セミナーの最後に、ターボリナックス(株)代表取締役社長の矢野広一氏と、同社CTOの市村昭博氏による『Turbolinux Enterprise Server 8 powered by UnitedLinux』の紹介が行なわれた。
ターボリナックス(株)代表取締役社長の矢野広一氏 |
矢野氏の挨拶では、John“Maddog”Hall氏のスピーチからの引用として「Linuxは誰のものか? Linuxは誰のものでもない、あなたのものです」と、顧客のニーズに答えた製品を提供するというポリシーを示した。また、『UnitedLinux』については、「世界の資産を日本に、日本の資産を世界に発信する」ことを目指すとした。
『Turbolinux Enterprise Server 8 powered by UnitedLinux』をリリースするにあたり、「研修のない製品は出さない」と語り、米UnitedLinuxによる認定プログラムが実施されるのを待たずに、独自で研修プログラムを実施することを明らかにした。この研修プログラムでは、『UnitedLinux』の導入、サポートのスキルを養うことが中心となるが、米UnitedLinuxの認定との整合性を考慮し、ターボリナックスとして資格認定は行なわないそうだ。
製品のポリシーについては、あくまで顧客のニーズに応えることを強調し、オープンソースの製品に限らず、オープンソースのアプリケーションだけでなく、商用の製品でもニーズがあるものについてはバンドルして提供すると語った。
『Turbolinux Enterprise Server 8 powered by UnitedLinux』について紹介した市村氏はまず、製品のターゲットについて、データベースなどの大規模システムやERPなどのエンタープライズシステム、金融機関や電子商取引サイトなどであるとし、商用ミドルウェアと連携したソリューションを提供するとした。
システムの特徴としては、ジャーナリングファイルシステムのサポートや論理ボリュームマネージャによるディスク管理、SCSIディスクサポートの強化、Hyper-Threadingへの対応、非同期I/OやO(1)スケジューラ、I/Oスピンロックの改善、VMの強化といったパフォーマンス改善のほかに、興味深い機能としてUser Mode Linux(Linuxシステム上で別のLinuxを1プロセスとして動作させる機能)への対応を挙げた。
そのほか、ISVの対応状況についても紹介し、米Oracleが2003年第1四半期、米SAPが2003年第1四半期から第2四半期、米IBMのDB2とWebSphereが近日中に動作認定されることが明らかにされた。
最後に、『Turbolinux Enterprise Server 8 powered by UnitedLinux』のデモが行なわれ、独自のデータベース設定ツール『DBNavi』や、Webminなどが紹介されたほか、ユーザー間でのファイル共有などのデモが行なわれた。
ログイン直後のデスクトップ画面。『UnitedLinux』設立各社のディストリビューションが標準デスクトップ環境にKDEを採用していることもあり、KDEが動作している。 |
ターミナルは国際化を意識し、mltermを採用した。特に設定しなくても日本語の表示が可能。 |
ターボリナックスオリジナルのデータベース設定ツール『DBNavi』。 |
日本政府のオープンソースへの取り組みが話題を集めるこの時期に“powered by UnitedLinux”を冠したエンタープライズLinux製品を発表することができたのは、ターボリナックスにとって非常によいタイミングであったといえよう。
現在ターボリナックスは、システムエンジニアなどの募集をWeb上で行なっている。『Turbolinux 8』シリーズのラインナップも、サーバからワークステーションまで用意され“プロダクトカンパニー”として活動する準備は整ったといえる。新生ターボリナックスの本当のスタートはこれからだ。