ソンしないために、必要経費をくまなく洗い出そう!
確定申告でまずやらねばならないのは、最初の一歩にして最大の難所といえる「収支内訳書」の作成です。これは収入から「必要経費」を差し引いた「事業所得」を明らかにするための作業。そもそも白色申告でも取引の記帳義務はあるので、1年間の収支だけなら簡単に分かるはず。
しかし「何が経費にできるのか?」をきちんと把握しておかないと、計上し忘れてソンすることもあるのです。実はこれが、確定申告でトクするための最大のポイント! 「収支内訳書」を記載するプロセスと、経費計上について気をつけるべき点を見てみましょう。
1. 最初のステップは、支払調書や帳簿に記載された内容をもとに、1年間に得た収入の合計額を「売上(収入)金額」に記載。これは足すだけの単純作業なので楽勝です!
2. 次に記載するのが「経費」ですが、まず「確定申告で個人事業主が『経費にできるモノ』『できないモノ』」をチェック。仕事を他のフリーランサーに外注し、自分で報酬を支払った場合の「外注工賃」なども経費に含まれます。
そのほか、PCなど10万円以上の高価なモノを買ったときはaの「減価償却」(関連記事「これで減価償却は怖くない! 確定申告最大の謎を解き明かす」)を適用。自宅を仕事場にしている人なら、家賃などの一部を経費にできるbの「家事按分」(関連記事「確定申告、自宅の家賃・電気・ネット代はどうしたら経費になる!?」)も節税のポイントになるので、お見逃しなく!
3. 生計を一にしている配偶者や家族に毎月仕事を手伝ってもらい、給料を払っている……という場合は、「事業専従者控除」をチェック。該当する場合は、「専従者控除」の欄に支払った給与額を記載。事業専従者控除の詳細はコチラの記事「確定申告、奥さんの給与を月8万円にすると得する理由」も参考になります。
4. 以上の流れですべての経費を記載すると、1年間に得た「所得金額」が初めて明らかになります。
白色申告者には、収入金額や必要経費を記載すべき帳簿(法定帳簿)につける「記帳義務」と、その帳簿や領収書等の書類を保存する義務があります。白色申告における記帳の基本ルールはコチラの記事「白色申告も義務化の戦慄! 青色申告と合わせて帳簿付けを解説」を参考に。ここでは、記帳の際に「どうすればいい…?」と悩みがちなギモンについて解説しておきましょう。
1. 住民税や国民健康保険料、国民年金保険料などは事業に関係ない支出なので、帳簿に書く必要はありません。ただし国民健康保険、国民年金などの社会保険料は、その全額が所得から差し引かれる「所得控除」の対象に。年末に送られてくる各種の「控除証明書」を必ず保管しておき、確定申告書類に添付して提出します。
2. クレジットカードの支払で、年内に購入したモノの経費が翌年1月以降に引き落とされる場合は、注意が必要です。たとえば年内は引き落とし時に経費で処理していても、年末にまだ支払っていないモノについては、未払処理が必要です。
3. 経費によっては領収書がもらえないケースもありますよね。実は電車の運賃など、「領収書がないものを経費にする方法」(関連記事「確定申告 領収書がないものを経費にする方法」)もいくつかあります。
4. 年内に納品した報酬の支払いが翌年1月以降になった場合でも、年内にその報酬が確定しているなら「年内の売上げ」として収入に含めます。取引先から送られてくる支払調書には、年内に実際に支払われた額しか記載されていないことが多いため、記載に戸惑うかもしれません。しかし、取引先からの支払調書と内容が違っていても、自分で計算した売上金額が正しく書いてあるならそれでOK。あとは、税務署がしかるべき処理をしてくれます。

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