あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第421回

ホンダ、水素が燃料の「CR-V e:FCEV」を発表! 近所はEVモード、遠出はFCモードで!

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 ホンダが新世代の燃料電池車「CR-V e:FCEV」を、2月28日開催の「H2&FC EXPO」にて、お披露目しました。この夏の発売を前に、2月29日より先行予約も始まっています。そこで、この新しい燃料電池車の特徴と、ホンダの狙いを紹介します。

FCEV

「CR-V e:FCEV」の開発責任者である、電動事業開発本部BEV開発センターLPL 生駒浩一氏

◆GMと共同開発したFC(燃料電池)ユニットを搭載

 「CR-V e:FCEV」は、既存の「CR-V」に、GM(ゼネラルモータース)と共同開発した燃料電池システムを搭載したFCEV(燃料電池車)です。水素を燃料に、電気を生み出してモーターで走ります。燃料電池システムは、アメリカのミシガン州で生産され、車両自体はオハイオの工場で作られています。日本で発売するときは、いわゆる逆輸入車となります。

 FCEVということで、エンジンの代わりに燃料電池システムと、駆動用のモーターとギヤボックス、バッテリー、水素タンクが搭載されています。水素タンクは、後席の下と後輪の斜め上の2つ。ちょうど後席に座る人のお尻の下と、腰の裏側になります。水素での一充填走行可能距離は600km以上。走行性能的には、特にNV(ノイズ・バイブレーション)性能が非常に向上していると言います。静かで、より快適な走りを味わえるということです。

FCEV
FCEV

 ベースとなるエンジン車の「CR-V」と比べると、デザイン的にはグリルとフェンダー、フード、バンパーを含む車両のAピラーよりも前とリヤバンパーのロア側が異なっています。エンジン車はグリルが上側にありましたが、FCEVは、グリルが下に移動。デザインのコンセプトは「E-Life Generator」で、「人と環境に寄り添う、上質・タフなモダンコーディネート」というものです。内外装は、ベースのエンジン車よりも質感がアップしています。

FCEV

GMと共同開発した燃料電池システム。上部にFCスタックがあり、下にモーターが配置されている

FCEV

ラゲッジは水素タンクを備えるために段差ができている。ラゲッジ床下にも収納スペースを用意

 フロント周りのデザイン変更分で、全長が110mm延長されています。寸法は、全長4805×全幅1865×全高1690mmです。

FCEV
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◆ポイントとなるのはプラグイン機能があること

 「CR-V e:FCEV」の最大の特徴は、プラグイン機能を持たせたところです。バッテリーは、17.7kWhも搭載されているのです。ちなみに2016年にリリースされた「クラリティ FUEL CELL」のバッテリーは1.47kWhでした。新型は、なんと10倍以上もの電池容量となっていたのです。一充電でのEV走行可能距離は60km以上もあります。

FCEV

ラゲッジの高い部分に合わせてフレキシブルボードをセットしたところ。荷物を上に置くことができる

FCEV

AC充電口にさして利用するコネクター。写真左側には100V用のコンセントが備わる

FCEV

AC充電口にコネクターをつなぎ、100Vの家電(コーヒーメーカー)を使うデモの様子

 このバッテリーに自宅で充電(AC100Vの交流充電)しておけば、最寄りの買い物などは、EVモードで賄うことが可能です。そして、週末のロングドライブはFCEVとして走り、途中の水素充填は3分ほどでOK。さらに、給電機能も備わっているため、ドライブ先でポットや電子レンジを使うこともできます。さらに、専用機材を使えば、大電力のDC給電も可能。ちょっとしたイベントの電源車として使うこともできるのです。

 つまり、「水素を燃料とする」というだけでなく、「EVとしても利用可能」「給電機能もある」という新たな価値が追加されているのです。

◆8年前と比べてコストは1/3になった燃料電池システム

 「CR-V e:FCEV」に搭載される燃料電池システムはGMと共同開発したものです。その内容は、非常に進化しています。どれだけ進化したかといえば、8年前に登場した「クラリティ FUEL CELL」と比較すると、コストは1/3、耐久性は2倍以上、耐低温性も大幅に向上しているというのです。

FCEV

フェンダーにあるAC充電口から、交流の普通充電を行っているところ

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ラゲッジの右側には大電力を供給できるチャデモ対応のDC給電口が用意されている

 また、ホンダは燃料電池システムの開発をさらに進めており、次世代のシステムでは、「CR-V e:FCEV」に対して、コストを1/2、耐久性で2倍以上を目指している説明します。2016年の「クラリティ FUEL CELL」と比べれば、コストは1/6、耐久性は4倍以上となります。それが実現化すれば、FCEVの存在は、もっと身近なものになるのは間違いありません。

◆法人ユースだけでなく、個人ユーザーにも使ってほしい

 ホンダが今回、「CR-V e:FCEV」を投入した狙いは、FCEVの本格普及に向けて「より広いユーザーを獲得したい」というものでしょう。これまであったFCEVは、主にセダンでした。法人ユースにはそれで足りていたとは思いますが、個人ユーザーの大型セダンへのニーズはとても減ってきています。

FCEV

ラゲッジにあるDC給電口から、外部機材を経て、給電をしているところ

FCEV

フェンダーにあるAC充電口。普段は自宅などで、ここに交流電流を充電する

 そこでホンダは、ベース車両をSUVとしてさらにプラグイン機能を付与。「水素で走る」だけでなく、多くの魅力を備えたクルマに仕上げたというわけです。この「CR-V e:FCEV」であれば、災害時の電源車に使うこともできますし、個人ユーザーの日常やレジャーに使うこともできます(水素ステーションの数が少ないという課題は残っていますが)。

FCEV

リヤフェンダーにある水素の充填口。水素を充填は、約3分ほどで済んでしまう

 「CR-V e:FCEV」の正式な発売は2024年夏。すでに先行予約が開始されています。このモデルは一般ユーザーも重要なターゲットになっています。気になる方はホンダのディーラーに相談してみましょう。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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