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eSportsからリアルレースへ! SUPER GT マッハ号、冨林勇佑選手密着レポ 第1回

冨林勇佑の“学び多き”SUPER GTデビュー戦は「一生忘れられない」

2022年04月23日 15時00分更新

文● 吉田知弘 写真●加藤智充 編集●ASCII

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 2022年のAUTOBACS SUPER GTシリーズが4月16~17日に岡山国際サーキットで開幕を迎え、現在スーパー耐久で活躍中のeスポーツ出身レーサーである冨林勇佑選手が、ついに国内最高峰レースに初挑戦の瞬間を迎えた。

5号車「マッハ車検エアバスター MC86マッハ号」

 グランツーリスモの世界チャンピオンという実績を手に4輪レースデビューをはたした冨林選手。2020年と2021年にはスーパー耐久(S耐)のST-3クラスでチャンピオンを獲得した。シーズンオフにはS耐や86/BRZレースで一緒に組むデルタモータースポーツの田中代表とともに、SUPER GT参戦に向けた交渉を開始。ついに5号車 Team マッハのシートを手にしたのだった。

 シーズン前に行なわれた2度の公式テストでは順調な走りをみせていた冨林選手。新しくパートナーとなる平木玲次選手とのコンビネーションも良く、開幕戦に向けて期待が高まった。

 しかし、SUPER GTは勢いある若手から経験豊富なベテランまで、国内外のトップドライバーが集結し、多数の名門チームがエントリーしている。マシンも多種多彩であることはもちろん、複数のタイヤメーカーが参入し、世界的も珍しい“タイヤメーカーによるバトル”も見どころのひとつとなっている。ある意味で“日本で一番シビアなレースカテゴリー”と言っても過言ではないのだ。

 そこで結果を残すのはベテランでも至難の技。ひとつのミスでプランがすべて狂ってしまうというのは、よくあることだ。この岡山がデビュー戦となった冨林選手も、その厳しさを痛感することなった。

いざ、日本最高峰のレースへ!
しかし、予選でまさかのクラッシュ

 土曜日午前の公式練習では20番手につけ、順調な滑り出しをみせた5号車「マッハ車検エアバスター MC86マッハ号」。午後の公式予選は冨林選手がQ1(予選1回目)を担当することになった。

 好タイムを出すべく、気合いを入れてピットアウトしたのだが、ウォーミングアップ中のアトウッドコーナーでバランスを崩しコースオフ。コンクリートウォールにクラッシュしてしまった。Gセンサーが規定値に達していたため、念のため救急車が出動するなど、緊迫した雰囲気となった。

 「あくまでタイヤのグリップがちゃんと感じられてからの“ラスト2周”で勝負するつもりでいました。そこに合わせすぎて、いつものようにタイヤを温める動きをしなかったので、逆に良くなったのかなと思います」(冨林)

 幸いにも冨林選手自身は無事だったが、マシンは左側を中心に大きく破損。サスペンション周りやデフケースにもダメージが及んでいた。決勝出走も危ぶまれるほどの損傷具合だったが、チームはすぐにマシンの作業を開始。他のチームの協力も得て、スターティンググリッドにマシンを並べるべく、修復にとりかかった。

 とは言っても、マシンのダメージが大きく、交換するパーツも多かったことから、作業は徹夜で行なわれることに。それでも誰一人として諦めることなく修復し、決勝日の朝9時にマシンは元通りとなった。

 「玉中オーナーをはじめ、チームの皆さんが暖かくて、普通だった“何をやっているんだ!”となるかもしれないですけど、皆さんが決勝に向けて必死に作業してくれました。チームの皆さんには、今年1年分の借りができてしまったなと思います」(冨林)

 「あと、自分のメンタルを鍛えるためにと思ってあえてエゴサーチをしてみました。厳しい意見もあるのかなと覚悟していましたが、実際には身体の心配だったりとか、励ましのコメントがたくさんありました。改めて周りの方やチームの皆さんに恵まれているなということが再確認できました」(冨林)

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