ニコニコ動画好きなら、東方Projectの派生キャラクター「ゆっくり」の声はご存知のはず。
「SofTalk」(ソフトーク)という無償ソフトを使って作られた、独特の間延びした口調はまさに「ゆっくり」としか言いようがないわけだが、そのソフトークが使っている音源ライブラリの名を「AquesTalk」(アクエストーク)という。
またUTAU(関連記事)のデフォルト音声として有名な「唄音ウタ」、通称デフォ子の音源も、実はこのAquesTalkだ。
AquesTalkは株式会社アクエストが開発し、無償頒布している音声ライブラリ。元来組み込み向けに開発されたため、非常に容量が小さい。現在はAquesTalk2に発展したが、それでも音声データ込みでわずか約50KBという軽さ。これは競合するものがない。
▲AquesTone代表曲 AquesTone and EMX by Denkitribe
アクエスト社自身でも、このAquesTalkのライブラリを使った歌唱ソフト「AquesTone」を開発し、無償頒布している。Windows向けのVSTiで、DAWで起動してリアルタイム演奏できるほどの軽さだ。ヤマハのVOCALOID2にもVSTiはついているが、動作が重くてリアルタイム演奏には向かない。
アクエスト社は、テキスト音声合成技術を突きつめるため、山崎信英さんが7年前に脱サラして起こした会社だ。一連のプロダクトも彼が全部一人で作っているという。一体、音声合成の何が面白いのか、そして最終的に何を目指しているのかを伺った。

この連載の記事
- 第164回 より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る
- 第163回 超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった
- 第162回 欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密
- 第161回 最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか?
- 第160回 新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う?
- 第159回 開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く
- 第158回 唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る?
- 第157回 「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター
- 第156回 QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで
- 第155回 QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった
- 第154回 てあしくちびるは日本の音楽シーンを打破する先端的ポップだ
- この連載の一覧へ