四本淑三の「ミュージック・ギークス！」 第17回

ニコニコ動画に住む「家族」 スズナリさん家の歌作り

鈴鳴家のこれから

――　ニコニコ動画以前に作品の公開はしていなかったんですか？

おん　してないですね。例外的にスズナリとは関係なく、一回だけ友達に頼まれてゲーム音楽を作ったことはありますけど。いまだに毎年印税が何十円くらい入ってくるんですけど、郵送料の方が高いからもういいよって。

――　どこにも出さないとなると、それこそ修行じゃないですか。

おん　人に褒められるのは嬉しいんですけど、あまり褒められても自分のしがらみになっちゃう。ちょっとでもウケようなんて気持ちになって、ウケるための作風が自分の身についちゃうと、嫌ですね。

おんさん発案の「スズナリのポーズ」。ちりんさんは気に入っていない

――　じゃあ音楽を仕事にしようと思ったことは？

おん　いっぺんもないですね。プロ意識を持って何かを作るというのは嫌です。

――　ちなみにお仕事は？

おん　電気工事の仕事をしています。

――　じゃあ音楽は趣味？

おん　趣味と言うより生きがいです。大げさじゃなくて本当に。自分の命はこれに使うと決めています。

ちりん　すごいお金もかけるし、休みの日に一日中家でやっていても平気なんですよ。

――　でもオリジナル曲をもっと聴きたいという欲求はあります。カバー曲は無理でも、オリジナルなら音源として売ってもいいでしょう？

おん　実はオリジナル曲のアルバムは考えています。これから円盤Pのアルバムを、1年くらいかけて作るつもりです。

――　おお、それは期待したいですね。でもちりんさんの歌やカバーはどうなるんですか？

おん　それも色々考えていますし、もちろんスズナリとしてのカバーも、まあ、ちりんのやる気が高まった時に。

ちりん　そんなの、いっつもやる気じゃないか！

■巻末に寄せて： ボーカロイドPからスズナリさんへのコメント

　僕はスズナリさんのアーティスト性、そして音楽のカラーを、一人のファンとして追っている感じです。最近ニコニコ動画は「ボーカロイド」と「音楽」のカテゴリーが分かれたのですが、さらに「音楽」側を盛り上げる意味でも頑張って欲しいです。そしてニコニコを観ている人、ボーカロイドの曲を聴いている人に、スズナリさんというスゴイ人たちを知って欲しいし、スズナリさんの音楽を聴いて欲しいんです。

（text by Dixie Flatline）

　

（それでは最後に、恒例となった「鈴鳴家が選ぶアルバム7枚」をお楽しみください）