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日本のセキュリティの課題を探る 第3回

消費税10%化の裏で進む、キャッシュレス化に危険はないのか? セキュリティ専門家に聞く

2019年09月05日 13時00分更新

文● ASCII

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 10月の消費増税を目前にして、キャッシュレス決済への関心が高まってきている。

マカフィーの青木大知氏

 経済産業省は「キャッシュレス・消費者還元事業」を10月1日から実施。国が補助金を出し、加盟店で、対応したキャッシュレス決済(クレジットカードやデビットカード、各種電子マネー、QRコード決済など)をすると、5%(一部は2%)の還元が受けられる。加盟店は決済端末を無料で設置でき、2020年6月までは手数料の1/3を国が負担するといったメリットも得られるという。

 ポイント還元という観点では、昨年10月にPayPayがサービスを開始し、年末にかけて大規模なポイント還元を実施した。その後も、競合サービスを含めたポイント還元競争が繰り広げられており、QRコード決済が世間に認知されるきっかけとなった。

 MMD総研が昨年末から年明けにかけて実施した調査によると、クレジット決済を導入している店舗は全体の70.1%、QRコード決済は30.8%。交通系は18.4%、訪日系が11.6%にとどまっていた。QR決済は、いま伸び続けている決済方法だ。一方、まだキャッシュレス決済を導入していない店舗がハードルとして挙げているのは、決済手数料の高さ(71.6%)、レジオペレーションが煩雑になる(31.2%)、入金サイクルが長くなる(29.6%)といったものになっている。

 手元のスマートフォンを使った決済は、利便性の高さがある一方で、セキュリティ面での不安も残る。7月初旬にサービスを開始した「7pay」の記憶も新しい。不十分な対策のまま導入されたサービスは、不正アクセスのターゲットになり、早々にサービスを終えることとなった。

 キャッシュレス社会の進展は、流れ上不可避と思えるが、こうした背景がある中、個人として理解しておくべきことはあるだろうか? マカフィー CMSB事業本部 コンシューママーケティング部 執行役員兼本部長の青木大知氏にお話をうかがった。

キャッシュレス化を進めるための2つの視点

── QRコード決済が関心を集めています。日本は中国など海外に比べて普及が遅いと言われていた時期もありましたが、今後の普及についてどうお考えですか?

青木 もともとQR決済が普及したのは、低コストで実現できる決済方法だったという面があると思います。中国やインドなど、システムが整備されていなかった国だからこそ急速に広がる余地がありました。

 いま日本で、キャッシュレス決済を普及させようと考えた際、店舗などサービス提供者側には、2つの大きなモチベーションがあると考えています。ひとつはインバウンド需要、つまり、海外からの来訪者が簡単に支払える手段を用意することです。もうひとつが、多様化です。いろいろな決済手段を持っていた方が商売を広げる機会が増えるという考え方ですね。

── 消費者の中ではキャッシュレス決済ではなく、現金の決済にこだわる人も多いようです。

青木 公共料金を支払う際に、いまだにコンビニ決済を選ぶ人が多いように、新しい支払方法に抵抗感を持つ人は少なくないでしょう。とはいえ時間が解決する面もあります。実際、ブロードバンドが普及し始めた2000年ごろの状況を振り返ると、インターネットのショッピングサイトに自分のクレジットカード情報を渡すことに不安感を持つ人は非常に多くいました。しかし、いまではオンラインショッピングは生活の一部になっていますよね。

 スマホを使った「QR決済」など、新しい決済手段を普及させるためには、消費者にも動機付けが必要です。決済事業者がポイント還元などの施策を通じて、積極的にキャッシュレスを使うよう働きかけています。自分の使っている決済方法が普及すれば、たまったポイントを使える場所も増えます。現在は、現金を使わずにすぐ支払える便利さ、そしてポイント還元が消費者の感じるメリットになっています。

 一定の普及が進めば、消費者の意識も変わっていきます。利便性に加え、安全性を重視する人が必ず増えてくるでしょう。数ヵ月前に、7payの問題が世の中をにぎわせましたが、安全性や信用といった理由で淘汰されるサービスも出てくると思います。

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