四本淑三の「ミュージック・ギークス！」 第17回

ニコニコ動画に住む「家族」 スズナリさん家の歌作り

センス抜群の選曲　秘密は「マイリス」

――　そんな感じでニコ動も見まくってるわけですか？　スズナリさんといえば曲を発掘するセンスもすごいわけですが。

おん　そんなに観てませんよ。いい音楽が向こうからやって来る、と言ったらカッコ付け過ぎですか？

――　ええ、カッコ良すぎです。

ちりん　センスのいい人のマイリスだよね。

「センスがいい人のマイリスをたどるんだよね」

――　あ、そうか、なるほど！

おん　そう。公開マイリストでセンスのいい人を見つけたら、そこから芋づる式にいい曲が沢山出てくるんです。

――　そうやってニコ動を見始めたのはいつ頃からですか？

おん　「日本オタク大賞」というのがあって、ニコニコ動画が選ばれた年があったんです^※1。それで初めて存在を知りました。最初の頃は「踊ってみました」なんかを見ていたんですが、その中にヒャダインさんの曲があったんです。

――　最初にカバーされた「はじめての友達」（原作はこちら）の原作者さんですね。

おん　全然知らないけどいい曲だし、何だろうコレって。派生バージョンも沢山あって。ああ、こんなふうに広がっていくんだって。

　

――　そういうニコ動なりの文化を見てどう思いましたか？

おん　ニコニコのおかげで日本の文化のレベルが上がったと思います。一般の人が「歌ってみました」で曲を上げて、どんどん派生して行くところなんか。

――　そんな中でもスズナリさんにカバーされるのは、原作者にとってステータスでもあると思うんですが、原作者とはどういう風にコミュニケーションを取ってますか？　どんな作品になるかも分からないのに、事前に可否も出せないでしょうし。

おん　もちろん原作者の方には出来るかぎり連絡するようにしています。「作っちゃったぜ！」みたいな感じで、事後承諾ですけど。

――　なるほど。気に入らなければ「消せ」と言える理由が原作者にはあるし、それでいいのかも知れませんね。

ちりん　もちろん原作者の方に気に入ってもらえたらすごくいいし、使わせてもらったという気持ちは大切にしています。

^{※1 日本オタク大賞 : 年末年始に新宿ロフトワンプラスで開催されるイベント。2007年はニコニコ動画が動画投稿サイトを代表して受賞した。}