2020年3月にスタートした5G。早くも4年になろうとしているが「5Gらしさ」を体感するということはあまりなかったりする。
最近ではスマホの画面に「5G」と表示される場所が増えてきたが、4Gと比べて劇的に速いかといえば、決してそんなことはなかったりする。むしろ、これまで4Gが快適だったため、5Gになっても違いがわかりにくいというのが正直なところだ。
ただ、これも実はキャリアが「これまで5Gに対して本気じゃなかった」という裏事情があったりする。KDDIではこれまで4年間を「導入期」と語り、今年4月以降を「普及期」と言っているぐらいだから、キャリアとしてもこれからが「5Gの本番」とでも言いたいのだろう。
ではなぜ、キャリアはこれまで5Gに対して「本気」じゃなかったのか。
これまでは「Sub6」の出力制限があった
実は特に関東においては、5Gのために割り当てられた「Sub6」と呼ばれる周波数帯が、衛星会社が使っている衛星と地上局との通信とぶつかりあう、いわゆる「干渉」が問題視されていた。
Sub6を本気で使うと衛星通信に影響を与え、通信を邪魔してしまう恐れがある。そのため、各キャリアではSub6の基地局は建設するものの、アンテナから電波が飛ばないように角度を低くしたり、出力そのものを抑えるといった制限を加えていたのだ。
わざわざ5Gのために割り当てられた周波数をすぐには活用できないと判断したKDDIとソフトバンクは4G用に割り当てられていた周波数帯を5Gに転用していくことで、まずは5Gと表示されるエリアの拡大をこの4年間、実施してきた。
そもそも、4G向けに割り当てられている周波数帯のため、5G向けに転用したところで、通信速度が高速化されるものではない。つまり結果として「5Gと表示されるエリアは広がるが、通信速度は4Gとまったく変わらない」という「なんちゃって5G」エリアが拡大することになった。

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