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最新パーツ性能チェック 第477回

Ryzen 9 9950X3D2最速レビュー デュアル3D V-Cacheで開発者・クリエイター向け最強CPUになった驚きの実力を解説

2026年04月21日 22時00分更新

文● KTU (加藤勝明) 編集●北村/ASCII

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 2026年4月22日、AMDはRyzen 9000シリーズの新たなフラッグシップモデル「Ryzen 9 9950X3D2 Dual Edition」の販売をグローバルにて解禁する(以降Dual Editionは省略)。北米での想定売価は899ドル、国内価格は約18万円と予想されている。Ryzen 9 9950X3Dの初値が699ドルで13万2800円であったことを考えると、妥当な(=昨今の経済情勢をよく反映している)価格設定といえるだろう。

AMDの資料より引用。製品名の下のキャッチコピーを読むと、性能ではなく「Dual 3D V-Cache」であることを強くアピールしていることに注目。この見出しこそが本レビューを理解する上での最大のカギである

 Ryzen 9 9950X3D2の特徴の前にX3Dシリーズ、すなわち3D V-Cache搭載Ryzenの流れを軽くまとめておこう。技術的な前置きが少々長くなるが、背景を知っているなら次の見出しまで飛ばしていい。そうでない方はしばしお付き合いいただきたい。

 Ryzenで最初に3D V-Cacheを搭載したのは2022年4月発売のRyzen 7 5800X3Dだ。RyzenのCPUコアを格納するCCD(Core Complex Die)に3D V-Cacheを上乗せすることで、超大容量L3キャッシュを確保したCPUとして発売された。特にPCゲームにおいては3D V-Cacheの効果は絶大であり、メインメモリーへのアクセス頻度が抑制され、劇的にフレームレートが向上した。

 そして2023年にはSocket AM5版X3DシリーズであるRyzen 9 7950X3Dと7900X3Dが登場。Ryzen 9はCCDを2基(8+8コアもしくは6+6コア構成)搭載するが、3D V-Cacheは片方のCCDのみに搭載されている。2025年にはRyzen 9 9950X3Dと9900X3Dが登場。3D V-Cacheが第2世代(3D V-CacheをCCDの裏側に配置)になったが、片方のCCDにのみ3D V-Cacheを搭載という基本設計は変化していない。

Ryzen 9 7950X3D/ 7900X3Dには3D V-CacheのあるCCD(左上)とないCCD(右上)がある。中央下にあるのはメモリーコントローラーやPCI Expressコントローラーなどを格納しているIOD(I/O Die)である

 つまりRyzen 9のX3Dモデルには、3D V-Cacheを使えるコアとそうでないコアの使い分けが肝要となる。そこでゲームのプロセスは3D V-Cacheのあるコア(CCD)を優先して使い、そうでないプロセスは3D V-Cacheのないコアを使う(通常3D V-Cache非搭載のCCDはわずかにブーストクロックが高い)という運用をしている。ゲームか否かの判定はWindowsのGame Modeを利用し、CCDの使い分けにはチップセットドライバーに含まれる「3D V-Cache Performance Optimizer」がOSに助言する。

 この使い分けこそ3D V-Cache搭載Ryzen 9の強みであり、同時に弱点でもある。詳しくはRyzen 9 9950X3Dのレビュー記事にある通りだが、ゲームのプロセスを3D V-Cacheを備えたコアで動かすためには、正しいセットアップが必要不可欠だ。特に世に出たばかりのゲームは、Windows Game Modeにゲームとして認識されないため(注目度が高くないゲームではなおさら)、リリース直後は3D V-Cacheを上手く活用できない。

 ではなぜRyzen 9 7950X3Dや9950X3Dでは両方のCCDに3D V-Cacheを搭載しなかったのか? これについてAMDは「3D V-Cacheを両方のCCDに配置すれば価格が高くなるが、それに見合う効果が得られないため」と説明している。

 ここでようやくRyzen 9 9950X3D2の登場だ。もう分かったと思うが、これまで3D V-Cacheを片方のCCDにしか搭載しなかったものを両方のCCDに配置し、どのコアからも3D V-Cacheが利用できるようにした製品となる。

Ryzen 9 9950X3D2は3D V-Cacheを「2基」搭載した初めてのコンシューマー向けデスクトップCPUである。厳密に言えばEPYCなら3D V-Cacheを2基以上載せたモデルも存在するのだが、サーバ向けCPUなので除外されているようだ

Ryzen 9 9950X3D2は2基あるCCDのそれぞれに3D V-Cacheを搭載している。第2世代3D V-Cacheであるため、3D V-CacheはCCDの下に設置される

 さて、ここからが重要だ。Ryzenの「3D V-Cacheを1基にとどめておいたポリシー」を否定するものではない。つまり「3D V-Cacheを2基載せても経済的に非効率」なのだが、非効率と分かっているのにあえて出すというのだ。

 Ryzen 9のX3Dシリーズはゲーマー&クリエイター、つまりゲームも遊びつつ動画編集なども快適にしたい人のための製品だったが、Ryzen 9 9950X3D2は「クリエイター&開発者向け」にターゲットを変更。3D V-Cacheの効果でゲームが快適という点は特に強調せず、CPUパワーと低レイテンシーレスポンスを必要としているクリエイターや開発者に向けたのがRyzen 9 9950X3D2というわけだ。

Ryzen 9 9950X3D2のターゲットは最上段の大見出しに書かれているクリエイターと開発者である。ゲーミング性能については、右下にRyzen 9 9950X3Dと(ほぼ)同じと記されている。だがCGレンダリングやAI&シミュレーションについては、Ryzen 9 9950X3D2が7%高い性能を発揮するという

 つまり、Ryzen 9 9950X3D2はAM5プラットフォームで最高の性能を獲得したいユーザーのための「プレミアムなCPU」という位置付けになる。国内予価18万円というのはなんとも割高ではあるが、それもそのはず。金に糸目をつけずに最高の性能が欲しいユーザーのための製品だからである。

 前置きが非常に長くなったが、ここまでの話を理解しておかないと、Ryzen 9 9950X3D2の正しい評価はできない。今回、筆者は幸運なことに、貴重なRyzen 9 9950X3D2のレビューサンプルに触れる機会に恵まれた。今回もいつものように前後編2部構成。本稿はゲーム以外の性能比較(これが本命)とし、ゲーム編は次回お届けすることにしたい。

Ryzen 9 9950X3D2のパッケージ。Ryzenのイメージカラーはオレンジだが、このパッケージは黒+シルバー+グレーの落ち着いたトーンに抑えられており、えも言われぬ特別感を醸し出している

Ryzen 9 9950X3D2。Socket AM5マザーでそのまま運用可能になっているため、形状は既存のRyzen 7000/ 9000シリーズと同じだ

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