかと思うとかわいくなりますがならし保育の成果がパーじゃねえかと思うと泣きたくなりますね。
もうひとつ泣きたくなったのは日々子どもと室内で遊ぶのが地味にしんどいこと。家電メーカーなどは日ごろ「家事の時間を減らして家族の時間を増やす」などと言っていますが家事のほうが100倍ラクじゃないですか。子どもと遊べる時間は今だけなんてことは百も承知ですが、それでも遊ぶのはしんどいものなのです。
●ついに動画頼りに
子と遊ぶのは退屈との戦いです。たしかに子の想像力はすばらしいですよ。本棚の棚板を重ねてスポーツカー専用の駐車場にしたり、ありったけのタオルケットを床に広げてくまさんやペンギンさんとピクニックをするのは可愛らしいものです。外から見ていれば子どもの豊かな想像力や表現方法に驚かされることでしょう。問題はこちらが客観的ではいられず、つねにイマジナリーシアターにご招待されることです。
子は「見て!」とNISSAN GT-Rを宙に飛ばしてみせたり、「お父さん『ここに何が入ってるの?』って言って!」と決まった台詞を何度も言わせたり、「お父さん青い車なーんだ?」と何を答えても不正解になる不条理なクイズに答えさせたりします。しかもこのオーダーが秒単位で変わります。シラフじゃ無理だとワイン片手に相手をしたこともありますが、判断力が低下しただけで効果は芳しくありませんでした。
対処法のひとつとして、こっちが与えたゲームをやってもらう手はありました。一緒にクッキーやプリンを作ったり、庭でシャボン玉を飛ばしてみたり。家事をしようとすると子どもが必ず「はるくんもやる!」と乗っかってくるので適当に家事ごっこをしてもらうこともありました。一定の効果はあるものの、こっちが与えたゲームはせいぜい30分もすれば終わってしまい、イマジナリーシアターに逆戻りです。
「不思議の国のアリス」のように意味も脈略もないゲームが続くなか、なんとか正気を取り戻そうとスマホでも見ようもんなら「お父さん見て!」と子に怒られます。電子書籍を音声アシスタントに読みあげてもらおうとしても、子がのべつまくなしに何やらしゃべりつづけているため話を聞き漏らすことがあり、仕方がないのでラジオで適当な教養番組を流すことでかろうじて正気を保っているのが最近です。
結果、今まではなるべく避けていたテレビやパソコンを見せる時間も増えてしまいました。おかあさんといっしょ、しまじろう、赤毛のアン、カーズ、シンデレラ、ラプンツェル、何かの本についていたトミカの宣伝のようなDVD、子どものメディア接触時間は4月だけで2年の合計値をぶっちぎりで上回る勢いで増えています。今までに積み重ねてきたものがあっさりくずれていくようで切ないものがあります。
●社会が子どもを見てくれていた
あらためて感じるのは親だけが子育てをしているわけではないということです。保育園に行けば保育士さんや友だちも子どもの相手をしてくれます。普通に外に出るだけでも外の世界が子どもの相手をしてくれます。親は親、子は子で、それぞれ外部の人や世界と関係することでこの社会は作られてるもんなんですよね。子連れでスーパーに行ったとき「子どもを誰かに見てもらえないの」と言われたみたいなさみしい話をインターネットで見かけましたが、これまではスーパーに来ている人たちも含めて外の社会が子どもを見てくれてたんだよなあと思います。
もちろん親子で過ごす時間が増えること自体は良いこともたくさんあります。子どもの写真は4月だけで2000枚を超えており、あとからスライドショーを振り返れば、かつてないほど子どもとの密な時間が過ごせた期間だったと感じるはずです。子育てとはそういうもんだと折にふれて思うことですが、8割のしんどさと2割の幸せを心身に感じながら「これも今だけ」と自分に言い聞かせながら日々をやりすごすことですよね……と、子どもが昼寝から起きてきましたね。なんですか、ハイパーレスキューが緊急出動? よかった、ちょうど今ここに救助が必要な大人がいるんですよ!
(4月24日、5月1日は休みました)
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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