わが国における二大カー・オブ・ザ・イヤーのひとつ「RJCカーオブザイヤー」(日本自動車研究者ジャーナリスト会議、RCJが主催)の2019年次グランプリに選ばれた、三菱自動車工業のコンパクトSUV「エクリプスクロス」。イタリアの国家治安警察隊「Arma dei Carabinieri(カラビニエリ)」が正式採用するなど、その評価は日本に留まらず世界に広がりつつあります。そのエクリプスクロスに今夏、ディーゼルエンジン搭載車が登場したので、今の三菱車とはどういった車なのかを体験しました。
走る人ほどお得! 三菱らしさが凝縮した
エクリプスクロスのディーゼル仕様
三菱自動車工業が、ルノー・日産・三菱アライアンスとしてパートナーシップを組んだのは2016年10月のこと。以来、三菱は「売れ筋の車を作る」ということより、自らのアイデンティティーを前面に打ち出すことをテーマにしてきたように思います。その結果、今春登場したミニバンのデリカD:5、そして軽自動車のekクロスは、他社とは大きく異なるアウトドアテイストに溢れたもの。
つまり「三菱=アウトドア」を印象づけることで、アライアンス内におけるポジションを確率していったように感じます。それゆえ「売れ筋を狙った八方美人ではなく、他社にはない個性的で魅力的な車」が出てくるのでは、という期待が高まります。
技術面でも同社の強みである3本の柱を中心としたものになりつつあるようです。1本目の柱は、エンジンを車両の動力減だけでなく、駆動を切り離してバッテリー充電用の発電用としても使うPHEV技術。三菱のフラグシップであるアウトランダーPHEVのみに採用されているものです。PHEVは燃費はもちろんのこと、自家発電できることから屋外でも家庭用電源が使えるため、アウトドアで活躍するのはもちろんのこと、天災時のライフライン確保に役立つことでも知られています。
2本目の技術的柱は四輪駆動技術。4輪の駆動力や制動力をそれぞれ独立して電子制御し、最適な駆動状況が得られるようにした車両運動統合制御システムS-AWCは、ランサーエボリューションからの流れを汲むもので、ここで紹介するエクリプスクロスにも搭載。ガソリン車には二輪駆動モデルが用意されていましたが、ディーゼルは四駆のみランアップするあたりに、同車種にかける三菱の本気や自信を感じます。
このS-AWCのボタンを触ると、路面によってグラベル、スノー、オートの3段階の切替が可能。ターマックとか書かれていると「ラリー」っぽい気分になるのですが、普段使いではオートで良いでしょう。
そして3本目の柱が、本車種のメインテーマであるクリーンディーゼル技術。現在日本車でディーゼルエンジンに取り組むのは、トラックなどを除けばマツダと三菱だけといえるでしょう。ディーゼルは軽油を使うため、ガソリンと比べて燃料代がリッターあたり20円ほど低価格である反面、公害や騒音をはじめとするマイナスのイメージが強いかと思います。三菱は長年、この問題に取り組んできました。
エクリプスクロスのディーゼル仕様に搭載する、2.2Lコモンレール式DI-Dクリーンディーゼルターボエンジンは、デリカD:5に搭載されているものと同等のもの。その走りや走行性能はすでに評価されています。馬力は先行して販売しているガソリン仕様と同等の150馬力ですが、最大トルクが380Nm/2000rpmと、240Nm/2000-3500rpmであるガソリン仕様の1.6倍近くにまで増大。つまりガソリン車よりも力強い加速が得られるというわけです。
ちなみにエクリプスクロスはデリカD:5に比べて300Kg近く軽量化。つまりエンジンパワーに余裕があるのです。
気になる車体価格は306万1800円~。ガソリン仕様との車両価格差は約30万円ですが、優遇税制などがあって実質的には20万円程度。維持費は、年に一度支払う自動車税がガソリン車と比べて排気量が上がっているため、約1万円程度多く納めなければならないこと、そしてディーゼルエンジンはガソリン車に比べてエンジンオイルを早めに交換した方が望ましく、さらに定期的に排気ガス浄化用のアドブルーと呼ばれる尿素水を補充する必要はあります。アドブルーは1000km走って1リットル消費する程度なので、エンジンオイル交換時にあわせて補充すればよいでしょう。
いっぽうランニングコストは、JC08モード燃費値がガソリン仕様の4WDの14km/Lに対し、ディーゼルは15.2km/Lと向上しているほか、燃料単価が安いのでガソリン車に比べてコストがかからないのがうれしいところ。今回取材で都内や高速道路などを1日通して乗り回ったのですが、14km/L近い燃費を記録。燃料費は、燃費18km/L程度の軽自動車にレギュラーガソリンを入れたのとほとんど変わらないのではないでしょうか。ガンガン走る人ほどディーゼルは魅力なのです。
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