
過去に起きた事件を考察する“事件系サイト”は、10年以上精力的に更新している老舗が多い。その中の1つが「刑部」(ぎょうぶ)だ。1998年9月にスタートしてから、国内の死刑に関する情報の最先端に位置している。
事件のディテールを追うだけでなく、執行年月や、死刑確定までの裁判の流れを統計化するなど、俯瞰的な視点からの考察も行なっている。密度の濃さとバランスの良さを兼ね揃えているのが特徴だ。
そしてもっとも重要なのが、情報の公平性。管理人の笑月氏は死刑廃止の考えを持っているが、死刑推進派の考えも受け入れている。推進・反対どちらの立場からも、または知的好奇心から“事件簿”を追いたい読者にとっても、得るものが多いコンテンツに仕上げている。
顔の見えるインターネット 第97回は、笑月氏が心がけている情報と思想の距離感と、完全にプライベートで精力的に更新し続ける意欲の根源を探った。ビジネス的視点のない、個人による密度の濃いライフワークにすぐ出会えるのもインターネットの魅力だ。

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