実用性と快適性:後席と右ハンドルがもたらす利便性
GT43クーペの魅力は、ハイパフォーマンスでありながら実用的であるという点だ。電動開閉式のテールゲートを開けると、床面積の広いラゲッジスペースが現れる。床下収納もあるほか、プライバシーシェードがテールゲートと一緒に上がるので、荷物の出し入れがとても快適だ。
後席背もたれを倒すと675リットルという大容量の収納スペースが得られる。素晴らしいのは、後席背もたれをラゲッジスペース側から倒すことができる点。わざわざ後席に回り込んで……という必要がない。また、12Vアクセサリーソケットもあるので、運転中にポータブル電源の充電ができるのもうれしい。
荷室についてはGT63クーペも同様であったが、大きく異なるのはGT43クーペには後席があること。正しくはGT63クーペではオプションだった後席が、GT43クーペは標準装備なのだ。といっても2+2にありがちな狭さと、なにより乗降しづらいので、あくまで緊急用と割り切るべきだろう。だが、それでも同価格帯のポルシェ911カレラや、日産GT-Rプレミアムエディションよりは快適だった。
GT63では左ハンドルのみであったが、GT43は右ハンドルも用意されている。運転支援などもシッカリついているし、大型のインフォテインメントも操作がしやすい。
ステアリングリモコンは、まるでF1マシンのように多いボタンの数。多機能すぎてボタン位置を覚えるだけでも一苦労だ。メーターはフルLCDでマップ表示もできる。
メルセデスらしいスッキリとしたセンターコンソール。USBはType-Cを3系統用意。ワイヤレス充電に対応するスマホトレイも用意している。
最も「フレンドリー」で「運転が楽しい」AMG
GT63クーペと同様、渋滞などの低速時にはギクシャク感であったり、荒れた路面では強い衝撃が体を襲う。違うのはドロドロというV8サウンドがないことくらい。それくらい都内でGT63クーペとGT43クーペの違いを見出すのは難しいように思う。
だが数時間乗っているうちに、文頭で「フレンドリー」と書いたようにMercedes-AMGにしては最も扱いやすいようにも感じてきた。というのも、GT63クーペと比べてGT43クーペの方が明らかに足がしなやかなのだ。
なによりほかのMercedes-AMGは「勝手に速く走るクルマ」であるのに対し、GT43クーペは「運転が楽しくて速いクルマ」に仕上げられている。V8に比べればコンパクトエンジンに後輪駆動。これが楽しくないハズがない。
気分が高揚してしまい、気づけば東名高速に乗って約1時間。富士スピードウェイのある御殿場に来てしまった。降りたら心地よい疲労と満足感に、スポーツカーを運転していたことを実感した。Mercedes-AMGで心地よいと思ったことは初めてかもしれない。
スポーツモードを選択し、富士スピードウェイから山中湖へ向かった。道中の峠道に全長4730×全幅1930×全高1365mm、車重1800kgという躯体は大きすぎる。すれ違う時もヒヤヒヤだ。だが、クルマからの好戦的な反応に心が震え、自らを鼓舞する。初めてMercedes-AMGという地上の戦闘機と対話できた気がした。今までは勝手に速かったのだ。
【まとめ】軟弱者と言われようとGT43を選ぶ理由
Mercedes-AMGはV8こそ正義という気持ちもわからなくもない。だが以上の理由から、たとえ軟弱者と言われようとも、自分はGT43クーペを選びたい。
車両価格1650万円、オプションを入れたら約2000万円というプライスから考えるに、ライバルはポルシェ911カレラだろうか。確かにポルシェは素晴らしいクルマだ。だがMercedes-AMGもまた違った魅力で素晴らしい。カッコいいクルマは素晴らしいのだ。
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