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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第20回

バンドブームの申し子・すんzりヴぇrPが見たニコニコ動画

2010年03月27日 12時00分更新

文● 四本淑三

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実家でライブをやろうとしても審査で落ちる謎

―― ところでボーカロイドの曲、つまりすんzりヴぇrとしては、音源を売ってませんよね? たとえば、THE VOC@LOID M@STER(ボーマス)みたいな即売イベントに出るとか。

すんz みんなぼくはそういうのはしないだろうと、きっと思ってるはずですよね。

―― ええ、ぼくもそう思っています。

すんz だからやろうかなと思ってね。

―― わははは! やっぱり天邪鬼(あまのじゃく)だ。

ほとんどのPVはtomさんの作画

すんz 実は5月のボーマスに応募しているんですよ。それで今アルバムを作っている最中なんです。絵を描いてくれるtomさんとの合作みたいな感じなんですが。ただ、受かるかどうか……

―― 音楽を売ることについてはどう思いますか?

すんz 音楽を売るということは、音楽を作る上でも大切なことだと思います。以前、ブログを見ている人を相手にタダでCDを配ったんですけど、それも「ストーミーサンデー」の売上があったから出来たわけです。

―― 最近「音楽はタダで配ってライブで稼ぐビジネスモデル」云々と、IT系の人たちが常識のように言うわけですが、ライブの現場を見てきてどう思いますか?

すんz まず、人を集めるのが大変です。それに何かをタダにして、他で儲けるというのは成り立たないですよ。ニュースになっているうちは人も集まるかも知れませんが、それが毎日のことになると。スーパーマーケットでも「これで損して他のもので儲けるんや!」って言うんですけど、もう「他のもの」では儲からない。それで儲からなかったらダメなんです。

―― 食品関係の仕事柄、そこら辺もシビアに観察しているわけですね。

すんz それぞれ本質的な魅力がないと、相乗効果にならないですから。

―― もうひとつ、最近ボーカロイドPでライブをやるのが流行ってますけど。

すんz 単にレパートリーを演奏するだけだと、面白くないと思うんですよね。ライブで面白いバンドというのは、魅せるところを分かっていて、芸人として面白いという部分があるんです。挑戦していく感じがなくなってしまうとつまらないと思うし。ぼくはそういうのをみて、音楽をはじめたので。

―― ライブハウスは演奏だけじゃないですからね。

すんz ええ。MySpaceがつまらないのは、音楽だけが置いてあるからだと思うんです。それだけでは、ぼくの知ってる「音楽」じゃないんです。それはまだニコニコ動画のほうがいい。みんな、芸人じゃないですか。「P」としての振る舞いみたいなもの、あり方みたいなものを面白くしようとしている。

―― じゃあですね、たとえば、すんzりヴぇrのボカロ曲を「拾得」でやったら怒られますかね?

すんz うーん、それはねえ……。ぼくがやろうとしたら、まずデモテープの段階で落とされますね。

―― えー、なんでデモがいるんですか? 身内なのに!

すんz いや、身内だからこそ厳しいんですよ、うちは。ぼくの友だちだっていうだけで、落とされつづけたバンドがいますからね。誰かぼくの代わりにバレないようにやってくれればいいんですけど。

―― じゃあますますライブをやる必然が出てきたじゃないですか。しかもご実家で。まさに「挑戦していく感じ」じゃないですか。

すんz ぼくの場合はそうですよねえ。丹治くんと「50歳になって初ライブってカッコいいよね」って言ってるんですけど。

―― じゃあまずはデモテープ審査を突破ですよ! 50歳に向けて!

すんz なにか50歳になるのが嫌になってきますね……。


※ 取材後、「ボーマス受かりました!」と連絡があった


(最後は「すんzりヴぇrPさんが選ぶ名盤ベスト9」をお楽しみください)

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