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グリップがよく望遠向け:

オリンパス「OM-D E-M1X」手ぶれ補正すごすぎ

2019年01月24日 15時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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OLYMPUS OM-D E-M1X
2月22日発売
34万円前後(想定・本体のみ)
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/em1x/index.html

●良いところ
・縦位置のグリップがいい
・手ぶれ補正最大7.5段(手持ち4秒がいける)
・TruePic VIIIプロセッサー2枚で新機能色々
・電池2個入る、USB給電しながら撮れる

●悩むところ
・でかい
・重い
・34万円

 オリンパスが24日、マイクロフォーサーズ規格準拠の新型ミラーレスカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1X」を発表した。標準で縦位置グリップがついた懐かしい形のカメラ。OM-Dの中では大きくて重いプロ向け望遠向けのモデルだ。従来機OM-D E-M1 Mark IIより縦持ち時のグリップが良く、縦でも横でも同じように使えるようボタン配置などを工夫した。有効画素数は約2037万画素。

 機能的にはジャイロセンサーを良いものにして手ぶれ補正最大7.5段を実現したのが大きな特徴(OM-D E-M1 Mark IIは最大6.5段)。7.5段は望遠手持ち4秒が実用的というレベル。オリンパスいわくOM-Dの強みは小型軽量・高解像レンズ・手ぶれ補正。「35mm換算600mm F4手持ち」をつきつめてここまで来た。

 ちなみにこのくらいジャイロの検出精度が上がると地球の自転をノイズとして拾ってしまうらしく、センサーを基盤に搭載するときにかかる応力のような他のノイズを減らすことで実現したと同社は説明していた。すごい世界だ。

 他に大きなところでは画像処理エンジンTruePic VIIIのプロセッサーを1枚→2枚に倍増。パフォーマンスを良くして、映像処理系の新機能を入れた。

●AIによる被写体認識AF搭載

 目玉機能は3つ。

(1)インテリジェント被写体認識AF機能。AIが「バイク」「電車」「飛行機」等を認識して、たとえばバイクならドライバーのヘルメットに自動でピントがくる(普通1点AFで撮るのが難しい)。画像をたくさん学習させて認識できるようにしたとのこと。原理的には瞳AFなどにも応用できるそうで今後に期待。

(2)手持ちハイレゾショット機能。三脚を使わなくても高解像度の写真を生成できる。従来8枚の写真を連続生成・合成で高解像度写真を生成していたが、16枚の写真をランダム生成・合成させることで、手持ちでも50メガの高解像度写真を作れるようになった。普通のハイレゾショットは処理速度が上がった。

(3)ライブND機能。NDフィルター持ってなくても日中スローシャッターができる。普通はフィルターで光量を減らすが、ライブNDでは細かく区切って露光した複数の画像を生成・合成し、疑似的にND同等の長秒時を実現したとのこと。魚眼レンズ装着時など物理的にフィルターをつけづらいときにも便利な機能。

 メモリーカードスロットは2つで、両方とも転送速度が早いUHS-IIに対応した(SDHC/SDXCメモリーカード)。連写に便利だ。これもプロセッサー倍増で実現した。起動やスリープからの復帰なども従来機より早くなっているそうだ。

 余談ながらこれらの新機能はチップ倍増で実現したものなので、逆に言うと従来機には搭載できない。形状そのままでプロセッサーだけ増やしたOM-D E-M1 Mark IIIを出してくれないだろうか。従来機も安くなりそうだし。

●AF測距点をカスタマイズできる

 他に、オートフォーカス、連写、動画なども新機能を追加した。

 オートフォーカス方式は従来同様121点オールクロス像面位相差AF。ファインダーをのぞきながら測距点を変えやすいマルチセレクターを新搭載し、C-AF中にフォーカスリングを回してMFに切り替えられる機能も新たにつけた。どちらもファインダーに目をつけたまま焦点合わせをしやすくするための工夫。

 AFターゲットは1点、5点、9点に加えて25点を追加。25点は鳥や小動物の撮影向きだという。さらに自分でAF測距点を選べるカスタムモードもついた。縦一列、横一列のオビなど、任意の測距点群を自分で作れる。AF低輝度限界は-6EV。

 連写は従来機同様で毎秒最高約60コマ(AF/AE追従で同約18コマ)。新機能はLED光源のフリッカーレス撮影。LED光源で連写すると明暗にばらつきが出てしまうので、光量ピーク時のみ撮るというもの。ピーク時以外を省くためにコマ速度どおりは撮れないが、代わりに光量不足のショットがなくなる仕組み。

 動画はLOG撮影に対応して、撮影後のカラー・グレーディング(色合わせ)がしやすくなった。手ぶれ補正強度を3段階から選べる機能もついた。これは従来、手ぶれ補正が強すぎてカメラをパンさせたときに手ぶれと認識されて不自然な映像になってしまうことがあったためという。

 サイズは幅144.4×奥行き146.8×高さ75.4mm、重量は約997g(本体のみ849g)。でかいぶん電池が2個入るようになり、OM-Dの弱点だった電池持ちの悪さが補えるようになった。電池残量は2個ぶん同時表示できる。USB給電にも対応し、モバイルバッテリー等から給電しながら撮影できるようになっている。

 OM-Dの強みである防塵防滴・耐低温性能もさらに向上した。レンズ交換時ほこりが入らないようにするダストリダクション機構では、フィルターにほこりがつきづらいコーティングを施した。野外撮影で重宝しそうだ。

●OM-D E-M5 Mark IIIも出してほしい

 OM-D E-M1XとあわせてM.ZUIKO PROレンズなども発表した。

 レンズ関係では、1.25倍テレコン内蔵でF4.5通しの150-400mmレンズと、2倍テレコンを開発発表。レンズとテレコンを一緒に使うと35mm換算2000mmの望遠になる。E-M1Xが望遠カメラという位置づけなので一緒に買ってくれるとうれしいな~! というもの。価格未定だがPROレンズなので安くはなさそう。

※レンズとテレコン
M.ZUIKO DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20

 従来機OM-D E-M1 Mark IIは新色シルバーを追加。税別22万円前後(想定)。同機種を2台持ちしている人から「色で区別したい」という声があったからということ。知り合いの山好きお兄さんが2台持ちしているので分かる気がした。

 あと電波式のフラッシュ用アクセサリーとフラッシュを追加。今までワイヤレス撮影アクセサリーには光通信を使っていたが、光だとディフューザーの影響でうまく動かないときがあるという声にこたえたものという。

 OLYMPUS OM-D E-M1Xはプロ向け望遠向けの仕様。OM-D E-M1 Mark IIより良いグリップを求める人向け。街使いにはでかくて重くて高いので趣味向けにOM-D E-M5 Mark IIIなども出してほしい。動画を強くしたやつをぜひ。



書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味。赤ちゃんの父をやっています。育児コラム「男子育休に入る」連載。Facebookでおたより募集中

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