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最新パーツ性能チェック 第262回

RTX 2060 SUPERはRTX 2070相当、RTX 2070 SUPERはNVLink対応

GeForce RTX 20 SUPERの性能を検証、次期Radeon対抗の実力

2019年07月02日 23時58分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ

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SUPERでRTX 20シリーズの層を強化する

 今回発表されたRTX 20 SUPERシリーズのスペックをまとめてみた。アーキテクチャー的にはこれまでと同じ12nm FinFETプロセスのTuringベースであり、技術的なところは既存のRTX 20シリーズと何ら変わっていない。今回のテコ入れはいずれもCUDAコアを始めとする演算ユニットを増量し、クロックもやや引き上げて従来の“無印”よりもやや上のポジションにつけることで、各製品の“守備範囲”を調整したようなものだ。

今回発表されたRTX 20 SUPERシリーズのスペック表。TGPについては後述するが、旧来のTDPを言い換えたものとなる。

FE版を基準にした各GPUの演算性能。この数字はすでに丸められているため、ここからRTX-OPSを計算しても合わない場合がある、とのことだ。

「GPU-Z」でRTX 2060 SUPER FE(左)とRTX 2070 SUPER FE(右)の情報を拾ってみた。RTX 2060 SUPERのメモリーバス幅とVRAM搭載量に注目。

 今回のテコ入れは新規性のないマイナーチェンジではあるが、設計的に注目すべき点はいくつか存在する。まず、RTX 2080 SUPERはTU104のフルスペック版であること。そして、RTX 2070 SUPERはRTX 2070のTU106ベースでななく、RTX 2080と同じTU104ベースになったことだ。つまり、型番的にはRTX 2070でありながら、中身は2080と大差ないものに格上げされている。そのため、RTX 2070 SUPERは「NVLinkを使用したSLI」が利用可能だ(当然ながらNVLinkは1リンクのみ)。

 そして、RTX 2060 SUPERは引き続きTU106ベースだが、RTX 2060では2基無効化されていたメモリーコントローラーが8基となり、メモリーバス幅が256bitに拡幅&VRAM 8GBに増量されている点も大きな見どころと言える。RTX 2060レビュー時では、VRAM 6GBは競合するであろうVega 56やRX 590に対し見劣りすると感じたが、今回のRTX 2060 SUPERでそれが解消された形になる。

 もうひとつ注目したいのはRTX 2070 SUPER FEのコアクロックだ。RTX 2070 SUPER FEはRTX 2080 FEよりもベースクロックが高めに設定されている。これがゲームでどう影響するのかが気になるところ。

 このRTX 20 SUPERシリーズの登場により、RTX 2080及びRTX 2070が「EOL」(=End of Life)、つまり流通在庫のみで終息する。Radeon RX 5000シリーズと競合する(あるいは可能性が非常に高い)であろうRTX 2060以上2080 Ti未満のゾーンにおけるパワーバランスを、RTX 20 SUPERシリーズ3モデルで見直す製品と言える。

 北米予想価格はRTX 2080 SUPER FEがRTX 2080 FEの初出価格(699ドル)を継承し、RTX 2070 SUPER FEが同様にRTX 2070 FEのそれ(499ドル)を継承する形になっている。ちなみに、RTX 2060がそのまま存続する理由は、RTコア&Tensorコアを備える最安モデルとして維持する必要があるためだ。

 原稿執筆時点での国内価格は不明だが、RTX 2060 SUPERやRTX 2070 SUPERが交代するGPUと同じような価格で売られるであろうことは容易に想像できる。つまり、RTX 2060 SUPERなら6万円前後、RTX 2070 SUPERは8万円台中盤~9万円といったゾーンがそのまま継承され、置換されるRTX 2060やRTX 2080の価格は市場原理に基づき調整されると考えられる。

 補助電源やクーラーの仕様は、RTX 2070 SUPER FEはRTX 2080 FEを、RTX 2060 SUPER FEはRTX 2060 FEをそれぞれ継承している。国内で流通するAICベンダーモデルについてもこれに準ずる内容になりそうな気がするが、実際のところは各メーカーの裁量次第といったところだろう。

補助電源はRTX 2060 SUPER FEは8ピン、RTX 2070 SUPER FEは8+6ピン仕様。もちろん、AICカード版のOCモデルではもっとピン数が増えている可能性もある。

映像出力端子はどちらもHDMI、DisplayPort×3、USB Type-Cの構成。ただし、RTX 2060 SUPERのAICモデルでは、USB Type-C出力はコストの関係で搭載しない製品が多勢を占めると思われる。

RTX 2070 SUPERにはNVLinkのコネクターが用意される。SLIの仕様はRTX 20シリーズ登場時から変わっていないため、NVLinkブリッジを使い最大2Wayまでとなる。

 NVLinkの存在からRTX 2070 SUPERはRTX 2070のスケールアップ版ではなく2080のコアの一部を無効化したスケールダウン版であると言えるが、問題はどのようにコアが無効化されているかだ。RTX 2080のTU104コアの場合、CUDAコア64基のSM(Streaming Multiprocessor)を構成し、SMが8基合体してGPC(Graphics Processing Cluster)を構成する。RTX 2080の場合は6GPC構成のみだったが、RTX 2070 SUPERは5GPCの場合と6GPCの2モデルが存在し得ることがレビュアーズガイドで示唆されている。

 CUDAコア2560基は40SMだが、TU104フルスペック(3072CUDAs=48SMs)との差分はちょうど1GPC(8SM)。6GPCのうちどれも均等にSMが無効化されたパターンの個体もあるかもしれないし、完全な5GPCだけで構成された個体だけもありえる、ということだ。ただし、現実に5GPCと6GPCモデルの差異を感じ取ることは難しいだろう。

RTX 2070 SUPERでは、無効化される回路のパターンが大雑把に上の2通りが考えられる。GPC6基体制は維持しつつも、SMを無効化するパターンと、無効化されるSMが1基のGPCに集中するパターンだ。だがこの違いをユーザー側から確かめることはできない。理論的にはありえるという話だ。

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