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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第15回

著作権は自分で決める 音楽家・まつきあゆむの方法論

2010年02月06日 12時00分更新

文● 四本淑三

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必然的にいい音楽しか残っていかない

―― (コーヒーをすすりながら)まつきさんの売り方で何が変わると思いますか?

まつき 今は売り方の新しさで、こうして取材に来てもらっているんですが、僕は最終的に「そのビジネスモデルでやる『音楽』そのものが良いのか悪いのか」というところに戻っていくと思っているんですね。このやり方が新しいとか、儲かるとかいう話より、僕はそっちの方が音楽好きとしては嬉しい。

―― そうですね。そこが一番大事な部分ですよね。

まつき 力技で売る方法が通用しなくなっていくわけじゃないですか。CMにいくらかかっているとか、テレビでよく見るとか、そんなの関係なしに判断してもらえる時代になる。すると必然的にいい音楽しか残っていかないと思うから。

MySpaceのトップページにはCDの発売と公開録音についての大きな告知が。自分で作り、自分で演奏し、自分で売り、自分でプロモーションをして……と入り口から出口まですべてを扱う

―― まつきさん自身にとっては、どこがメリットだと思いますか?

まつき 買ってくれた人の名前を僕は全員分かっているわけです。「つながっている感」とは言いますけど、お互いの名前をフルネームで知っているのは、すごく良いことだなと。ああ、こんな名前の人もいるんだと思いながらメールして、僕は毎日暮らしているわけですけど。それと、自分で全部ジャッジできることじゃないのかな。自分の著作権は自分で決めるということですね。

―― それはある意味、究極的な著作権管理ですよね。

まつき 誰かがぼくの曲を勝手にホームページで流していても、文句は言いませんから。その人がどういう意味合いで流しているのか分かるじゃないですか。「こんないい音楽があるんだぜ、みんな」っていう気持ちが先で、僕の音楽を勝手に使ってやれという悪意じゃない。そこでいちいち著作権という話をするのは意味がないですよ。

iTunesでもアルバムは販売している

―― でもテレビやラジオの人は、JASRACじゃないとかけるの面倒くさいって言いますよ。権利処理の関係で。

まつき でもね、最近、地方のラジオから「一億年レコードから曲をかけてもいいですか?」と言う問い合わせが来たので、「いいですよ」というやりとりはありました。

―― それはいい放送局ですよ。むしろそれが当たり前というか。

まつき そうです。その手間が惜しいのかってことですよね。かけたいけど面倒くさいから、お前の方がちゃんとしろよって話でしょ?

―― 人が作った音楽を何だと思ってるんだって話ですよね。でも他のメディアで使われることで著作権使用料も発生するわけですが、その判断はどうですか?

まつき テレビのBGM程度なら許可とってもらえれば、たぶんタダで使っていいって言います。でも映画の主題歌なら、いくらか下さいって言うかも知れない。あとは僕の気持ちですね。この作品ならタダでもいいから使ってくれと思うこともあれば、お前の作品は嫌いだから絶対に使うなとか。それは僕の決めるところですから。

―― まずオレに聞けと。

まつき 誰でも使っていいなんて思ってくれるなと。自分で文句言えるところに自分の作品を置いておきたいんです。でも、そういうモラルはみんな持っていると思うし、アホな使い方をしたら叩かれるじゃないですか、インターネットでは皆が見ているし。僕はそこに任せておけば安心なんですね、今のところ。

―― そのモラルが働くのは、まつきさんみたいに、アーティスト自身の存在感がネット上にあることが大前提ですね。

まつき ネットが嫌いな人にはできないでしょうね。僕はイリーガルなものも含めて、インターネットの面白さだと思うし。それをいちいち著作権がどうのとシステム的に規制するのは、もうムダって気がする。

―― まつきさんみたいな方法で音楽を売っていたら、法律でダウンロードが規制されても全然問題ないもんね。

まつき そうですよ。僕が許可しているわけだから。僕が怒らない限り何をやってもいい。むしろ僕をもっと楽しませてよっていうか。

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