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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第420回

テスラからアバルトまで最新EV5台を一気乗り! 多彩な顔ぶれと個性的なモデルが増えた

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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◆割り切りを感じられる日本企業発で中国生産の商用EV
◆ASF「ASF2.0」

 ASFの「ASF2.0」は、中国で生産された商用の軽自動車規格のBEVです。ただし、ASFは2020年6月に設立された日本の企業。社長も日本人です。元ヤマダ電機の飯塚裕恭氏が独立して、BEVの会社であるASFを興しました。ASFは工場を持たない自動車メーカーで、いわゆるアップル社などと同じ、ファブレス企業となります。

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 「ASF2.0」は、そんなASFが最初に世に送り出したBEV。2023年5月にリース発売が開始され、すでに佐川急便やマツキヨココカラ&カンパニーなどに納車を始めています。

 現車を見て驚いたのは、その背の高さです。「ASF2.0」は、全高が1950mmもあります。通常の商用軽自動車バンは全高が1800mm台です。幅は軽自動車で同じですから「ASF2.0」は、妙に背の高いクルマに見えます。

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 そしてドアを開けると、室内は真っ平。ただし、床の厚みがたっぷりあります。床下に、30kWhのバッテリーが搭載されているのです。つまり、このバッテリー分だけ、背が高くなってしまったということでしょう。

 ちなみにバッテリーは安全性が高いと言われている、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーです。一充電あたり243km(WLTCモード)の航続距離があるので、宅配などの集配業務に使う分には十分な性能と言えます。

 しかし、これだけ背が高いと走りが不安になるもの。ところが、走らせてみれば意外や意外! 頭が重くてフラフラすることはありません。重いバッテリーが床下にあることで、重心が低いのでしょう。後輪を駆動するモーターの最高出力は30kW(40馬力)しかありませんが、トルクは普通の軽自動車の2倍近い120Nmもあります。ですから、街中を配達で走りまわるには十分すぎるほどの動力性能があります。走る、曲がる、止まるはまったくもって不足はありません。

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 ただし、商用車としての割り切りは徹底していました。驚くのは、走り出すとモーターやインバーターの音が室内中に響き渡ること。遮音性はバッサリ切り落とされています。また、サイドミラーの調整は手動で、サンバイザーのミラーにはフタがありません。相当に質素な印象です。

 とはいえ、必要なものはしっかりと揃っています。ナビもありましたし、サイドミラーの自動収納機能、6段階のエアコン、ABSやAEB(衝突被害軽減自動ブレーキ)も装備されていました。USB電源ソケットに100V用コンセント、床下の台車置きスペースまであります。

 走行性能は十分で、必要な装備も揃っています。質感は質素で遮音性はいまひとつですが、業務用に使うのであれば、その点はあまり重視されないはず。詳細な価格は明らかにされていませんが、採用企業が複数社あるところを見ると、それほど高額ではないようです。そのため、これから街中を走る「ASF2.0」の姿を目にすることは、増えていくのは間違いないでしょう。

ASF「ASF2.0」の主なスペック
サイズ 全長3395×全幅1475×全高1950mm
車重 1130kg
乗車定員 2名
モーター リア交流同期モーター
モーター出力 30kW/120Nm
一充電走行距離 243km(WLTCモード)
交流電力消費率
価格 リース

◆BEVでも走る楽しみを追求する1台
◆アバルト「500e Turismo Cabriolet」

 最後の試乗となったのがアバルト「500e Turismo Cabriolet」。キュートな2ドア・コンパクトカーである「500」のBEV版の、さらにアバルト・バージョン。しかもカブリオレ(オープン)です。

 ド派手なイエローのボディーに、これでもか! と、お楽しみ要素を詰め込んだBEVでした。

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 お楽しみ要素の1つ目は、そのルックスです。エクステリアは、ベースとなった「500e」のキュートさを活かしつつも、アバルトらしい上質かつスポーティーなエッセンスがまぶされ、ほかにない魅力を生み出しています。

 そして、驚くのはEVサウンド。設定で「電気機能」から「外部音」をONにすると、クルマの後ろの方から「ボロボロボロ~」と、まるで排気音のような音が聞こえてきます。不思議に思ってクルマの下を覗けば、エンジン車であればマフラーのある場所に、スピーカーのようなボックスがあり、そこから音が出ているではありませんか! まさに衝撃的な演出です。

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 この「外部音」をONにしたまま走り出せば、もはやエンジン車と変わりません。カブリオレとして屋根を開ければ、さらに音が大きく聞こえます。「BEVは音がないから面白くない」という常識をぶっ飛ばすアイデアです。

 ちなみに、BEVは重いバッテリーを積むため、足回りは硬めです。そしてバッテリーのおかげで重心は低くなります。そして、このアバルト「500e」はBEVとしては車両重量1380kgと存外に軽量です。つまり、とても軽いのに、低重心で足が硬いのです。ですから、ハンドリングはまさに俊敏。

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 この小さなボディーに対するモーターのパワーは114kW(155馬力)・235Nm。1クラス上の大きなクルマに搭載されるようなパワーがありますから、加速力も十分以上! 

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 終始、ニコニコと顔が緩みっぱなしの試乗となりました。BEVでこれほど楽しんだことはありません。過去一番に楽しいBEVと言えるでしょう。

アバルト「500e Turismo Cabriolet」の主なスペック
サイズ 全長3675×全幅1685×全高1520mm
車重 1380kg
乗車定員 4名
モーター フロント・交流同期モーター
モーター出力 フロント114kW・235Nm
一充電走行距離 294km(WLTCモード)
交流電力消費率 158kW/km
価格 645万円

【まとめ】多彩な顔ぶれになってきた電気自動車

 今回、先進のEVメーカーから、ドイツのプレミアム・ブランド、韓国メーカー、日本のベンチャー、そしてイタリアのスポーツ・ブランドまで、その顔触れはまさに多彩なものでした。そして驚いたのは、その乗り味や個性も、まったく異なっていたということ。

 BEVは、どれもモーターを動力源とするため、動力源による違いを生み出しにくいクルマです。それであっても、今回の5台は驚くほどの違いを見せてくれました。BEVという差の出にくい食材であっても、腕の良い料理人の手にかかれば、個性的な料理に仕上がるということでしょう。BEVのポテンシャルの高さを垣間見ることのできる試乗となりました。

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 
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