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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第315回

アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問

2022年04月05日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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 アップルは2020年のWWDC(世界開発者会議)から、自社設計のApple Siliconへの移行計画を2ヵ年で進めています。その期限が2022年6月に迫っていますが、2021年を終えるまでに、MacBook Air、 Mac mini、iMac、MacBook Proの4つのモデルを移行しました。

 3月のイベントで登場したMac Studioで、ミドルレンジからハイエンドのデスクトップモデルの置き換えを実現し、残すはMac Proの披露だけとなっています。Mac Studioの位置づけやこれまでのMacラインアップについて、考えていきましょう。

Mac StudioとM1 Ultra

 Apple Siliconへの移行は、M1というローエンドモデルから発表されました。ローエンドといっても、アップルとしては飛躍的に、そもそもの価格設定が低いPCを含めても、競争力ある性能価格比を実現する製品です。人間が息切れするぐらい、ノートパソコンのバッテリー持続時間が延びました。

 そこからM1 Pro、M1 Maxへと展開するMacBook Proを登場させ、さらにM1 MaxとM1 Ultraを搭載するMac Studioを登場させたという流れ。省電力性を今度は製品設計の柔軟さ・小型さに生かす形で、小さいボディでより高い性能を発揮する製品を作ってきました。

 重要なのは熱設計で、プロセッサの放熱をいかに効率的かつ静かに外に出すかがポイント。Mac Studioは、底面から吸い込んで中を冷やし、背面に空気を出しています。

 その内部で最大の熱源であるプロセッサ効率的に冷やすためのヒートシンクは、M1 MaxモデルとM1 Ultraモデルで異なっています。前者はアルミ、後者はより熱伝導率が高い銅が用いられています。結果、M1 UltraモデルのMac Studioの方が900g重たいそうです。

 M1 Ultraは、2021年10月にM1 Maxが発表された頃には明らかにされなかった「Ultra Fusion」というコネクターで2つのM1 Maxを接続することで、2.5TB/sというチップ間のデータ速度を実現。ソフトウェアからは1個のチップとして見えるため、特別なコードや最適化が不要としています。

 それでいて、メモリ間転送は800GB/sと2倍になり、CPUコア数は2倍の20コア、GPUも48もしくは64コアで2倍。ビデオ処理を高速化するメディアエンジンも2倍。先述のコネクタだけでなく、それぞれ倍増するチップのリソースを管理するコントローラーも、対応するものがM1 Maxにあらかじめ用意されているというから驚かされます。

 筆者はM1 MaxのMacBook Pro 14インチをメインマシンとして使っていますが、M1 Maxで何か不満な処理があるかと言われると、あまりありません。筆者にとっては4Kビデオの編集が最も重たい作業で、書き出しのスピードに感動しますが、これもM1でできないことはありません。

 自分が明らかにM1 Ultra(もしくはM1 Maxも)のターゲットユーザーではないことを自覚することになるのです。

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