格安スマホやサブブランドはどうなるのか
日経新聞の報道によれば、菅官房長官は「日本の通信料金は海外に比べて高い」といった主旨で発言しており、特にイギリスが5割程度ならば、日本はいまから4割程度、値下げできるのではないか、というのが根拠としてあるようだ。
しかし格安スマホ勢であれば、すでにキャリアの料金に比べて5割以下の料金プランが設定されている。キャリアにおいても、サブブランドであるワイモバイルが5割以下の料金プランで格安スマホ業界を席巻している。
ちなみに、ソフトバンク宮内謙社長は菅官房長官の発言を受けて「我々のサブブランドで約1500円のプランを提供している。こうした取り組みも考慮してほしい」と発言。料金値下げに対し、前向きに取り組んでいるとした。
菅官房長官としては、国民の共有財産である電波を利用しているにも関わらず、キャリア各社が大幅な利益をたたき出している点に納得がいっていないようだ。
しかし、「キャリアが巨額な利益を出している」という批判に対し、KDDIの髙橋誠社長は「我々は1兆200億円の利益を目指してはいるが、そのうち6000億円は設備投資などをしている。また株主がいるので、4000億円は配当や自社株買いをしている。これを続けていかないことには世界に誇れる日本の通信品質を維持できない。ここはもう少し理解してほしいところだ」と反論する。
ソフトバンクの宮内謙社長も海外では莫大な設備投資をし、回収していくのが前提としており、「儲けすぎ」という指摘に困惑しているようだ。
仮に携帯電話料金が4割値下げした場合、ユーザーにとってはとても喜ばしいことだろう。しかし収入が4割減るキャリアにとっては死活問題になりそうだ。
特に2020年には次世代通信サービス「5G」の開始が控えている。5Gネットワーク構築には当然ながらアンテナや基地局などの設備投資が必要となる。4割値下げで設備投資には影響はないのだろうか。
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