まさに鉄騎! いつまでも走っていたい硬質な乗り味
「フロントのブレーキレバーを握りながらスタンドを掃って……」と教習所で学んだ方法で乗ろうとした瞬間、グラッとバイクが倒れそうに。「何この重さ!」と、今まで経験したことのない重たさに驚きます。カタログを見ると、なんと250kg越えというではありませんか。これが手押しする時に猛烈にこたえるわけで、駐輪場でえっちらおっちらやろうとしたら、全身汗だくに。
エンジンをかけると、野太いながらもジェントルなサウンドが響きます。CB1000Rのような図太い咆哮を覚悟していたのですが、それほどでもないことから「これならご近所問題は起きないだろうな」と一安心。実は不肖が借りている駐輪場が閑静な住宅街で、以前CB1000Rを朝動かそうとした時、クレームが来たんです……。
走りだして気づくのは、CB1000RやCB400 SUPER FOURなどの直4エンジンとは異なるフィーリング。これら2台を試乗した時、モーターフィールという言葉がふさわしい、実にストレスフリーの乗り味である反面、2気筒エンジンや単気筒で感じられる「鼓動感」は少なく物足りなさも。ですがCB1100のそれは、鼓動感があり「このエンジン、生きている」と思わせるもの。バイクの重たさと相まって「鉄馬」という言葉が相応しいと思います。
街中で1000~2000回転の間で走行している時は、ジェントルそのもの。ですが発熱量がとんでもなく、渋滞中は地獄そのもの。炎天下の中、このバイクに乗る事はまったくもってオススメできません。
ですが、回転数を上げていくと、鼓動感とともに独特の排気音が。それは2気筒エンジンを2つ乗せたかのような音で、なぜかアメリカンV8のようなドロドロっとした音。ハンドルに伝わる振動も相まって「これ最高じゃないか!」と評価が変わるのだから不思議。Hondaのエンジンは、性能はいいけれど官能的ではないと思っていたのですが、とんでもない。こんなに官能的なエンジンが作れるのですね。適度に硬質な乗り味も◎。バイクってイイナ、いつまでも走っていたいナ。そんな気持ちにさせてくれます。
高速道路での巡行は快適のひと言。もちろんネイキッドですから風との戦いが待っています。ですが安定性が高いので、怖さとかはなく。CB1100で北海道のロングツーリングとか、絶対に楽しそう! のんびり走りながら、独特のフィールとともに景色を楽しむ。
もちろん都内でも、冬の朝、海を見に走らせて到着したら缶コーヒーで体を温める、という孤独な浪漫を楽しむのも似合いそう。速く走らせるだけがバイクじゃない。味わいを楽しみながらのバイクライフ、年を経たオトナだからこそ似合う世界な気がします。ホント、このバイクが似合うオトナになりたい。
こうしてCB1100 RSを楽しみ、気持ちは買う寸前。で、駐輪場にバイクを入庫しようとした時、またしても250kgを超える車体重量に四苦八苦し、心が折れそうに。50歳、60歳と年を重ね、筋肉量が落ちてきた時にはたして乗れるのか? でもCB1100が欲しい……。でも夏はメッチャ暑い。試乗後、この葛藤が延々と続いています。
【まとめ】
当時社長であった本田宗一郎さんはCVCC開発の報を聞き、大幅な売上が見込めると大喜びしたそうですが、開発陣から「排気ガス問題を減らし、少しでも空気が綺麗になるように願って開発したものであって、社の売上に貢献するためではない」との主張を聞き反省したといいます。Hondaは今年4月、2040年に電気自動車、燃料電池車の販売比率を100%にする目標を明らかにしました。数多くのエンジンを開発してきたのに……という想いもありますが、(会社存続の意味もありますが)環境のために電動化に取り組むというのもHondaらしいですし、そのイムズは今も息づいていると、私は好意的に受け取りました。エンジンでなくても楽しいクルマが作れる会社であることは、既に「Honda e」で証明されています。
その一方で、ガソリンエンジンに対するノスタルジックな想いがあるのも事実。CB1100は、このバイクでしか味わえない独特のフィールと共に、本田宗一郎さんの理想が詰まった1台として、Hondaファン、いやバイク好きなら、許されるなら手元に置いておきたいと強く思わせる1台でした。
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