◆パワフルかつ、シャキッとした走行フィーリング
試乗での、最初の驚きは操作系です。もともと「モデル3」はスタートボタンもパーキングボタンもありませんでしたが、今度のマイナーチェンジで、シフトとウインカーのレバーさえもなくなってしまいました。
動き出すには、ディスプレイの右端にあるフェーダーを「P」から、前向きの矢印に操作させる必要があります。これは初見では、なかなか対応が難しいはず。ある意味、テスラ車の特別感がさらに高まりました。
ちなみに走行中の現在のシフト・ポジションは、ルーフ前方に表示されています。いざというときはルーフを見上げましょう。ウインカーの操作は、ステアリングスイッチ。これは、すぐに慣れるはずです。
走り出して感じるのは、シャキッとした走行フィーリングです。操作に対してクルマが、素直に、そしてダイレクトに反応します。ボディー剛性が高まったような感触です。細かな改良が施されていることがうかがえます。
高速道路でのダッシュは俊敏です。試乗は上位グレードのロングレンジAWD。システムの最高出力は331kW(馬力換算で約450馬力)、最大トルク559Nmもあります。これは、エンジン車でいえば3リッターV6ツインターボを積む「フェアレディZ」の405馬力よりも上。本気のスポーツカーよりもパワフルで、0-100km/hは4.4秒という、とんでもないスペックを備えています。ただし、のんびりと走れば、あくまでもフィーリングはセダンそのもの。心を湧き立たせるようなものではないことをお伝えいたします。
そして航続距離は1モーターのRWDで、旧型より8kmアップの573km(WLTCモード)。上位モデルのロングレンジAWDで旧型比17kmアップの706km(WLTCモード)。東京から箱根や静岡あたりまでなら、安心して遠出できる航続距離を実現しています。
EVというだけでなく、“テスラらしさ”が魅力
新しくなった「モデル3」を乗ってみて思ったのは、やはり最大の魅力は「テスラらしさ」であったという点です。「テスラらしさ」とは、言ってしまえば「従来のクルマとは違う」というところです。
テスラ車に乗って最初に誰もが驚くのが、走り出すまでの手順の少なさです。スタートボタンもなければ、パーキングブレーキのボタンもありません。そうした斬新さが、改良によって、さらに進んでいるのです。シフト操作まで、ディスプレイで行なうというのは、個人的にはかなり抵抗感がありました。しかし、このチャレンジングな手法を選ぶところこそが“テスラらしさ”ではないかと思います。
そして、その一方で、目立たないけれど、走り曲がる止まるという、クルマ本来の性能的な部分の磨き上げも続いていました。ミッドサイズセダンで331kW(約450馬力)/559Nmものパワーを受け止めるシャシーに仕上げるのは並大抵のことではありません。こうした「テスラらしさ」があるからこそ、テスラは2023年に年間180万台ものグローバル生産を達成したのでしょう。
| テスラ「モデル3 ロングレンジAWD」の主なスペック | |
|---|---|
| サイズ | 全長4720×全幅1850×全高1440mm |
| 車重 | 1840kg |
| ホイールサイズ | 18インチ |
| モーター | フロントACインダクション/リヤAC永久磁石同期モーター |
| 最高出力 | 331kW |
| 最大トルク | 559Nm |
| 航続距離 | 706km(WLTCモード) |
| 価格 | 651万9000円 |
筆者紹介:鈴木ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。
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