「才能の無駄遣い」と呼ばれる、すごい素人があふれている場所。それがニコニコ動画だ。最近ではそんなダイヤの原石に注目する企業も現れてきており、ニコニコビジネスが活発化してきている。
アニメ界の大御所である、(株)ランティスが5日に発売した「ランティス組曲」もそのひとつ。ニコニコ動画の「歌ってみた」タグを中心に活躍する歌い手を集めて、全34曲のアニメソングメドレーを歌った作品だ。
ランティス組曲には、「ダブル斉藤」(ランティスの斎藤滋氏と、(株)ドワンゴの齋藤光二氏)とも呼ぶべき2人のプロデューサーが関わっている。今回は、ドワンゴの齋藤氏にお話を聞いた(インタビューの雰囲気を生かすため、文中の「(笑)」を「w」にした)。
アンチもファンの一人
── ニコニコ動画発のCDということですが、まずニコニコユーザーの反響はどうでしたか?
齋藤 予想通り叩きまくられましたwww
発売日よりも前に、ニコニコ動画にフライング動画が上がったんですが、「編曲が酷すぎる」「歌い手の個性を潰した」「曲がマニアック過ぎる」など、いろいろな批判が巻き起こりましたね。Amazon.co.jpのレビューも同様です。このレビューはCDを買っていない人でも書けるため、★ひとつという書き込みもいくつも見られました。いわゆる「フルボッコ」状態ですね。
でも、この状況は、ある程度は予想していたんですよ。誰からも注目されないスルーされてしまう作品のほうが一番悲しいでしょ? アンチの方々も巻き込みながら、このCDに対する大きな反響があればいい。彼らだってポジティブに考えればファンの一人なんですから。
── そもそも、なぜこのCDを出そうと思ったのでしょうか?
齋藤 ニコニコ動画では、サービス自体の盛り上がりと同時に、ゴムさん、Jさんといった人気の歌い手や、楽器の上手い演奏者、踊り手など、ニコニコ動画内で活動しているニコニコアーティストが目立ってきました。個人的にそうした動画が大好きで、初期の頃から本当にいちファンとしていろいろな作品をチェックしていたんです。
私はもともとドワンゴで、2005年、2006年と、アニメソングで最大級となるライブイベント「Animelo Summer Live」のプロデューサーなどをやっていましたが、その後、いったんアニメ関連の部署から離れていました。
でも、ニコニコ動画を見ていて、この人気の歌い手を集結させて、ユーザーも一緒にライブで歌って盛り上がれるイベントができないか? 権利関係をきちんとクリアーした人気楽曲を集めて、ユーザーが歌ったり、編集したりして遊べる音源を提供できないか? といった企画を考えて、去年の秋くらいまで暖めていました。