ポルシェ・タイカンが日本人アーティストの手によってアートカーに生まれ変わる

文●栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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 アーティストやデザイナーが、ポルシェをキャンパスに見立てて、1つの芸術へと昇華するアートカー。そのデザイナーに日本人として初めてSHUN SUDO氏が起用され、彼が手がけたタイカンターボが今週末の東京・六本木を皮切りに名古屋・大阪の3都市で展示されます。一足先に、このアートカー仕様のタイカンターボをチェックすることができましたので、ご紹介しましょう。

 ポルシェのアートカーは、歌手のジャニス・ジョプリンが「356 SC」をサイケデリックにペイントしたのを皮切りに、数多くのアーティストが様々な手法で作られてきました。近年ではアメリカの著名なアーティストであるリチャード・フィリップスが手がけた「911 RSR」が2019年のル・マン24時間のGTE Amクラスを制しました。

 また、日本では約2年前のタイカン発表時にオープンした原宿のポップアップストアで、ダニエル・アーシャムの「Crystal Eroded Porsche 911」が展示されていました。クリスタルが埋め込まれたこのポルシェですが、実際に走行可能だというから驚きです。

 今回作成されたアートカーは、ポルシェジャパンが展開する「Dreamers. On.プログラム」の一環として行なわれる「Taycan Soul Canvas(タイカンソウルキャンバス)」というイベントのために特別に製作されたもの。ポルシェジャパンとしては初のアートカー製作になるそうです。

SHUN SUDO氏

 日本人初となるアートカーデザイナーとなったSHUN SUDO氏は、世界を放浪しながら独学でアートを学び、壁画制作のほかApple、Nike、SONY、スターバックスなど様々な企業とのコラボレーションなど、多方面で活躍するアーティスト。その作品には、花の牡丹と服のボタンを組み合わせた「ボタンフラワー」が描かれていることで知られています。ボタンフラワーについてSHUN SUDO氏は「花は戦争や災害といった時でも、人々に癒しの心を与えてくれます。そしてボタンは生地と生地をつなぎあわせ、1つにする役割があります。愛をこめて、ピースアイコンとして作品に取り入れています」なのだそうです。

SHUN SUDO氏

 そんなSHUN SUDO氏が手がけたアートカーのベース車は、ポルシェ初の電気自動車であるタイカンターボ。もともと911に乗っているSHUN SUDO氏は、このオファーを聞いた時「大変光栄に思いました。実際に911に乗っていますし、走りはもちろん、止まっていてもアートなクルマだと思っています。ポルシェはいつも新鮮な感動があります」と、日々の生活に欠かせないポルシェからのオファーに快諾したそうです。

 アートカーを作成する前にタイカンターボを試乗したそうで、その印象について「タイカンは僕がイメージする電気自動車の遥か先を行っていました。まるでSF映画に出てくるクルマのようです。走りはもちろんですが、インテリアも素晴らしく、ワクワクしました。その乗った時のスピード感、躍動感が印象的でしたので、それをなるべくイメージしながら製作しました」と、その感動を語られていました。その走りから得られたインスピレーションをもとに、ボンネットに配された赤いボタンフラワーを起点とし流れを意識してデザインされたのだとか。そして日本画のようなブラッシュワークと組み合わせることで、速さを表現されたそうです。また日本らしさを表現するため、右リアフェンダー付近に富士山を配置したとのこと。

 製作期間は約1ヵ月。SHUN SUDO氏の作品の多くはアクリルガッシュで描かれているので、今回は車両ということもあり、紙にスケッチを描いた後、スキャナーでPCに取り込みイラストレーターで着色。そのデータをもとにフィルムを作成し、白いタイカンターボに貼ったとのこと。シートは全面ではなくパーツごとによって貼り付けられるため、その位置決めにはかなり苦労されたのだそうです。

 こうして完成した世界に1台のアートカーは、3月5~6日の2日間、東京・六本木ヒルズ 大屋根プラザを皮切りに、4月2~3日に名古屋・JRゲートタワー イベントスペース、4月9~10日に大阪・グランフロント大阪 ナレッジプラザで展示されます。

 今回の展示後についてポルシェジャパンの担当者に伺ったところ、まったく未定とのこと。ですので、今回で見納めになってしまう可能性も否定できません。ともあれ、歴史あるアートカーに、また一つ名作が誕生しました。近くに立ち寄られた際はぜひ足を運んで、アートをタイカンしてはいかがでしょうか。

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