「興味ねえよ」「いつまでやってんだよ」
―― 身近な人たちの反応は?
すんz 付き合いのあったバンドの人たちから「オタクに媚び売ってんじゃないよ」っていうニュアンスを感じるんです。それ、やっぱりくやしいからだと思うんですよ。それ見てざまあみろと思ったり。ロックなんてやってると、やっぱりダメじゃないか君たち、なんてね。
―― ライブハウスでロックの人であったキャプミラさんは「すんzさんを見てボーカロイドを使うようになった」と言っていますが。
すんz 丹治くんから熱いメッセージがmixiで飛んできたんです。「先輩、始めます! 今メールを送っておかないといけないと思いました!」みたいな感じでね。ぼくがやっているのを知っていて、挨拶もなくやるのはイカンと思ったのかも知れないんですけど。
―― 仁義を切りにきたわけだ。同じショバでやるよと。
すんz まあ、そうかも知れませんね。
―― それ以前はどういう関係だったんですか?
すんz ぼくがCDを出していたレーベルのデザインを、丹治くんがやってたんですよ。京都のアーティストでインターネットをしているのがぼくしかいなかったんで「ここのレイアウトこうしてください」という業務連絡をやっていました。
―― そのレーベルの「UK. Project」って、キャプミラさんのアポジーズ時代のレーベルですよね。
すんz あ、そうですね。ボ・ガンボスのマネージャーが、UK内でOooit Records※というレーベルをやっていて、ぼくのアルバムはそこから出ていたんです。ぼくはそのレーベルのアーティストである双葉双一くん※のために、ライブで使う映像とリミックスを作ったんです。それを丹治くんがライブで見たらしくて。
※ Oooit Records : 「ウーイットレコーズ」。パラダイス・ガラージ、BO GUMBOSに並んでsunzriverの名前がある
※ 双葉双一 : 拾得出身のシンガーソングライター。CDデビューのきっかけはすんzさんの推薦らしい。アルバムは「双葉双一に気をつけて」「手に捧げる歌」など
―― おお、なるほど。
すんz 「そう言えばsunzriverって、いま何してるのかな」って検索して、見つけたらしいんです。曲を聴いて鼻で笑うんじゃなくて、突っ込んできたのは、ロックの世界では彼くらいなんですよ。
―― しかし、そんなに鼻で笑われたんですか?
すんz 「興味ねえよ」とか「いつまでやってんだよ」みたいに言ってくるんです。ボーカロイドを使っている自分が仮の姿みたいに思われているのが、ちょっとくやしかったりしますね。ぼくは別に分けて考えていないのに。
―― とはいえボーカロイドと自分の肉声では違うでしょ?
すんz ちょっとはみ出したいと思ったら、自分で歌った方がいいかなとか、その程度のものですね。ボーカロイドは、最初のうちはポップの練習かなと思ってました。みんな同じ声だし。よーいドンで、いかにいい曲を作れるか。それと、ぼくは絵を見て曲を作るんですよ。絵を書いてくれるtomさんという人がいて、それをめがけて曲を作ります。
―― 自分で歌うときは、絵はないですもんね。そこが「すんzりヴぇr」と「sunzriver(act2)」の違いですか。
すんz たとえば、ぼくはマフラーをしないので、(イラストにある)「マフラーをして外に立っている男の子」というのは、自分のイメージにはないんです。結果的には一緒かもしれないですけど、面白い気持ちで作れますね。
この連載の記事
-
第164回
トピックス
より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る -
第163回
トピックス
超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった -
第162回
トピックス
欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密 -
第161回
トピックス
最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか? -
第160回
トピックス
新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う? -
第159回
トピックス
開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く -
第158回
トピックス
唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る? -
第157回
トピックス
「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター -
第156回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで -
第155回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった -
第154回
トピックス
てあしくちびるは日本の音楽シーンを打破する先端的ポップだ - この連載の一覧へ