前回は確定申告の基礎的な内容をおさらいをしたが、今回は意外と知られていない白色申告の大きな変更点について解説する。白色申告者全員に関わる「白色申告の記帳義務」についてだ。該当する人は今からしっかりと準備をしておこう(1回目からの記事はこちらにまとめています。合わせて参照ください)。
今年(2014年1月)から白色でも帳簿付けが必要に!
宮原 ここにいる人は、カリーさん以外はみんな白のようですが、今年(2014年)からすべての白色申告者に「帳簿への記帳」と「帳簿類の保存」が義務付けられたのを知っていますか?
腰 まったく知りません。今年ってこれから申告する分からですか? 全然準備してないんですけど……。
宮原 平成26年度分からです。つまり、2014年1月から2014年12月の期間は帳簿付けが必要になります。今年の春に申告する去年の分(2013年1月から2013年12月)はまだ一部の方しか帳簿付けの義務はありません。
腰 それならよかったです。今回はまだ大丈夫なんですね。
カリーさん でも来年の申告分ってことは、今月から帳簿付けを始めなきゃいけないってことだよ。
宮原 そういうことです。
四日市 そうなんですか! 私、帳簿は付けたことがないです。
谷 私もそういうのは聞いたことがなかったなー。
宮原 これまでも「前年または前々年の所得合計が300万円を超える人」は白色でも記帳義務があったんです。その範囲が広がって、今年からすべての白色申告者が対象になったんですよ。「法定帳簿」は7年間の保存義務もあります。
谷 法定帳簿? なんだか難しそう。
宮原 収入や必要経費を記載した帳簿の正式名称ですが、実際はそんなに難しくはありません。要はこづかい帳みたいなものをイメージしてもらえばいいです。
四日市 保存しておく帳簿って、手書きじゃないとダメなんですか?
宮原 エクセルや会計ソフトでいいのですが、1年分を印刷して保存することになります。データで保存するには、決められた厳しい規格をクリアするのと、事前の手続きが必要になるんです。
帳簿付けってどうすればいいの?
カリーさん でもぶっちゃけ、フリーライターの帳簿付けってそんなに大変じゃないと思うよ。ずぼらな俺でも領収書だけは捨てないようにしてるから、最後はそれでなんとかなる。
宮原 そうですね。小売業なんかだと、とにかく取引の数自体が多いので毎月の売上や仕入れをキチッと付けてないと商売的にもまずいですけどね。そもそもの取引の回数が少ないなら、そんなに慌てなくても平気でしょう。
カリーさん 取引がある出版社もある程度決まってるし、毎年1月には取引先から「1年分の支払調書」が送られてくるから、それでまとめて売上入力しちゃえばいいし。
腰 「取引」って何のことですか?
宮原 1件ごとのお金のやりとりのこと。たとえば記事を書いて原稿料をもらったら「売上」が発生した取引です。逆にパソコンなど仕事に必要なものを購入したら「必要経費」がかかった取引。こんな風に仕事上で動いたお金は、収入も支出も1件ずつすべて帳簿に付けておきます。
腰 具体的にはどんな風にするんですか?
宮原 エクセルで作ってもいいし、面倒でなければ文房具屋で売ってる金銭出納帳みたいなノートに手書きしてもいいです。
ハッチ ボクは「やよいの青色申告」にすべての取引を入力してますよ。申告は白色なんですけど、せっかくソフトを買ったのでしっかり元を取ろうと思って使っています。
カリーさん 俺はずっとエクセルだな。
四日市 私はiPhoneの「レシーピ!」というアプリを使っています。
宮原 そういうので大丈夫です。白色申告は簡易な方法による記帳でよいので、本当に簡単な帳簿でいいんです。


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