刺激が強すぎて思わずアクセルを抜いてしまう
IONIQ 5 Nはスポーツカー的な演出が優れているだけのクルマではありません。自ら「ハイパフォーマンスEV」と呼ぶだけあって、走行性能も非常に高いのです。高速を走っているときに、ついつい好奇心に逆らえず、ハンドル右上の「NGB」を推してみました。これは「N Grin Boost」という10秒間だけMAXパワーの650PSを絞り出すもの(通常は609PS)。このNGBを使うと0-100km/h加速は3.4秒というからおそろしいですね。
それまでクルーズコントロールでタラタラ走っていたところ、NGBを押してアクセルを踏んだ瞬間、背中からヒンヤリした汗が……。これは公道で使うものではない、と10秒も経たないうちにアクセルを抜きました。家族フル乗車で押すもんじゃありません。
実は以前の試乗会ではサーキットでこのNGBを体験しましたが、そのときはサーキットだったこともあって、そこまでビビりませんでしたが、公道では危険ですね。最近のスーパーカー(高級車)は、軒並み「Trackモード」というサーキット専用モードがありますが、IONIQ 5 Nは約850万円でこの機能が楽しめると考えたら安いかも。
EVは高負荷の長時間走行に弱いと言われており、耐久レースなどには向かないイメージがありますが、IONIQ 5 Nには「スプリントモード」と「エンデュランスモード」があり、バッテリーの負荷を最小限に速く走ったり、長距離を走ったりできるのです。今回はこのモードは使いませんでしたが。
「楽しい」と「エコ」のジレンマ
IONIQ 5 Nはクルマとしてのデキの良さだけなく、クルマ好きを唸らせるギミックが随所にあり、かつ同じようなスペックのスーパーカーより安い(約850万円)というEVです。
しかし、今回長距離を走ってEVならではのデメリットを身をもって体験しました。
それはスポーツモードなどのハイパフォーマンスモードで走ると、みるみる航続距離が減っていくのです。これはガソリン車でも同じなのですが、ガソリンスタンドと充電ステーションの数を比較すると、かなり心配になります。
カタログ値では一充電あたりの走行距離は561km。しかし、エアコンつけたり音楽聴いたりしながらスポーツモードでパドルシフトしながら走っていたら、気がつけば会津若松までたどり着けるか否かというレベルまで電池が減っていました。
なので、数々の楽しい演出で気持ちのいいドライブをしたいところ、次の充電ポイントまでエアコンを切ってエコモードでの走行をしました。
走りを取るか航続距離を取るか、楽しさとエコのアンビバレンツが悩ましいクルマと言えるでしょう。
あとは車体の大きさも日本ではデメリットかもしれません。なにせ全幅1940mmはフェラーリやランボルギーニと同じようなサイズです。ホイールベース3000mmも駐車場だと先端がはみ出してしまうほど。狭い道、駐車場を避けて運転する必要があり、実はこの部分が一番ストレスでした。
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