長距離クルーズを得意とする運動性能
イグニッションを回すと、やや金属的なタービン音に混じった直列4気筒らしい排気音が響きます。攻撃的爆音かと思っていたので「意外と静かだな」と感じました。深夜や早朝にエンジンを回しても、ご近所から「うるさーい、なんてね火山が大噴火」にはならないでしょう。
ブレーキレバー、クラッチレバーは剛性感のある高級フィーリング。さすがブレンボ、操る楽しみがあります。左手のグリップ部は、かなりボタンが多い印象な上に、親指をかなり伸ばさないと押しにくいように感じました
スタンドは洗車時にチェーン洗いが便利なセンタースタンドもあるのがうれしい限り。クラッチを握りしめ左足でニュートラルから1速へ切り替えると、ガツンという強い衝撃に思わず身震い。過給機付いているから……、200馬力だから……と、思いながらクラッチレバーをリリースし、恐る恐る走り始めたのですが、アクセルワークに反応してガクガクすることなく、実にスムーズで実に扱いやすく拍子抜け。
金属的な音が混じる独特のエンジン音を聞きながら、2速、3速とシフトアップ。クイックシフターは、エンジン回転数が2500回転より上ならアップダウンできますし、シフトダウンもラクラク。スーパーチャージャーを搭載したからといって身構えていたのが馬鹿みたい。乗り心地も、実に快適。車体に重量があるので、ドシッとした安定感と足がよく動くという印象で、荒れた道も怖くなく。いたって普通のバイク、いや乗り心地のよいバイクではありませんか。ただひとつ「とんでもなく速い」ということを除いては。
3速3000回転で50km/h、そのまま6000回転まで上げると100km/hに上がるのは、リッターバイクでは普通の話。ですが、そこに至るまでの中間加速がとんでもなく、1秒もかからない! 感覚としては、ちょっとアクセルを回したらメーターは3桁に突入しているわけで、いつでもどこでもDangerZoneに突入できるといっても過言ではないほど。それゆえか、いく度となく白と黒のツートーンバイクがバックミラー越しにチラチラ見えるわけで、どうやらオフィシャルからも「速いバイク」と認識されている模様です。
取材日は記録的酷暑の昼間の都内。バイクの外気温計は40度、信号待ちでは水温計が98度、そして100度を指し示し「オーバーヒートするのでは?」とドキドキ。だけど、ニ-パッドは相応に熱いものの、エンジンの熱で蒸し風呂状態にはならないから不思議。ちなみに走り始めれば水温は簡単に10度近く下がるので、人間の体温的にも走り続けたいところ。
主にトラクションコントロールなどの制御が変わるモード切替は、SPORT、ROAD、RAINのほか、個別設定であるRIDERの4種類。魔がさしてSPORTにすると、それまで身を潜めていた過激さが姿を現します。といっても、回さなければフレンドリーなのですが。
クルーザーということで、バイクを一路高速道路へ。速度域は上がり6速2500回転で80km/h、3000回転で100km/hといったところ。抜群の安定感で怖さは皆無です。さらに安心なのはミラーに接近車両の警告が点灯するところ。バイクの場合、真横に近いところは見えづらいので、これは実にうれしい機能です。
ここでアダプティブクルーズコントロールをオン。使い方は自動車と一緒で迷うことはありません。ただ車間距離設定はできないようで、前走車との距離は約3秒で固定される模様。この3秒は都心部の高速道路としては、間隔をかなり開けて走っている状態で、横から車がガンガン入ってきます。ですが、横から入ってきたら速度を落として、間隔を維持しようとします。MT車でクルーズコントロールって、速度が落ちたらどうなるのかな? と思ったのですが、トルクが太いためか6速60km/hに落ちても、そこから加速設定速度まで加速していきます。シフトを落とす必要はありません。
さて、気になる燃費ですが、販売店の方によるとリッター18kmは行くとのこと。軽自動車並といえそうです。ですがストップ&ゴーを繰り返し、かつ速度域の低い都内では、20kmくらい走行して燃料計の目盛りが2個消えるなど、かなり悪めの印象。この事を販売店の方に伝えると「そうなんですよ。途端に悪くなるんです」と苦笑い。なるほど、長距離ツアラーに適しているバイクなのかと改めて思ったのでした。
【まとめ】トムにピッタリの高性能
きっとカワサキが好きになるカッコ良さ
さて、本題のトム・クルーズ気分が味わえたのか? というと、「さすがトムが乗るだけのことはあるバイク」という気分は楽しめました。後ろに金髪美女が乗るタンデムができたら、さらに最高だったのは言うまでもありませんが。
正直申し上げると、実はこのH2が私にとって初めてのカワサキのバイク体験。それまでカワサキの名は知っていても、触れるきかっけがありませんでした。「なんだ映画きっかけのミーハーじゃねーか」と思われることでしょう。でもいいじゃないですか。みんな最初は憧れて興味を抱くのですから。そして今は「カワサキ、いいかも!」と思っている次第です。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第627回
自動車
テスラ「モデルY」vs VW「ID.4」 EV王者に挑む伝統のドイツ車、選ぶべきはどっち? -
第626回
自動車
あのジムニーがファミリーカーに!? 「ジムニーノマド」に乗って実感した3つの良いところ -
第625回
自動車
【燃費テスト】マツダ「CX-60」ディーゼルで東京~大分1200km無給油チャレンジ! 結果は意外な結末に -
第624回
自動車
俺たちはこういうホンダを待っていた! 軽EVベースの痛快ホットハッチ「Super-ONE」が楽しすぎた -
第623回
自動車
商用バンが激変! 予算15万円から始める「プロボックス」のアウトドア仕様カスタム -
第622回
自動車
1000km走破で実証! メルセデス「E220d」のディーゼルは“圧倒的な疲労感のなさ”と“超低燃費”だった -
第621回
自動車
予算700万円台からの輸入セダン選び。BMW「3シリーズ」がメルセデス「Cクラス」より“運転が楽しい”理由 -
第620回
自動車
普段使いのエブリイか、積載特化のハイゼットか? 人気軽バン2台を乗り比べてわかった決定的な違い -
第619回
自動車
補助金で実質344万円から!? 3代目「日産リーフ」は広さも走りも別格の完成度 -
第618回
自動車
安くてもちゃんとベンツ? 豪華装備付きで588万円の「A200d」に乗ってわかった妥協なき重厚感 -
第617回
自動車
BMWのコンパクトセダン「2シリーズ グランクーペ」が日本の道でマジでイイ5つの理由 - この連載の一覧へ



























