あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第395回

100km/hまでわずか3.8秒! BYDの新たなEV「SEAL」を日本上陸前に中国のサーキットで試した

文●会田 肇 編集●ASCII

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 0-100km/h加速はわずか3.8秒! セダンとしてはトップレベルの加速性能を誇る中国・BYDのEV「SEAL(シール)」がその姿をジャパンモビリティショー2023で現した。いよいよ2024年初頭にも発売される見込みだが、そのプロトタイプの事前試乗会が中国・珠海(ズーハイ)のサーキットにてメディア向けに開催されたのでレポートしよう。果たして、その実力はいかに。

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BYD[シール」の試乗会は、中国・広東省にある珠海サーキットで実施された(BYD提供)

◆BYDの第3弾はスポーツセダン!

 シールは2022年7月、先行して発売されたATTO3、ドルフィン(DOLPHIN)に続く第3弾として日本市場に投入されるスポーツセダンで、この3車中、最上位モデルに位置付けられる。イルカを意味する「ドルフィン」と同じ、同社の「海洋デザイン」シリーズに属し、シールはアザラシの意味を持つ。ちなみに中国での価格は現地で27万9800元(約580万円)。日本では700万円前後になるのではないかと予想される。

 会場となった珠海サーキットには、この日の試乗のために用意された右ハンドルのシールがズラリ。その実車を目の前にして感じるのは、そのデザインは周囲に媚びることなくひたすら美しさを追求していることだ。ボディーサイズは全長4800×全幅1875×全高1460mmと十分にワイド感を実感させるもので、その外観からはスタイリッシュかつエレガントな雰囲気を伝えてくる。“スポーツセダン”を標榜するシールらしく、信号待ちなどでも十分な存在感を発揮しそうだ。

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圧倒的なトルクが生み出す加速で、サーキット内をぐんぐん加速していく

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「iTAC」による4輪トルク制御によりコーナリングでも安心して通過できた

 珠海サーキットは、全長4.319kmのタイトコーナーが多めのコースで、ストレートは短め。それだけにコーナリングでの立ち上がりがモノを言いそうだが、そこは電動車たるトルクの太さが解決してくれるはずだ。ただ、助手席にスタッフが同乗した上での試乗となったことや、ほかのメンバーが同時にコースインしていることもあって、そのあたりを考慮した上での走行となったことをお断りしておきたい。

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珠海サーキットで準備を整えるシールの試乗車

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奇をてらうことなくひたすら美しさを追求したシール。ボディサイズは全長4800×全幅1875×全高1460mm。ホイールベースは2920mm

◆日本には4輪駆動モデルが上陸予定

 シールのパワートレーンは、中国国内では後輪駆動のスタンダード仕様と4輪駆動のハイグレードの2通りが選べるということだが、BYDジャパンによれば日本に導入されるのはハイグレードのみ。つまり、4輪駆動モデルのハイグレード版のみが展開されることになる。それもあってか、この日の試乗に用意されていたのも4輪駆動のみとなっていた。

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決してきらびやかさはないが、誰にでも好まれそうなデザインとも言えそうだ

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特に派手さはないが高品質さを実感させるインテリア。シートは菱形柄が織り込まれていた(BYD提供)

 この駆動には強力なトルクを発揮するモーターが前後輪に組み合わされる。フロントには最高出力230kW・最大トルク360Nmのモーターを、リアには最高出力160kW・最大トルク310Nmのモーターを組み合わせ、そのシステム出力は最高出力390kW・最大トルク670Nmに達する。このトルクがあるからこそ、0→100km/hが3.8秒という超絶加速をもたらしているのだ。

 ちなみに、プロトタイプのトランクリッドに貼られていた「3.8S(S=Secondの意味)」のエンブレムはこれを指しているのだという。ただし、BYDジャパンによれば、日本仕様にこのエンブレムが貼られるかは未定とのことだった。

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運転席まわりは落ち着いた雰囲気。中央の15.6型・ディスプレーは“フローティング”そのもの(BYD提供)

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中央のディスプレーはBYDらしくタテ表示もできる。この大きさだとかなり存在感がある

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インフォテイメントシステムのエンタメモードの画面。ナビゲーションは他のBYD車と同様、日本仕様にローカライズされる予定だ

 バッテリーにはBYDのBEVでおなじみのリン酸鉄リチウムイオン電池を使用した「ブレードバッテリー」を搭載している。これはバッテリーユニットを車体と一体化するCTB(Cell to Body)技術によるもので、車体の剛性を高めると同時に高水準の安全性を両立させられるのが特徴だ。ちなみに、ハイグレード版の電池容量は82.5kWhで、満充電時の航続距離は欧州のWLTPモードで555kmを達成している。

