ここ最近、ニコニコ動画でボーカロイドを使った人気曲の1つに「ARiA」がある。
4月に公開してから、わずか1ヵ月で再生回数は20万回を突破。最近のボーカロイドオリジナル曲では驚きのスピードで聴き手に受け入れられている。星を意識した歌詞に、頭に残るメロディー。疾走感のあるムービーは細部まで作り込まれている。ただの素人が手掛けたとはとても考えられない。
一体、この作品はどのように生み出されたものなのだろうか? 動画の説明文を見ると、担当ごとに6人の名前がクレジットされている。そして投稿者は「toku」(とく)氏だ。
とく氏は、ボーカロイドファンには「SPiCa」の作者としてよく知られている人物。ニコニコ動画では3作目となるこの「SPiCa」は大ヒット。ゲーム「Project DIVA」でも使われることとなった。彼の正体はプロのアレンジャー・阿部尚徳氏。いわゆる「プロの犯行」だ。
いざ彼が作った作品群をふりかえってみると、「へっどほんトーキョー」という名義のものが多い。これは別のクリエイターと共同で作った、いわばコラボレーション作品だ。
ニコニコ動画ではプレイヤー同士がコラボレーションする例も多いが、今回のように作詞、楽器、動画、イラストとすべてを分業するのは珍しい。それでウケるものを作るというのは並大抵のことではない。人数が増えれば、スケジュールを調整したりひとつにまとめる手間が増えるはず。お互いが考える「やりたいこと」の折り合いを付けるのも大変だ。
しかも、ARiAに参加したクリエイターの中には、制作過程を生中継していたUSTREAMをたまたま見ていて集まったという人もいるという。なぜ即興で集めたような集団で、ここまでウケる作品が作れたのか。
そんな興味が尽きないこの作品の舞台裏を知るために、ARiA参加メンバーの6人をお招きしてお話をうかがった。ASCII.jpのボカロ関連インタビューで最も大所帯となった今回は、彼らの「コラボレーションの流儀」をたっぷりとお伝えしよう。
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