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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第19回

美人すぎる理系アーティスト・スプツニ子さんはなぜ歌う?

2010年03月20日 12時00分更新

文● 四本淑三

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テクノロジーはいずれ文化の一部になる

スプ子 たとえば、農業も生まれた当時はテクノロジーだったわけです。畑を耕して、作物を育てて食べるということですけど。分かりにくいでしょうか?

―― それはアルス・エレクトロニカの「Open_Sailing」につながる発想ですか?

スプ子 つながると思います。でも、あれはオンラインでつながるフレームワークなんです。70年代のアーキグラム、スーパースタジオが提案したユートピア像を、オープンソースにする。アーティスト個人のビジョンではなく、参加者とつくることを目的にしています。ニコニコ動画を作った人が、作品を作るわけではないように。

Open_Sailing

―― なるほど。いまニコニコ動画の名前が出ましたけど、日本のオタク文化に興味はありますか?

スプ子 もちろん! ここ数年、オープンソースや恊働フレームワークが話題ですけど、日本のオタク文化やN次創作がすさまじいと思うのは、彼らはインターネットが浸透する前から、そういう洗練されたフレームワークを持っていたことですよ、フィジカルの世界で。

―― コミケなんかは、70年代から「人力P2P」みたいなことをやってきたわけですからね。

スプ子 そうです! 欧米でオープンソースや恊働について論じる場合は、WikipediaやFirefoxのような「合理的用途」を例に取りますけど、日本のニコ動、初音ミクなんかは、アウトプットが「クリエイティブ」な方向ですよね? これは本当に特異です。インターネットがもたらしているフレームワークは、日本の創作文化にフィットすると思います。

―― 具体的なアウトプットとしては何が面白いですか?

スプ子 私、IOSYSというグループが好きなんです。音楽的には東方プロジェクトの凄まじいオープンソース加減と、そのエネルギーに目を見張っています。

アーキグラム : イギリスの建築家集団、及び彼らが出版していた雑誌「Archigram」。足が付いて移動可能な「ウォーキング・シティ」、着脱可能な「プラグイン・シティ」などのアイディアを誌上で展開した

スーパースタジオ イタリアのフィレンツェ大学卒の建築家による批評集団。

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