 シートは背面と座面には菱形の柄が織り込まれたデザインで、サイドサポートがしっかりとしているので身体のフィット感は上々。ダッシュボードやトリムなど、手で触れる場所は弾力のあるソフトパッドで覆われており、外観と同様、造形も自然で嫌みがないのが個人的には好ましいと感じた。

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ステアリングとブレーキは「Comfort/suport」の2モードから選べる

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パワーシート機構は運転席/助手席の両方に装備。運転席はメモリー機能付き

◆ディスプレーは15.6型と超巨大、OSはAndroid

 ドライバー正面のディスプレーは10.25型と、ATTO3のほぼ2倍あり、それだけに見やすさも抜群だ。一方で、中央のディスプレーは15.6型とかなり巨大で、まるでタブレットを組み込んだようにも見える。ちなみに、このディスプレーのOSはAndroidで、ここにBYD側のインフォテイメントシステム用アプリを組み込んで動作させているとのこと。

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シールのリアシート。シートバックを前にたたんでトランクスルーとしても使える

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シールのシフトまわり。左下の「MODE」でSPORT/NORMAL/ECOの3モードが選べた

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フロントには2つのワイヤレスチャージャーが装備されていた(BYD提供)

 中央のコンソールには、スマートフォン用ワイヤレスチャージャーが2台分用意されているのも見逃せない。ちなみに、駐車場においてあった中国仕様のシールにはカラオケがマイク付きで楽しめるようになっていたが、日本仕様で展開されるかどうかは確認できなかった。

 シフトノブは短めでストロークも小さく、動かした感触もしっかりとした感じで悪くない。ただ、周囲に配置されているエアコンやデフロスターのスイッチ、オートホールド、ブラインドスポットモニターのスイッチは、平面なタッチパネル上で操作するため、手探りでは判別しにくい。オーディオ系のボリュームと、ドライブモードが並行して配置されているのも違和感があった。

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トランクの開閉はパワー機構付き。右サイドには「DYNAUDIO」のサブウーファーも備えられていた

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ボンネットを開けると手回り品が入れられるスペースが用意されていた

◆飛ぶように走る運動性能、コーナリングも見事

 ピットロードから走り出すと、路面の凹凸がダイレクトに伝わるのを感じた。このあたりが一般道でどう反映されるのかが気になるところだ。ただ、本コースに入ればそんな印象は吹き飛ぶような安定した走りを見せた。強大なトルクにより、アクセルを踏むとアッという間に高速域まで到達。先行車もいたため、130~140km/h程度以上は出せなかったが、直線路ならさらに上の速度域まで楽に行けそうな感じだった。ちなみに、同行者の中には180km/h近くまで加速できたという人もいた。

 コーナリングでもその安定ぶりは見事なもので、速度が多少出ている状態でも不安なく走り抜けられた。これは4輪駆動モデルに採用された最新の「iTAC(スマート・トルク制御)」によるトルク制御によるもので、4輪を巧みにコントロールしていることがこの安心感を生み出していることがハッキリとわかった。しかし、コーナーの手前で高速域から落とすブレーキングで、そのタッチにやや緩慢さが感じられ、慣れないうちはその踏み加減に戸惑ってしまった。

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タイヤはコンチネンタル製235/45R19を履く

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トランクリッドに貼られていた「3.8S」のエンブレム。0→100km/h加速が3.8秒であることを意味する。日本仕様で採用されるかは未定

 ドライブモードは、NORMAL/ECO/SPORTの3モードを用意。試乗ではSPORTで走ることが前提となっているようで、ほかのモードに切り替えたらすぐにSPORTモードにもどされてしまった。トルクの太さをしっかりと実感してほしい意図があったのかもしれない。それだけに、ブレーキではやや戸惑いがあったものの、高出力型モーターの実力をまざまざと見せつけられたのは確かだ。わかりきってはいたものの、この力強さを味わってしまうと後戻りできないのかもしれない。

 特に電動車となれば車両の機能に対しても、ソフトウェアでのアップデートも可能なわけで、ユーザーからのフィードバックをもとに改善を図ることも難しい話ではない。そういったところにクルマの新たな時代が来ていることを実感する。それが垂直統合でほぼすべてを自前で調達できるBYDの強みでもあるのだ。日本へ導入されるまでに少し時間もあり、もしかしたら改良が加えられる可能性は十分にあるだろう。それまでにどんな進化を見せてくれるのか、大いに期待したいと思う。

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サーキットを走行するシール

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