動画共有サイト「ニコニコ動画」でお馴染みの投稿ジャンルのひとつに、「MADムービー」というものがある。
話題になったニュースやアニメなどを素材に、音声や動画を切り貼りしてつなげた作品で、ファン活動の一環として作られることが多い。掛け合わせの面白さや、本来のキャラクターの支離滅裂ぶりが笑いを生むのだ。
そうしたMADムービーの元ネタとして一躍注目を集めたのが、同人音楽サークル「イオシス」(IOSYS)の作品だ。ヘビーなニコニコ動画ユーザーなら、「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」「患部で止まってすぐ溶ける 〜 狂気の優曇華院」「ウサテイ」などのタイトルでピンと来る人も多いはず。
イオシスは、同人サークル「上海アリス幻樂団」が製作したシューティングゲーム「東方Project」シリーズをモチーフにした楽曲を作っている。そのプロモーションとしてウェブ上で公開したFlashアニメがニコニコ動画で大いにウケて、今でもMADムービーの元ネタとしてよく使われている。
「顔の見えるインターネット」第15回のお相手は、先に挙げた3作品を手掛けた「locker room production」のカギ氏だ。
カギ氏はイオシスには所属しないものの、彼らとコラボレーションして、多数のプロモーションFlashを生み出している。自分の作品がMADムービーの素材として使われるのはどんな気持ちなのか、カギ氏の本音を聞いた。
locker room production
カギ氏が運営するウェブサイト。イオシス系作品へのリンクを含む、カギ氏の過去の作品が視聴できる。2ちゃんねるのFlash板周辺では昔から有名な作者で、累計100万アクセスを超えている。
実は大学生だった
── Flash制作者になったきっかけを教えてください。
カギ 高校時代に友人からFlashアニメの存在を教えてもらったのが最初です。自分で作りだしたのは大学に入ってから。2ちゃんねるのFlash板の周辺で、色々教えてもらったり、他の人の作品を見せてもらいながら、コツコツ作っていました。

鍵付きネックレスを付けて現れた、カギ氏。都内大学に通う4年生で、卒論で忙しい時期にも関わらず快く取材に応じてくれた

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