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7割はデジタルマーケ部門なし、担当者任せが浮き彫りに

2014年07月29日 11時00分更新

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 今年も実施しました「企業のインターネット広告・モバイル広告利用動向調査」。日経BP社との共同調査で今回で6回目になります。

 企業のマーケティング活動において着実に存在感を強めているスマートフォン。活用企業の増加と共に、事業貢献を実感する企業が少なくないことが確認できた調査でした。一方、スマートフォンのマーケティング活用を踏み留まっている企業が多くあるのも事実です。

 そこで、「スマートフォン活用の課題・障壁」「組織」というテーマを中心に少し深堀してみました。すると、一部のデジタルマーケティング“担当者”が置かれている、悩ましい環境が見えてきました。スマートフォンに具体的な可能性を見出しつつも、全力でチャレンジしきれない歯がゆい状況下で日々戦う、デジタルマーケティング“担当者”の存在です。

デジタルマーケティングの専門セクションがありますか?

「専門セクションはないけれど、専門人員は配置されている」企業が9%(BtoC企業で14%)

 従来のPCに加え、スマートフォンの可能性を吟味し活用の検討を進める専門セクションとして、各企業にデジタルマーケティングの専門セクション有無を聞いたところ、以下のとおりでした。

 「セクション・人員はいない」企業が過半というのが、現在の実態です。 そして次に割合が大きいのが「専門の人員が配置されている」企業です。

 デジタルマーケティングが、部や課などの組織として、ある程度の決裁権をもって進められているのではなく、担当者(人)の任務として推進されている企業が割と多いのです。企業のデジタルマーケティングの推進を担当者(人)が担っているわけです。判断を仰ぐ場面、相談する場面、なかなか苦労が多いのではないでしょうか。

マーケティング活動におけるスマートフォン活用の課題・障壁

「効果はイメージできるが、協力者がいない、理解も得られない」by デジタルマーケティング”担当者”

 デジタルマーケティング専門セクションの配置状況別に、スマートフォン活用の課題・障壁の回答を確認してみました。すると具体的に、部や課ではなく“担当者”がデジタルマーケティングを担う企業の苦労が見えてきました。

 スマートフォン活用について、おおよその効果がイメージできているにも関わらず、共に推進する担当者が足りず、そもそも上司や関連部署、経営層の理解を得られなくて困っている状況がうかがえます。

 これでは、チャレンジも進まず知見/ノウハウの蓄積も困難なはずです。

スマートフォンの貢献状況:「売上の増加」「来店者数の増加」

「誰よりも期待しています、スマホの事業貢献」by デジタルマーケティング“担当者”

 スマートフォンの貢献状況についても、デジタルマーケティング専門セクションの配置状況別に確認してみました。特に事業に直結する「売上の増加」「来店者数の増加」についてです。

 デジタルマーケティング“担当者”(専門人員配置企業)の3割が「売上の増加」に、2割が「来店客数の増加」に、スマホが貢献しているとしています。部や課のある企業に劣っていません。そして何より、「まだ貢献実績がないが、期待できる(取り組みに積極的)」とする割合は、部や課のある企業より高い値を示しています。

 そこには、立ちはだかるスマホ活用の課題・障壁を少しずつクリアしながら、デジタルマーケティング“担当者”が可能性を検証すべく積極的に取り組む姿が見えます。

組織としてスマートフォン(モバイル)の重要性理解が鍵

 担当者個人単位ではなく、組織としてスマートフォン(モバイル)の重要性理解が進まない限り、企業のデジタルマーケティング、マーケティングが一定以上の成果を出すことは非常に難しいことが想像されます。

 2014年度はこのようなデジタルマーケティング”担当者”の方々が、周囲、上司、代理店を巻き込んで次々とチャレンジされていく年。小さくても、スマホのマーケティング活用PDCAがあらゆる企業で回り始めるような年になって欲しいと思います。

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