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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第61回

「ポルシェらしさ」で電気自動車の行く末を照らすポルシェ・タイカン

文●栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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ポルシェ/タイカン・ターボ(2023万1000円~)

 誰もが「サスティナブル」という言葉を使い始めて幾年月。最近では「カーボンニュートラル」という脱炭素社会への動きが加速し、2030年中頃には各国で内燃機関だけを搭載した新車販売ができなくなることはご存じのことだろう。温暖化などの環境問題は大切だが、一方で現在販売されている電気自動車などに触れる度に「乗り物はエレキで動くツマラナイモノに成りはてるのか」という気持ちにも。だが今冬、日本に上陸するポルシェ初の電気自動車「タイカン(Taycan)」に触れ、クルマの未来は明るいことを確信した。

ポルシェの世界を
心行くまで楽しめるタイカン

2019年11月20日に行なわれたジャパン・プレミアでのタイカン

 「ポルシェが電気自動車を作る」という話を聞いたのは昨年11月のこと。ジャパン・プレミアに参加した筆者は、パナメーラのようなセダンとは思えない流麗かつ低いボディーーにため息を漏らすとともに、購入できるほどの身分ではないものの「これならポルシェが維持できるかも」という期待の眼差しで赤いボディーを見つめていた。

タイカンの車検証。排気量欄には250kW、燃料の種類には電気と書かれている

 そう思わせたのも電気自動車の経済的メリットはガソリン車と比べて優遇されているから。現行法において自動車所得税は非課税、自動車重量税は免税される。さらに排気量によって課税額が変わる自動車税は、排気量がゼロ。車格に関係なく一律裁定課税額の2万9500円である。ほぼ同じサイズのパナメーラと比べ、圧倒的に維持費が安く済む。さらにランニングコストもガソリン車と比べて安価なのも見逃せない。

 パナメーラのガソリンタンク容量は80リットル前後。ハイオク専用車なので、リッターあたり135円前後の場合、一度の給油で1万円を超える。電気自動車はNCS(合同会社日本充電サービス)に加入した場合、基本料月4200円を支払えば、1分15円で急速充電が利用できる。急速充電の1回あたりの充電時間は30分なので僅か450円! もっともポルシェを買い求めるユーザーからすると、1万円が450円になること自体、微々たる金額かもしれないが、維持費をそれほど気にせずポルシェの世界を心ゆくまで楽しめることは喜ばしいことだ。

 タイカンは出力や航続距離の違いで4S(390馬力/374km/1448万1000円)、Turbo(500馬力/412km/2023万1000円)、Turbo S(560馬力/400km/2454万1000円)と3モデルをラインアップする。ここでは試乗した中間モデル「Turbo」を中心に紹介する。

タイカンのフロントフェイス

タイカンのサイドビュー

 「電気自動車なのにターボとはこれいかに?」と思うタイカン・ターボ。これは「速いモデルはターボの称号を与える」という911系のネーミング法則に則っているのだろう。ボディーサイズは全長4963×全幅1966×全高1379mm、車重は2380kgと、パナメーラとほぼ同等か一回り小さい程度。メルセデスのEクラスやBMW 5シリーズといったDセグメントのセダンと同等と思ってよいだろう。車重はパナメーラと比べて100kgほどタイカンの方が重たい反面、馬力はパナメーラの最上位モデル(E-Hybrid)を40馬力ほど上回る。

 ちなみにパナメーラ E-Hybridの価格は1516万5741円なので、タイカンの方が500万円ほど高価。ただ前出のとおり税控除や40万円のCEV補助金が交付されるので、購入時における金額差は小さくなるハズだ。

タイカンのヘッドライト部と、その横に設けられたエアインテーク

 タイカンのエクステリアはパナメーラに似ている。だが子細に見ると、低いボンネットに高いフェンダーは、どこか911に近い。その空気抵抗は、現行ポルシェの中で最も少ないとのこと。4灯式デイタイム ランニング ライトのデザインは既存のポルシェのプロダクトアイデンティティーを残しながらも新しさに溢れるもの。その両横にはラジエーターグリルに代わって、縦型のエアインテークを設置。これはホイールに流れ込む空気を抑える効果があるという。

タイカンは、前後にモーターを配置。中央部にバッテリーを搭載する。その前後配分はほぼ50:50だという

今後、急速充電設備を設置するポルシェ・センター。なお、このポルシェ・センター京都は設置済み

ポルシェ・センターに設置された急速充電器。ABB社との共同開発だ

充電器する際は、専用アプリをインストールしたスマホをタッチして行なう

 タイカンは前後にモーターを搭載し、4輪駆動で動作する。リア側には市販車としては世界で初めてという2段階の変速機が用いられている。それゆえか0-100km/h加速はローンチコントロール使用時において3.2秒という驚異的な俊足ぶりを発揮。上位モデルのカイエン・ターボSになると2.8秒と、911ターボと同値というから驚きだ。

 モーターに挟まれる形で、床面に総容量93.4kWhのバッテリーを積載。これはテスラのモデルSと同等の容量だ。注目すべき点は市販車初となる電池電圧を800Vへと高めたこと。出力電圧を高めることで、電流量が抑えられることからバッテリーやケーブル類が発熱しづらくなるほか、部品の軽量化も可能と充電時間の短縮が可能となった。

 電気自動車における充電環境は最大の課題だ。ポルシェ・ジャパンでは全国44ヵ所あるポルシェディーラーのうち、ローンチ時には21ヵ所、2023年までに全44店舗で急速充電機を設置する予定だとのこと。その急速充電機も、電気自動車のF1「フォーミュラE」で知られるABB社と共同で開発した国内最高出力となる150kWタイプを設置。わずか10分で約100km分の走行を可能とするほか、バッテリー容量の約8割までを、わずか24分で充電できる。もちろん高速道路に設置されている急速充電機も利用可能だ(ただし高速道路のチャージャーは30kWタイプであるため、30分充電してもディーラー利用時ほど蓄電はできないと思われる)。

充電器側の充電画面

タイカン側の充電口は手をかざして開ける

助手席側に設けられた急速充電ポート

充電の様子はLEDの色で判断できる

充電するタイカン

充電するタイカン

 タイカンの充電ポートは運転席側(車両右側)に家庭用ACタイプ、助手席側(車両左側)に急速用DCタイプと、コネクターを分けて配置される。ディーラーで急速充電をする際は、スマートフォンの専用アプリで料金の支払いなどを管理する。細かな金額は発表されていないが、支払いは都度払いと月額定額払いの2種類を用意。ちなみに同社の試算によると、年間走行距離が1万キロ程度の場合、月2回の充電でガソリン車と同じ距離を走ることができるそうだ。

タイカンのリアビュー

タイカンのリアビュー

奥行きの深いラゲッジスペース

フロントボンネットを開けたところ

フロント側のラゲッジスペース

 ラゲッジスペースはリアとフロントの2ヵ所に用意。収納の多さはモータードライブだからこそ実現したものだ。リア側の容量は466リットルと大容量。奥行きが深く、見た目以上に荷物が積載可能。フロント側は深めで、容量は81リットル。機内持ち込みサイズの小型キャリーバッグくらいなら余裕で収納できそうだ。

タイカンのドライバーズシート

タイカンのドライバーズシート

メーターパネルは液晶ディスプレーで、湾曲している。5連メーターはポルシェの伝統を踏襲している

タイカンのメーターパネル

タイカンのステアリングホイール

ナローポルシェと呼ばれる初期型の911

初期型911のドライバーズシート。この時代からメーターパネルが湾曲していることがお分かりだろう

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