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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第162回

欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密

2017年04月15日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 VOXは新型真空管「Nutube」を搭載した初の製品として、超小型ギター用ヘッドアンプ「MV50」を発売した。

 NutubeはVFD(蛍光表示管)で有名なノリタケ伊勢電子とコルグの共同開発によるもので、従来の真空管より低電力で動き、発熱も少なく、小さな筐体に収められる。MV50はそうしたNutubeのメリットをわかりやすく形にした製品だ。

 MV50の外形寸法は標準的なストンプボックスサイズのエフェクターと大差なく、重量はわずか540gに過ぎない。ACアダプターと合わせても、ギターのギグバッグに難なく収められる。

 にも関わらず、Nutubeを使ったプリ段と、クラスDのパワー段によるハイブリッド構成で、MV50は最大50Wの出力を発揮する。一般的なギター用スピーカーキャビネットと組み合われば、リハーサルスタジオからライブハウスまで対応できるパワーだ。

 また、ヘッドフォン/ラインアウト端子にはキャビネットシミュレーターも搭載されており、自宅練習やDTMのような用途にも使える。こうした応用範囲の幅広さもMV50のウリのひとつ。

 MV50はサウンドキャラクター別に「ROCK」「AC」「CLEAN」の3種が用意され、店頭価格はそれぞれ2万1600円。同時に発売された小型8インチスピーカーキャビネット「BC108」は1万800円。MV50とBC108のセット販売もあり、こちらはROCK、AC、CLEANともに2万8080円。そして4月末には本格的な12インチスピーカーキャビネット「BC112」の発売も控えている。

 筐体を小型化する必要から、MV50の操作系は最小限に抑えられている。しかし表面には見えない部分で、従来のアンプとは異なる新しいアプローチがいくつも盛り込まれている。VOX開発陣インタビューの4回目は、スペックや見た目からはわからない音色や操作系のこだわりについて。

キャビネットシミュレーターの狙いはレコーディング

(写真右)株式会社コルグ 商品企画室 江戸有希さん (写真左)株式会社コルグ 開発2部 李 剛浩さん

―― (前回は)アンプはキャビにつないでボリューム上げてナンボという感じがしました。でもMV50はヘッドフォンやラインでも使えますよね?

江戸 はい。普通の真空管アンプのように、スピーカーをつながないと故障するということもありません。ラインアウトにはキャビネットシミュレーターも入っていて、直接オーディオインターフェースにつないで、そのままレコーディングに使うことも想定しています。

―― そのキャビネットシミュレーターで狙った音はどんな設定ですか?

 この3機種に関しては同じ設定です。BC112のようなユニット1発のキャビの音をマイクで拾った感じですね。

江戸 BC112にはセレッションの「V-type」というユニットが載っているんですが、それと「Vintage 30」の中間くらいの音を狙っています。歪みでいい音の出るのがVintage 30の特徴なんですが、いまうちの製品でVintage 30を載せたキャビがない。自分のところの製品とかけ離れた音でもいかんだろうということで、その中間くらいを狙っています。

 キャビにマイクを立てて録ろうとすると、結構工夫しないと難しい結果になると思うんですよね。特に(シュアのSM)57だけだと。そこを最終的なオケの中で使いやすくなる音に寄せています。それで57だけで録った、あの難しい感じは減っています。

―― 録音の現場でやるようなトリートメントは入れていると。

 そうです。だから実際これにマイクを立てて録った音と、ラインから出てくる音は違うんですが、そこは調整しているんですね。これも開発時に協力してくれたレコーディング・エンジニアがいるんですけど、57とロイヤーのR121というリボンマイクをミックスした音になっています。ただラインで出したときは、DEEPとFLATを切り替える背面のEQスイッチと、ACとROCKのインピーダンススイッチは、音に影響しません。

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