『FF16』は1本の映画を観るような映像表現と重厚な物語、アクションが苦手な人でも爽快なバトルは秀逸!
6月22日、PlayStation 5用ソフトとして『ファイナルファンタジーXVI』(FF16)が発売された。本作はスクウェア・エニックスの看板シリーズの最新作で、シリーズ初のアクションRPGとなっている。
本作はナンバリングタイトルとしては、およそ7年ぶりとなる完全新作。開発はMMORPGとしては空前の大ヒットを記録した『ファイナルファンタジーXIV』を手掛けた第三開発事業部が担当している。
そんな本作について、発売前にプロデューサーの吉田直樹氏にメールインタビューを実施し、ASCII.jpで記事を掲載したが、その時に「ハリウッド超大作映画を、その手でプレイしているような感覚」になる、とコメントされた。
実際にプレイしてみて、確かにこれはハリウッド映画のようだと共感を覚えた。そんな本作がどういった作品に仕上がっているのか、まだプレイしていない、これからプレイしてみようと思っている人向きに、物語の冒頭部分やシステム面を中心に紹介したい。
1本の長編映画を観ているような惹きこまれるストーリーに圧巻
FFと言えば“クリスタル”を思い浮かぶ人が多いだろう。本作でもクリスタルはエーテルを生み出し、日々の暮らしを成り立たせる重要なファクターになっている。国家間の争いの種になっているクリスタルを生み出すマザークリスタルを求めて、各国は召喚獣の力とその力を宿す「ドミナント」を使役して戦いを始める。
物語は、鉄王国とダルメキア共和国が戦闘を開始。クライヴ・ロズフィールドはザンブレク皇国の暗殺部隊の一員として、その戦場に赴くところから始まる。
両国が召喚獣同士で戦いを行ない、戦場が混迷を来すなか、クライヴは建物の崩壊に巻き込まれ、頭を強く打って昏倒する。ここまでで、本作の舞台がどういった世界で、ドミナントひいては召喚獣がいかに脅威なのかが感じられる。
戦闘シーンは非常に写実的で、それでいて非現実的な召喚獣という巨大な存在が、映画のワンシーンのような物語性と迫力を同時に伝える演出で楽しませてくれる。昏倒したクライヴは、少年時代の記憶を夢に見る。クライヴはロザリア公国の第一王子で、フェニックスのドミナントとして覚醒せず、その役目は弟のジョシュアが担っていた。
しかし、その後剣の鍛錬を積み、御前試合にて実力でナイトの称号を得て正式にジョシュアの盾となり、“フェニックスの祝福”を与えられ、その能力の一部が使える。記憶の中でロザリア公国の将軍ロドニー・マードックと訓練をする形で、戦闘の基本を覚えるなど、物語を進めながら操作方法の丁寧なチュートリアルが行なわれるので、アクションRPGが初めてという人でも安心だ。
フェニックスのドミナントとして覚醒しなかったため、実の母親からは冷たい態度を取られているクライヴ。クリスタルなしで魔法が使える希少な能力を持っていて、奴隷としてこき使われるベアラーたち。そんな、複雑な人間関係や人種差別といった問題が、過去のストーリーからも伺える。
そこからある事件によって、クライヴは大きな悲劇に巻き込まれ、ザンブレク皇国のベアラーとして生き13年の時が経過して、冒頭のシーンへと繋がっていく。
本作の物語は、非常に重厚で人の闇も見え隠れする、ある意味でとてもリアルに描かれている。登場人物も総じて落ち着いた大人な魅力のあるキャラクターが多く、少年時代に天真爛漫だった幼馴染のジルも、13年後に再開した時には柔和な雰囲気の大人な女性として描かれている。
『FF16』は前回の15のようにオープンワールドではなく、ワールドマップからエリアマップに移動する方式を取っている。オープンワールドを期待していた人もいただろうが、オープンワールドでは探索する楽しみはあるが、移動時間がかかることもあり、物語のテンポが悪くなることも。
しかし、本作では物語性を重視してなのか、ある程度はエリアマップで移動するため、無駄に強制的に雑魚敵と戦うこともなく、とにかく早く物語を進めたいという人の場合は、メインストーリーだけを進めていればテンポ良く話が進み、物語に没頭できる。
物語がある程度進むと、サブクエストを受けてお金や素材を増やせるが、本作ではサブクエストでも人種差別に切り込んだ、人の暗い部分が見え隠れする話もあり、人の愛や友情、生と死を考えさせられることがある。
そんな、重苦しく人間らしさが垣間見える部分も本作ならではの雰囲気と、世界観を形作るうえでの魅力になっている。
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