デュアルスクリーンの原体験
筆者の手元にはTouch Barを搭載したMacBook Proがあります。ボリューム調節以外で日常的にこの第2の画面に触れることはほぼありません。
最近になって、写真編集で色味などを調節する時、またビデオ編集で目的の場所へ素早く移動するときに、Touch Bar上のつまみやタイムラインが縮小されたものに触れることはあります。細かい調整には確かに便利で、マウスのように押し込みながらスライドさせるよりは、細かい操作が格段にしやすいと思いました。
いや、それだけ使っていれば活用している方だと言われるかもしれませんが。
タッチスクリーンに加えてもう一つ、デュアルスクリーンの原体験があります。それはニンテンドーDSです。筆者はゲームボーイ世代だったので、ニンテンドーDSが出た時、ものすごい未来を感じたものでした。
DSは上の画面は通常ディスプレイ、下の画面がタッチパネル付きディスプレイになっていて、その2つをうまく活用しながらプレーしていきます。上の画面が基本のプレー画面、下の画面が操作を伴う画面と設計されているものもあれば、場面によっては上下の画面いっぱいを使って1つのグラフィックスを見せる演出もありました。
そのプレーの様子を振り返れば、別にタッチパネルだからと言って、キーボードのような素早いコントロールができないなんてことはありません。その一方で、2つのスクリーンを単に利用できるだけでもだめで、丁寧に作り込まれたインターフェイスやユーザー体験の「設計」が必要であることも見えてくるはずです。
Galaxy Foldの場合、現在のスマートフォンよりむしろ小さめのサイズで、より大きな1つの画面を実現した点に価値があります。しかしその価値が一巡したとき、作り込まれたデザインが必要になります。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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