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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第69回

16インチを形作る2つの基準:

アップルMacBook Pro“制限”にぶつかる

2019年11月20日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●新デザイン「排熱」がゴール

 今回のMacBook Pro 16インチは、15インチからボディサイズが拡大しながら、ベゼル(ディスプレー周辺の額縁領域)は上部で25%、両サイドは34%小さくなり、特に左右については、縁なし液晶のLiquid Retinaを標榜するiPad Proよりも狭いベゼルを実現しています。

 ギリギリまで液晶を敷き詰めることで画面サイズの拡大に対してボディサイズの拡大を抑える方法は、スマートフォン、タブレット、そしてノートパソコンでも同じ考え方と言えるでしょう。

 しかし内部は大きく変化しました。今回の新デザインの最大のゴールは、サーマルデザイン、つまり排熱性能を高めることにあります。

 コンピュータのプロセッサやグラフィックスチップは、処理をする際に発熱します。MacBook Proに限らず、ハイパフォーマンスのコンピュータのボディが熱くなってしまったり、パソコンを置いていた机の上に熱が残ったりしていることに気づく方も少なくないはずです。

 処理によって発生する熱によって、実は処理性能が左右されてしまいます。コンピュータ内部の温度が高まることで起きる暴走を防ぐため、処理性能にストップをかける仕組みです。そのため、コンピュータの排熱設計は、コンピュータの性能に直結する重要な要素なのです。

 今回のMacBook Proでは、ヒートシンクのサイズを35%拡大させたほか、ファンのサイズ拡大と羽を増やすことで空気の流れを28%向上させました。これによって、以前のモデルに比べて、高付加時に12W多くの電力をプロセッサやグラフィックスの処理に充てられるようになりました。

 今後、ますます排熱性能がコンピュータのパフォーマンスに関わってくることを考えると、今回の16インチで余裕を持った設計を施すことで、今後さらに競争力をつけていける体制を整えた、といえます。

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