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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第18回

最底辺に住む「天才」 孤高のボカロP、山本ニューの正体は

2010年03月06日 12時00分更新

文● 四本淑三

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山本ニュー氏の代表曲「ひとりぼっちのドラムンベース」。彼の曲にのきなみ付けられるタグは「もっと評価されるべき」

 ボーカロイドシーンの拡大に伴って、当然ながらその裾野も爆発的に広がっている。いわばIT用語で言うところのロングテールだ。

 平たくいうなら、脚光を浴びるごく一握りのボーカロイドPの下に、大量の製作者たちがいるのである。しかし、なにしろ数が多い。作品のすべてを把握できるはずもなく、多くのものは埋もれてしまう。しかしそれゆえに「テール」部分はとても豊かだ。

 その中から今回登場をお願いしたのが「山本ニュー」氏だ。ニコニコ動画でよく見る名前だけど、いったい誰? そう思っている人も多いのではないか。そんな彼の特徴は、とにかく多作であることだ。

 他の作家に詞や曲を提供したり、歌ってみた、コラボ、マッシュアップと、オリジナル曲以外にも大量の動画が散在している。共通しているのは、ポップだが決して一般受けはしない、何かを狙った作風。再生数も驚くほど伸びない。2ちゃんねるの「最底辺製作者スレ」の住人として、ニコニコ動画の「最底辺ツアー」という動画にも参加していたらしい。

 しかし、豊富な音楽的知識を背景に作品を作っていることは、曲を聞けばだれにでも想像がつく。旧来の批評用語を使うなら「鬼才」と呼ぶにふさわしい人だが、現在のところそこに用意されたスペースは音楽シーンの中にはない。そういう意味でも、今日的な動画サイトが生むべくして生んだクリエイターなのである。

 山本ニュー氏は、本人いわく「ただのサラリーマン」で36歳。三重県在住の、二児の父だ。我々には取材のための予算がないため、取材はSkypeを使って行なった。どこまでが本当でどこまでが嘘なのか、まったく分からないインタビューをどうぞ。

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