このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

「第2世代型のディストリビューション・ビジネスモデル」──ターボリナックス ジャパン(株)代表取締役社長 矢野広一氏インタビュー

2001年11月10日 06時08分更新

文● 阿蘇直樹

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

今後の展開

8月末に、米Turbolinuxがディストリビューション事業から撤退するという噂が一部のメディアでとり上げられたが、矢野氏はこの当時、ミラクル・リナックス(株)に在籍しており、「儲かっているはずの事業から手を引くのはなぜだろう」という疑問を持っていた。実際には、ディストリビューションビジネスから撤退するということではなく、米Turbolinuxがディストリビューションのパッケージを販売するというビジネスから、IBMなどのハードウェアベンダーへディストリビューションのOEM供給を行なうというビジネスに転換しただけだという。日本では、現在ディストリビューションパッケージの販売が好調であり、「やめるつもりはありません」とのことだ。開発については、IA-32向けの開発をターボリナックス ジャパン(株)が行ない、IA-64向けや特定プラットフォーム向け、『PowerCockpit』などのプロプライエタリな製品の開発を米Turbolinuxが行なうという分業体制がすでにできあがっているという。

サーバ製品

サーバ製品については、日本では現在パッケージで販売されているものが多いが、ハードベンダーが組み込んで出荷するケースの販売数も増加している。今後は、ソフトベンダーやSIが、ディストリビューションにメールサーバやEC構築ツールなどの付加価値をつけて販売するケースが増えてゆくだろうと同氏は予測する。特に、セキュリティ関連のソリューションを組み合わせたアプライアンスなどの製品で「面白いものが出てくる」とのことだ。

ワークステーション製品

次期ワークステーション製品『Turbolinux 8 Workstation』(仮)は、2002年第2四半期あたりに登場する予定だ。Officeツールとして、米SUN Microsystemsの『StarSuite』をバンドルすることが検討されており、「Web、メール、Officeアプリケーションという基本的機能がそろったものにしたい」という。また、Officeツールとして基本的な機能のみを集約した、シンクライアントのようなものを企業などに販売することも考えている。

組み込み向け製品

組み込み製品については、米Turbolinuxでは特定業界向けの端末を開発している。日本では、サーバビジネスとしてコンビニなどのキオスク端末などの開発を行なう。一方、PDAなどの携帯端末向けの開発は日本では行なう予定はないそうだ。


以前「コミュニティ・アライアンス戦略」に基づいたLinuxビジネスモデルをご紹介したが、矢野氏のいう「第2世代型のディストリビューション・ビジネスモデル」は、コミュニティの生み出すLinuxシステムをベースにしたディストリビューションビジネスと、企業が生み出すプロプライエタリなソフトウェアビジネスを並置した、まったく異なるビジネスモデルであるといえよう。矢野新体制の下で新たなスタートを切るターボリナックス ジャパン(株)の動向に今後とも注目して行きたい。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード