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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第152回

プレミアムセダン・レクサス「IS」に見る無個性という名の個性

文●栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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文句が出てこない快適な走行性能

 エンジンスタートし、シフトレバーをDポジションへ。パーキングブレーキを解除しようとボタンを探すのですが見当たらず。「フットブレーキかな?」と足元を見ても見当たらず。どうやらパーキングブレーキはPポジションで自動的に作動、ほかのポジションに入れれば解除されるのです。これは意外と便利な機能です!

レクサスIS300h

 走行中、文句の1つも浮かばないのがレクサスの凄いところでもあります。もともとトヨタのクルマに関して文句はないのですが、重箱の隅をつつこうとイジワルモードで見てもなかなか見つけることができません。ただただ良いクルマなのです。「あぁ、良いクルマ」という言葉しか出てこないので、これ以上は書きようがないのです。

 その上で、良いクルマなのだけれど、個性が見いだしづらいのも事実。ドイツのプレミアム御三家には、メーカーごとの特徴があります。ですがレクサスの特徴は何? というと見つけづらいようにも。

レクサスIS300h

 乗り心地一つとっても、やや硬質ながらも軽やかな印象を受けるメルセデス、どっしりとした安定感のBMW、柔らかくしなやかなアウディと表現できるのに対して、レクサスは3ブランドから等距離の中心点にあり、よく言えば3社のいいところどりをした日本の道に適した乗り味。まったくもって不満はありませんし、それが正しいクルマづくりとも思います。ですが「レクサスならでは」という部分を見出そうと思うと、なかなかに難しいように思えるのです。

 こう感じるのは、おそらく自分が日本人だからでしょう。異文化のクルマの特徴を見つけ出すことはカンタンで、自分にないものだから惚れやすいのです。逆に日本車の良さは、案外見つけづらいものです。その中でもレクサスはトヨタという日本を代表する企業が作り上げた日本人に寄り添ったクルマだから、日本的な良さに気づきづらい、というわけです。

 そのようなトヨタ流の分析と改善を重ねて作り上げたからこそ、あまりに日本的なクルマとなり、より気づきづらいのかもしれません。ゆえに誰が乗っても不満を覚えることはないでしょうし、故に人々から支持と羨望を集めているのでしょう。逆にレクサスに不満を覚える方は、クルマに個性を求めていらっしゃる方といえるのかもしれません。ですからドイツ御三家とは、性能面や格式の面ではライバルになっても、比較対象なのかというと違う気がしました。

レクサスIS300h

 さて。インテリジェント・スポーツという言葉が与えられたこの1台。スポーツプラスモードにセットし、夜の首都高C1へ繰り出してみました。ステアリングは重く、ダンパーは引き締まり、アクセルレスポンスも俊敏。これは楽しめそう! FRというレイアウト、ハイブリッドゆえのトルクフルさも手伝って、これがセダンというレベルを超える速さ。頭の重さは感じるものの、アップダウンの激しいC1内回りを快適に、でありながら速く走れる。中でも右へ左へ上へ下へとスリリングなポイントである京橋のアップダウンと陸橋の下を、たやすく抜けたことに、ただただ唖然とするばかり。

 ですが運転していて気持ちが熱くなるのかというと、そうではなく。排気音も踏んだところでセダンそのものだし、各種電子制御システムが働いてヒヤッとすることもなく。結果として、いつまでも熱い気持ちにはなることなく、自分の中で冷静な部分が残ったまま。なるほどインテリジェント・スポーツとはこういう事か、と妙に納得しました。おそらく早朝のワインディングを適度な速度で走ると、このクルマは最高に気持ちよいんだろうなと思いながら、C1内回りを2周ほど楽しみ、翌朝クルマを戻しました。

レクサス/IS300hと野良猫。どうやら猫もレクサスが気になるようです

【まとめ】突出した個性はないが
高品質が約束された1台

 普通に乗っていても乗り心地がよく、スポーティーな走りだって楽しめる。何より見た目がカッコイイし、室内もリッチでプレミアム。レクサスが誕生して15年、CMなどのブランド戦略も相まって、若い女性に「好きなクルマは?」と尋ねるとレクサスと答えるようになりました。そう答える彼女たちの多くはレクサスに乗ったことがないかもしれない。ですが、そう思わせるブランディングと、そして実際に乗った時に失望させない乗り味。撮影中、一匹の野良猫がレクサスISに寄りそり、暫く離れることがなかったのですが、「なるほど、レクサスは人だけでなく猫もとりこにさせるクルマなのか」とほくそ笑んでしまいました。

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