年末に発売予定のニンテンドーDS用ソフト「KORG M01」は、往年の大ベストセラーシンセ「KORG M1」「KORG 01/W」の音色を搭載したもの。加えてPC用のDAWソフト並みに使い勝手のいいシーケンサーを持つコンパクトな作曲ツールとして、テストしたミュージシャンの評判もすこぶる良い(関連記事)。
KORG M01の販売は、ニンテンドーDS用のバーチャルアナログシンセ「KORG DS-10」(Amazon.co.jp)を企画した元AQインタラクティブの岡宮道生さん、同じく元キャビアの佐野信義さんが設立した新会社、株式会社DETUNEが担当。この新会社には、やはりDS-10でサウンドドライバの実装を担当した、プロキオン・スタジオを取りまとめている、光田康典さんも参加している。
同時にコルグ側からも、DS-10の時とほぼ同じスタッフが開発に参加している。さぞや最初から高回転で盛り上がった開発かと思いきや、意外とそうでもなかったようだ。そして、あるブレークスルーから急激にテンションが上がっていく。
前後編2回に渡るインタビューの初回は、そんな「KORG M01」についての企画意図からスタートする。
「曲作り」と言われてピンと来ず
―― 「KORG M01」企画の言いだしっぺは?
岡宮 我々ですね。ちょうどKORG DS-10が出た直後くらいに、次に何をやろうかという話を佐野としていたんです。いくつかアイディアは出ていたんですけど、DS-10は音作りが中心じゃないですか。でもユーザーさんの声を聞くと「もっと曲作りがしたい、曲作りから入りたい」という人もいたんですね。
佐野 珍しくシラフで話をしていたんですけどね。
―― それは珍しい。
岡宮 そうそう。会社の会議室で。それで「そういうのどうかなあ?」という話をしていたら、最初、佐野は全然ピンと来ていなくて。
佐野 もう全然盛り上がらなくて。「えー、曲作りですか、はいはいはい。どこそこのアレ的なものですかー?」みたいな、ぼやーっとした話が続いていたんですよ。
岡宮 ホワイトボードにも何も書き出さずにね。
佐野 で、ふと「M1がもしDSに入ったら?」っていうアイディアが降りてきて。
岡宮 そこから盛り上がってきたんですね。僕もM1は使っていたんです。佐野もM1に関しては、思い入れがあったので。
―― それでコルグさんに打診したわけですか。
岡宮 はい。「面白そうですね」的なお話は頂いたんですが、こっちは社内で通したりとか、全体の予算を組んだりとか……。
―― ああ、まだその頃はDETUNE社ではないわけですよね。
岡宮 そうです、前の会社ですね。それで色々と揉んでいたんですけど、なかなか会社の承認を取るのが難しくて。それで前の会社を辞めて、独立しようかという時に、お蔵入りになっていたM1をやりたいということで、改めてコルグさんにお話したんです。
―― じゃあ、しばらくは放ったらかしに?
岡宮 ある程度見積りのようなお話はさせていただいていたんですが、実際に開発が始まったのは、つい最近のことです。