(株)テンアートニとノーザンライツコンピュータ(株)は、2002年1月1日をもって合併し、新生テンアートニとして活動を開始すると発表した。
テンアートニはJavaとLinuxをベースとしてSIや教育事業を展開する企業。最近ではiPAQ用のLinuxキットや、Webサーバ上で動作するオープンソースのスクリプト『PHP』関連製品を手がけるなど、組み込み系分野からエンタープライズまで、幅広く活動する。一方のノーザンライツコンピュータは、Linuxサーバの開発/販売を展開。Linuxカーネルなど、“深い”部分に精通した開発者を抱え、Linuxサーバである『NLシリーズ』や、アプライアンスサーバである『SOOXiシリーズ』などを擁する。
両社は今までも、ノーザンライツコンピュータの製品をテンアートニが販売するなど、協業体制にあった。
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儲かる企業ということを、完全にアピールしたい ――角田好志氏 |
新会社は、現テンアートニ代表取締役社長である角田好志氏が代表取締役会長として管理/企画面を担当し、現ノーザンライツコンピュータ代表取締役社長の喜多伸夫氏が、代表取締役社長として営業/技術面を担当する。この2人に加え、CTOとしてノーザンライツコンピュータ ラボラトリーズのバイスプレジデントである小山裕司氏が就任する。
合併比率無額面換算は、テンアートニが1に対し、ノーザンライツコンピュータが4.4。新会社の資本金は7億5000万円。合併後の出資比率は公表されなかった。
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Linuxのソリューションが的確な形で提供できる企業を目指す ――喜多伸夫氏 |
新体制以降の事業内容は、両社の事業を融合する形となり、廃止される事業はない。社長就任予定の喜多氏は、テンアートニのビジネス面での実績やパートナーとの提携関係と、ノーザンライツコンピュータの技術力を統合し、「Linux Solution Providerのナンバーワンを目指す」という。現在のテンアートニで扱っているJava関連技術や、イスラエルZend社のPHPなど、サーバアプリケーションに近い技術を融合し、企業のエンタープライズソリューションを構築していくということだ。
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角田氏によると、記者発表のプレゼンテーションは、Linuxで動いているという。 |
コアビジネスとしては、技術力を活かしたコンサルティング、インテグレーションを展開する。こうした業務は現在両社とも行なっているが、合併後は技術的なリソースを加えて能力を高めるという。また、Red Hatとの協業を強化し、Red Hat Linuxをベースとした教育やサポートを含めた、トータルなソリューションを展開したいとしている。
以下、喜多氏が述べた、今までの両社事業についての今後の展開である。
- 両社のLinuxベースのハード/ソフトについては、継続強化を行なう。超並列計算関係のソフト開発やHAクラスタソリューション製品の提供、開発も強化していく
- イスラエルZendのPHP製品やSteelEyeのHAクラスタなどのような海外製品を、国内に紹介する業務も継続する
- アプリケーションサーバを使った基幹系サーバやJavaでのシステム構築を行なう
- 組み込みの受託開発を行なう。Linuxが組み込みOSとしてはメインストリームとなってきているが、それを大手機器メーカーとタイアップして遂行していく
- 製品ラインナップは、現在のノーザンライツコンピュータとテンアートニを統合したものを提供していく。ノーザンライツコンピュータの『NLシリーズ』のブランド名は残す
組み込み系では、すでに大手メーカーとの話が進んでいるそうなのだが、メーカー名や製品に関する情報は、まだ発表できるタイミングではないとのことだった。
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CTO就任予定の小山裕司氏 |
CTOの小山氏は、合併後の技術的な側面に関して、幅広い分野をカバーできるので、1社ではなしえなかった幅広いソリューションを提供できるとする。たとえば、エンタープライズやクラスタソリューションの分野などである。従来のLinux事例は、小中規模のインターネットサーバが多かったが、今後はもっと大規模なネットワークサーバや企業の基幹にも入ってゆく。そこに十分な技術的なバックアップを提供できるようにしていきたいということだ。
また小山氏はエデュケーションにも力を入れていきたいと語った。現在テンアートニが運営しているLinux Academyを発展させる形で、Linuxの使い方だけではなく、SIレベルも踏まえた教育を行なっていくという。
なお、新会社の技術者は合計約30名。
2001年度の売り上げ目標は20億円。内訳けは、Java6億円、Linux6億円、サーバ5億円で、その他はZend関連やパッケージ、ソリューション、組み込み系などになる。
大塚商会の子会社として強力な企業力を誇り、インテグレーションから教育まで幅広く活動するテンアートニと、カーネル技術者までをも有するノーザンライツコンピュータの合併により、“技術”、“ビジネス”、“連携”の3つをコンセプトとした新会社を目指す。
