酒井さん(27歳・女性)はメルカリの達人だ。
累計取引件数は約2000件、売上は300~400万円程度。商品購入額は売上額を上回る。「正規価格150万円のベッドが20万円で買える」などのお値打ち感に動かされ、衣類や家具など家にあるものの7~8割をメルカリで購入したという。
売買のコツを尋ねてみると「一言で表現するとSEO。インプレッションを高め、滞在時間を延ばすこと」「資産は償却されるので機を逃がさずに売る」「ボヘミアングラスは絶対メルカリで買った方がいい」などパワフルな知見が得られた。
●フリマアプリがファッション誌代わり
── メルカリはどれくらい使っているんでしょうか。
これは声を大にして言いたいんですけど、わたし、メルカリが出たばかりのときからずっと使ってるんです。わたしは2013年卒なんですが、就活で本やリクルートスーツやカバンなど就職後に一切使わないものを売りました。その時から使っていますね。
── メルカリ以外は使っていなかったんですか?
その前はまだフリルとかヤフオク!くらいしかなかったんです。わたしはヤフオク!を使っていたんですけど、あれ振り込みに行くのめちゃめちゃ面倒くさいじゃないですか。それがすごくイヤだなと思ってたとき、フリルが出てきた。でもフリルは女性だけで男性が使えなかったから、メンズライクなコーデに使うようなメンズの服が売れなくて。そのときメルカリなら男性も使えたんで、メルカリに出すようになりました。
── 最初は服のやりとりから使いはじめたと。
当時の洋服はすべてメルカリで買ってました。オフィスカジュアルって就職したばかりだと、何を着たらよいか わからないじゃないですか、だから片っぱしからCanCamに載ってるブランドで検索して。ただ、当時はまだフリルの方が使いやすかったんですよ。ユーザーのフォローができたので。メルカリも今はできるようになったんですけど、当時はできなかった。フォローするとおしゃれなお姉さまたちが何を着ているかわかるから、その系統で洋服のブランドをどんどん見ていって、ネットで調べてサイトで見て、勉強して知識を身につけていきました。
── フリマアプリがファッション誌代わりだったんですね。
いまはインスタグラムがあるからいいんですけど。メルカリも慣れると同じような使い方をするようになりますね。検索の腕が上がって今やブランド名だけではなく、素材の名前にまで詳しくなりました。
── 酒井さんは主に売り手なんでしょうか。
両方ですね。今日着ているものはコート以外すべてメルカリで買ったものです。
── メルカリコーデですね。
家の中もそんな感じです。ベッドもメルカリ、ダイニングテーブルとソファのセットもメルカリ、クローゼットの中もメルカリ。うちのものは7~8割メルカリ。メルカリで節約したお金で欲しかった棚を新品で買いましたが、結局棚の中に入れている画集なんかはすべてメルカリです。
酒井さん撮影
── 食べるもの以外すべてがメルカリでできているような感覚ですね。
以前は食べ物も取引していたことがありました。オーダーしないと買えないもの以外はなるべくメルカリで買ってます。購入額は取材の前に確認しようとしてみたんですけど、金額が多すぎて途中で計算やめました。
── なぜそんなに買ってしまうんでしょう?
たとえば1000円のものを3つ売ると売上が3000円じゃないですか。そうなると1万円のモノも実質質7000円で買えるんだって、いいものをガンガン買うようになっちゃって。ベッドも150万円くらいするクイーンサイズのベッドを20万円くらいで買いました。
── それはたしかに安いですね。
安いですよね!そう思いますよね!ふだんの生活で20万円をポンと出そうとは思わないですけど、150万円から20万円って言われると……。
── たしかにお得に感じます。
もともと実家も不動産屋だったこともあって、引っ越しが好きなんです。社会人年次が上がるにつれて、だんだん広い家に引っ越すようになると、ちょっといいものが欲しくなっていくじゃないですか。
── そのたびにメルカリでモノを買い増していったと。
そうそうそうそう、そうなんですよ~。