意外とスパルタンな走りのボクスター
911 カレラ カブリオレはイマドキ珍しい硬派な1台で、運転中はともかく助手席に座ると路面状況によっては言葉を失ったものです。718 ボクスターは兄貴に負けず劣らず、いや、さらに上を行く硬派ぶり。「スタイル・エディション」というナンパな名に騙されてはいけません。911をプリミティブというなら、718 ボクスターはスパルタン。「ヤンチャな弟」という言葉すら生易しい、手に負えないほどの悪ガキなのです。
夜の首都高やワインディング、そして峠道では話が一変。ヤンチャな弟は水を得た魚のごとく、ドライバーに最高の歓びを与えてくれます。正直申し上げて、911より楽しいのです! それは全長が200mm短いことによる取り回しのよさや、ミッドシップゆえの高い旋回性が寄与しているのかもしれませんが、端的に言えばゴーカートフィールな楽しさです。さらに唯さんが「これは間違いなくポルシェですね」と仰るように、剛体でありながら精密さを感じさせるフィール。動き始めれば「俺、ポルシェに乗っているんだ」という気持ちにさせてくれるのです。
718 ボクスターは、虚飾を配し走りを追求していったという点において、911を上回る魅力があるクルマ。硬い足も、やかましいエンジン音も、ワインディングや首都高でスポーティーな走りを始めた途端、最高の味付けとなり、刺激的で至福のひと時が味わえるのです。過去、色々なクルマで首都高を周回しましたが、718 ボクスターほどエキサイティングな気持ちになったクルマはない、と断言させていただきます。
スパルタンでストイックがゆえ、ドライバーの操作ミスに対して、クルマはあまりリカバリーしてこないのも事実。その点においては911の方が寛容ともいえそう。逆にいえば「正しい操作をドライバーに教えてくれる先生」で、911に夢見る人は、まず718に触れ、慣れるというのがいいのかも。なるほど、ポルシェはそういうすみ分けをされているのかと。
憧れということもあり、ポルシェを買うなら911一択だと仰いながらも「ポルシェであることに変わりはないのですけれど、911とは違う魅力のあるクルマだと感じました」という唯さん。「ホントに楽しいクルマでした。ポルシェって楽しいですね」と、サラリとおそろしい事をおっしゃいます。そして「これで1000万円と言われちゃうと、頑張って911という気になっちゃいますね」と、金銭感覚が崩壊しつつあるようなことも。
ちなみに、911 カレラ カブリオレとの車両価格の差は500万円以上で、さらにオプションやら何やらをつけるとその差は広がっていきます。
最後に。718系のことを「プアマンズ・ポルシェ」とか「911の入門機」と言う方がいますが、とんでもない! プアマンズといいながらも1000万円をはるかに超える(オプションを入れたら1500万は軽く超える)高額なクルマですし、何より911を上回る操る楽しさに溢れた魅力機であることを再度お伝えします。
試乗前と試乗後で大きく718のイメージが変わりました。「この人、ホントにクルマで走るのが好きなんだな」という目で、オーナーとクルマを見るようになったことを告白します。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
この連載の記事
- 第642回
自動車
≒JOYも大絶賛の可愛さ! 見た目はレトロ、中身は最新EV「ID. Buzz」がミニバンの常識を変える - 第641回
自動車
「ランクル250&レクサスGX」徹底比較! ディーゼルの無骨さ vs V6ツインターボの洗練! - 第640回
自動車
国内EV市場の1/3を占める大ヒット作! 日産「サクラ」がマイナーチェンジで使い勝手を劇的向上 - 第639回
自動車
「日本でも売って!」マツダの海外専売SUV&EVを試乗して見えた、仕向地ごとの見事な味付け - 第638回
自動車
トヨタ「ヤリスHV」で熊本〜東京1200km走破! リッター33km超えの驚異的燃費と引き換えに失ったもの - 第637回
自動車
【働くクルマ】昔よく見た「宮型霊柩車」の知られざる架装費用と奥深い秘密を徹底解剖 - 第636回
自動車
後席も荷室も我慢しない! FIAT500の魂を受け継ぐ5ドアSUV「600(セイチェント)」がめちゃ優秀 - 第635回
自動車
カタログ値超えの実燃費! ゴルフ ヴァリアントで1000km走破に挑んでわかったディーゼルの強み - 第634回
自動車
2060万円払って「不便」を買う!? ポルシェ「911 カレラT」が世界一ぜいたくな理由 - 第633回
自動車
新車の値上げに疲れたらコレ! 予算30万円台で買える三菱「トッポ」がコスパ最強すぎる件






