ニコニコ動画の中、特にボーカロイドの曲には、様々な派生バージョンとしての「歌ってみた」というカバー文化がある。カラオケトラックに自分の歌を乗せただけの簡単なものから、バックトラックまで作りこんだ本格的なカバーまで様々だ。
中でもミュージシャンズ・ミュージシャン的な存在なのが「スズナリ」さんだ。ラウンジ感のあるピアノとグルーヴ、そして何より女性ボーカルの愛らしさで、独特の癒しを感じる音を構成する。選曲センスも抜群で、超有名曲からほとんど誰も知らないマニアックな曲まで、何をやっても「スズナリさんとしか言えない」音に仕上げている。
スズナリさんのやる曲には間違いがない。それが「スズナリさんにカバーされたい」と願うボカロPが少なくない理由でもある。
ただスズナリさんの実像は謎だ。公式サイトもブログもない。我々に分かるのは「スズナリ」名義のカバー曲以外に、「鈴鳴おん」名義でのラップ用トラック、ボーカロイドを使った「円盤P」名義のオリジナル曲がニコニコ動画に上がっていること。
他に手がかりになる情報といえば、ニコニコ大百科の掲示板に「鈴鳴おん」を名乗る人物が明かしたいくつかの事柄だけだ。それによればメンバーは「鈴鳴家」という家族であるという。家族構成は、
鈴鳴おん(音)/鈴鳴ちりん(歌)/鈴鳴ベレー(絵)/鈴鳴ぷう(猫)
という三人と一匹。この情報は真実なのか? 本当に鈴鳴家は実在するのか? その実像に迫るべく、我々は秘密裏に鈴鳴家とコンタクトに成功した。そして、このインタビューの現場に現れたのは、鈴鳴おんさん、鈴鳴ちりんさんの二人だった。
※ インタビュー記事内の動画は左が「カバー」、右が「原曲」となっています

この連載の記事
- 第164回 より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る
- 第163回 超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった
- 第162回 欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密
- 第161回 最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか?
- 第160回 新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う?
- 第159回 開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く
- 第158回 唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る?
- 第157回 「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター
- 第156回 QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで
- 第155回 QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった
- 第154回 てあしくちびるは日本の音楽シーンを打破する先端的ポップだ
- この連載の一覧へ